竜の剛腕ルーキー・鈴木博志の可能性 指揮官からの助言を体現し、正守護神へ
初セーブの前に取っていた“ある行動”
7月7日のヤクルト戦でプロ初セーブを挙げた鈴木博(写真右)。試合前に取っていた“ある行動”がその後の投球に少なからず影響を与えているようだ 【写真は共同】
誤解を生まないために言わせていただくならば、この復活劇は配置転換による安易なものではない。プロに入って初めて直面した壁を乗り越えるため、必要と感じた“ある行動”を取っていた。
それは初セーブを記録した試合前の練習中のこと。“プロ1年生”は自ら監督に助言を求めていた。
「(森繁和監督から)投げ方のヒントをもらいました。最近の自分の投げ方は流れるようになっていた。それだと状態が悪いときは抜けるボールが多くなってしまっていた。監督のアドバイスは『投球動作のなかでタメをつくるポイントがあったほうがいい』と。聞いたのは自分から? はい。昨日のブルペンで見てもらっていたこともありましたし、自分のピッチングをどう見られているのか聞いたこともなかったので、(自分から)聞いてみました」
教えられるのを待つのではなく、自発的に教えを請う。その効果はてきめんだった。
「分かりやすく説明をしてもらったので、すごく納得できました。自分で理解できていた分、イメージもしやすかった。少し光が見えた気がします」
竜の黄金期は、屈強な投手陣の上に成り立っていた。その部門を統括していた名指導者の言葉の効力は確かだった。
残り50試合…正守護神をつかみ取れるか
「修正できなかった」。それが試合後に絞り出した反省の弁だった。先頭打者の山田哲人に与えたストレートの四球から、川端慎吾に決勝のサヨナラ2ランを浴びるまで、高めに抜けるボールを乱発。150キロを超える直球も、制球できなければ意味を成さないことが明々白々となった。今後、いかなる状況でも自在に操れる技術の向上が必要不可欠となる。
人材の枯渇によってクローザーの任が与えられた背景は、チームにとって喜べることではないが、鈴木博だけは違っていい。むしろ1年目から願望が叶えられると喜ぶべきだろう。巡ってきたこのチャンスをつかむべきであり、絶対に手放してはならない。鈴木博は、その気概を持ち合わせている。
「9回、抑えというのは特別なポジション。奪うというよりも、監督やコーチから任せてもらえるように。それは野球だけじゃなく、普段の生活も含めて。誰からも任せられるという目で見られるような選手になりたい」
あくまで今は代役――。それでも「竜の守護神=鈴木博志」と認めさせるための舞台として、今季の残り50試合が足りないことはない。ただし、失敗を取り返すほどの余裕がある数字でないことも事実だ。果たしてルーキーがいかにして守護神の座をつかみ取っていくのか、1試合も目を離してはならない。
(高橋健二/ベースボール・タイムズ)