【全日本プロレス】ゼウスが宮原を下し悲願の三冠王座獲得 野村&青柳組がアジアタッグ再戴冠成功

高木裕美

“アラフィフコンビ”から王座奪取

20代の野村直矢(右)&青柳優馬組が秋山&永田の“アラフィフコンビ”からアジアタッグを奪取 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルのアジアタッグ選手権試合では、共に20代の野村直矢&青柳優馬組が、秋山準&永田裕志(新日本プロレス)の“アラフィフコンビ”にリベンジを果たし、無念の返上から約半年ぶりに王座に返り咲いた。

 宮原健斗と共に「NEXTREME」を結成し、新世代での活躍を目指す野村&青柳は、昨年9月にアジアタッグ王座を初戴冠。昨年末の「世界最強タッグ決定リーグ戦」公式戦となった12.9新潟では、当時の世界タッグ王者組であった秋山&大森隆男組から大金星を獲得し、今年の1.6大阪でのアジアタッグ王座戦でも返り討ちにした。2連敗となった秋山は、頸椎椎間板ヘルニアで欠場となった大森に代わり、永田との同世代コンビで再出陣を志願。だが、王者組も青柳が1.25新木場大会で右脛骨遠位骨折および右足関節内骨折の重傷を負ったことから王座を返上。2.3横浜で行われた秋山&永田組vs.野村&崔組による王座決定戦では、秋山組が王座を獲得した。その後、青柳がケガから復帰したことで、6.12後楽園で両軍によるタイトルマッチがようやく実現したが、21分34秒、野村が永田のバックドロップに完敗。だが、早くもリマッチの機会が訪れた。

 前回同様、キャリアの差を見せ付けられる苦しい戦いとなった。青柳が秋山に花道でのランニングニーを食らうと、野村も秋山のジャンピングニー、永田のエクスプロイダーのエジキに。青柳は永田にジャンピングニー、ダイビングエルボードロップで食い下がるも、永田の白目式腕固めによって、会場の雰囲気、試合ペース、すべてを持っていかれてしまう。そこに秋山のジャンピングニー、ランニングニー、フロントネックロック。永田のミドルキックから再び秋山がニーリフト、エクスプロイダーと一気呵成に勝負をかけるも、青柳もリストクラッチ式エクスプロイダーを首固めに切り返し、最大のピンチを脱出。野村、青柳が立て続けに秋山をジャーマンスープレックスで投げ、秋山のお株を奪うジャンピングニーから、野村との合体攻撃を炸裂。青柳がロックスターバスターで師匠・秋山から初のピンフォールを奪った。

 若さで勝利をつかんだ新王者だが、早くも次期挑戦者には秋山の前パートナーであり、2人には同様に借りのある大森が名乗り(パートナーは未定)。またしてもベテランの壁に立ち向かう展開となりそうだ。

地元・大阪でボディガーが初シングル王者に

ボディガー(上)が崔領二を破り、アジアヘビー級王座を初戴冠 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 地元・大阪府大阪市出身対決となったアジアヘビー級選手権試合では、ボディガーが王者・崔領二を破り、新王者となった。

 同王座は1955年11月、日本プロレスが開催したアジア選手権大会の優勝者である力道山を初代王者として誕生。その後、大木金太郎、ビル・ドロモ、ジャイアント馬場が歴代王者に名を連ねたが、82年5月に大木が韓国で阿修羅・原を下したのを最後に防衛戦は行われておらず、大木の引退と共に事実上の消滅状態となっていた。だが、今年に入り、崔の働きかけの元、同王座を実に36年ぶりに復活。LAND'S ENDが1月21日に韓国で開催した、8人参加のワンデイトーナメントを勝ち抜いた崔が第8代王者となり、これまで3度の防衛に成功していた。

 この決勝戦で崔と争ったのが、ボディガーだった。崔は19分32秒、赤川鉄橋で勝利を収めると、同年3.25さいたまスーパーアリーナ大会でも、崔がボディガーを那智の滝で沈め、世界タッグ王座を奪取(ゼウス&ボディガー組vs.崔&ディラン・ジェイムス組)。ボディービルダーとして活躍した後、09年に大阪プロレスでデビューし、今年6月、50歳の大台を迎えたボディガーとしては、このまま負けっぱなしでは引き下がれない思いもあった。

 共に地元出身とはいえ、大阪プロレスでも活躍したボディガーに声援が集中。ボディガーは序盤から崔の首に狙いを定め、ハイキック、鉄柵を使ったチョーク攻撃などを仕掛けると、崔もブレーンバスター。ハイキックで対抗。15分過ぎ、ボディガーがダイビングエルボードロップを突き刺すと、崔も雪崩式ブレーンバスター、赤川鉄橋から那智の滝を狙うも、ボディガーは間一髪でかわし、逆にスピアーで突っ込む。場内からは大「ボディガー」コール。ボディガーはなおもハイキック、ラリアット、バウンスとたたみかけ、3カウントをもぎ取った。

 全日本マットでは初のシングル王者となったボディガーがコーナーに上がって地元ファンにベルトを掲げると、観客も拍手喝采で祝福した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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