例年以上に相次ぐ“駆け込みトレード” 2018プロ野球途中入団・支配下登録リスト

スポーツナビ

電撃トレードで入団となった伊藤光(写真左)は、新天地DeNAで主戦捕手を担っている 【写真は共同】

 プロ野球の新規支配下登録及びトレードの締め切りが7月31日に迫っている。すなわち、シーズン途中の補強は同日をもって終了となる。優勝を狙うチーム、CS圏内を目指すチームと、各々の目標達成のために今季は例年以上に動きが活発だ。

 象徴的な出来事が、7月以降の“駆け込みトレード”が相次いだこと。全部で5件成立し、特にオリックス⇔横浜DeNAの2対2の交換トレードは、侍ジャパン選出経験を持つ伊藤光が絡んだこともあり、プロ野球ファンに大きな衝撃を残した。

 また、育成選手から支配下登録を勝ち取った選手の活躍も見られる。巨人は3人の外国人選手を支配下登録させ、左腕のメルセデスは初先発からいきなり20イニング連続無失点、スイッチヒッターのマルティネスは初打席初本塁打と、ともに1軍の舞台で離れ業を披露した。

 そして、最大の関心事はBCリーグ・栃木でプレーする村田修一の動向。NPB通算360本塁打を誇る和製大砲は6月に入ってから調子を上げ、“出戻り”の瞬間を心待ちにしている。果たして、村田に声を掛ける球団は現れるのか。期限ギリギリまで予断を許さない。
(※追記:31日の締め切りまで村田を獲得する球団は現れなかった。)

 以下、各チームの補強状況。12球団すべてが補強を行っていることも特筆すべき事項だ。
(※開幕以降の新規支配下登録、トレードを対象。チーム順は7月30日現在の両リーグ順位表をもとに記載。日付はNPBの公示日を基準とする)

セ・リーグ

<広島>
#97 フランスア(投手:5月21日、育成選手から移行)
#62 ヘルウェグ(投手:7月3日、パイレーツ傘下3Aより加入)
#59 曽根海成(内野手:7月25日、ソフトバンクよりトレード)

 フランスアはカープアカデミー出身の大型左腕。支配下登録直後は先発を務めていたが、7月からはブルペン陣に加入。“勝利の方程式”の一員として、存在感を発揮している。ヘルウェグは150キロ超の速球が武器の右腕。こちらもリリーフ陣の有事に備え、2軍で登板を重ねている。ソフトバンクからトレード入団の曽根は二遊間を守ることができるユーティリティープレーヤー。守備・走塁に定評がある一方、昨年のフレッシュオールスターで二塁打を2本放ちMVPを獲得するなど、打撃面でも期待が持てそうだ。


<東京ヤクルト>
#61 ウルキデス(投手:6月29日、メキシカンリーグ・ティファナより加入)
#40 古野正人(投手:7月30日、育成選手から移行)

 ウルキデスはリリーフタイプの右腕。150キロ台の直球とスライダーのコンビネーションが持ち味だ。7月27日の阪神戦で初マウンドに立ち、1回無失点デビューを飾るも、29日の同カードでは5失点の炎上。真価が問われるのはこれからだろう。古野はリーグ優勝の2015年に4勝を挙げた実績を持つ。右肩痛の影響で16年オフから育成選手となっていたが、今季は故障も癒え2軍で11試合に登板。2勝3敗、防御率2.43の成績を残している。

<巨人>
#92 アダメス(投手:6月16日、育成選手から移行)
#95 メルセデス(投手:7月9日、育成選手から移行)
#96 マルティネス(内野手:7月27日、育成選手から移行)
#59 松原聖弥(外野手:7月31日、育成選手から移行)

 巨人は育成だった外国籍選手3人を支配下登録させた。アダメスは右のリリーバー。これまで1軍で6試合に登板し、防御率0.90。複数イニングも任されており、今後もマシソンとカミネロが不在のブルペン陣を支えそうだ。メルセデスは左の先発タイプで上記のとおり、デビューから20イニング連続無失点記録を継続中。菅野智之、山口俊に次ぐローテーションの柱へと存在感を増している。両打ちの内野手・マルティネスは2軍で14本塁打41打点の打撃を武器に支配下登録を勝ち取ると、27日の中日戦で山口のノーヒットノーランに華を添える初打席初本塁打をマークした。また、俊足巧打の外野手・松原の支配下登録を発表。2年目の今季は2軍でリーグトップの16盗塁、同3位の打率3割1分9厘の成績を残している。

阪神・ナバーロはシュアな打撃だけでなく、センターを守る献身性も魅力 【写真は共同】

<横浜DeNA>
#91 中後悠平(投手:7月5日、ダイヤモンドバックス傘下2Aより加入)
#29 伊藤光(捕手:7月11日、オリックスよりトレード)
#49 赤間謙(投手:7月11日、オリックスよりトレード)
#92 田村丈(投手:7月31日、育成選手から移行)

 7月に入って目を引く動きを見せたのがDeNA。補強第1弾として、元ロッテで16年からはダイヤモンドバックス傘下でプレーしていた中後を獲得。左のリリーバーとして、これまで1軍で5試合にマウンドに立っている。そして、第2弾としてオリックスとの2対2のトレードを成立させ、伊藤と赤間を獲得。伊藤は近年出番が減少していたが、DeNA加入後は主戦捕手を任されている。赤間はロングリリーフもできる右腕で、ブルペン陣の底上げに貢献できるか。また、育成投手・田村の支配下登録も発表。今季は2軍で25試合登板、3勝、防御率1.88の好成績をマークしている。

<阪神>
#99 ナバーロ(内野手:6月18日、カブス傘下3Aより加入)
#56 飯田優也(投手:7月27日、福岡ソフトバンクよりトレード)
#97 歳内宏明(投手:7月30日、育成選手から移行)

 ナバーロは不振の打線のカンフル剤として加入。シュアな打撃が持ち味の左打者で、7月は1試合をのぞいてスタメン出場。本職はレフトとファーストだが、打撃重視のオーダーを組む際はセンターを守る献身ぶりも印象的だ。ソフトバンクよりトレード入団の飯田は15、16年の2年連続30試合登板の実績を持ち、地元・兵庫での奮起を誓う。歳内は右肩の故障で育成選手となっていたが、今季は2軍で17試合に登板しており、復活ロードを歩んでいることを認められた格好だ。

<中日>
#97 R.マルティネス(投手:4月19日、育成選手から移行)
#34 福敬登(投手:7月19日、育成選手から移行)
#57 ロドリゲス(投手:7月26日、オリオールズ傘下3Aより加入)

 セ・リーグ最下位の中日は6年ぶりのCS出場を狙い、不足気味の投手陣に厚みを加えた。R.マルティネスはWBCキューバ代表にも選ばれた若き逸材で、すでに1軍で4試合に先発。ただ、6回を投げきったことがないため、スタミナ強化が課題だ。福はルーキーイヤーの16年に27試合登板を記録。左肩痛の影響で育成契約となるも順調な回復を見せ、支配下選手に返り咲いた。ロドリゲスは150キロ前後の快速球が持ち味のサウスポー。7月29日の巨人戦で1軍デビューし、1奪三振を含む三者凡退に斬って取った。

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