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どこもやっていない企画を一番に!
独自性溢れるC大阪のマーケティング戦略

ライバルは他のJクラブではなくUSJ

17年のイベントの中で、特に反響が大きかったのは8月5日の札幌戦で実施した「セレッソウォーターフェスティバル〜セレフェス〜」だった
17年のイベントの中で、特に反響が大きかったのは8月5日の札幌戦で実施した「セレッソウォーターフェスティバル〜セレフェス〜」だった【(C)J.LEAGUE】

 17年に展開したイベントの中で、特に反響が大きかったのは8月5日(第20節)のコンサドーレ札幌戦で実施した「セレッソウォーターフェスティバル〜セレフェス〜」。水着で来場すると無料になるというJリーグ史上初の試みが話題になり、ヤフーのトピックスにも取り上げられるほどのインパクトを示した。


 約300人の応募があり、約100人が当選。「水着姿の若い女性が多数を占めると思われたようですが、結果的にはファミリー層が中心でした」と猪原氏。意外性のあるチャレンジが注目される絶好の機会になったと言えるだろう。


 昨年9月23日(第27節)のベガルタ仙台戦で行った「MEGANE DAY(メガネデー)」も成功したイベントの1つ。メガネを「かける」という言葉を使って、「私たちはどんなプレーにも情熱を“かける”」「サポーターのために俺たちは全てを“かける”」といったキャッチコピーを柿谷や酒本憲幸、秋山大地らに語らせる動画を公式HP上にアップした。それを手始めに、「メガネの聖地」福井県鯖江市とコラボレーションをしてオリジナルメガネを制作し、それをかけた状態で記念撮影を行える特設ブースを設置。紙メガネを配ったり、メガネを使ったさまざまな競技も実施するなど、多彩な楽しみ方ができるように工夫を凝らした。


「プロジェクトリーダーが鯖江市に行って現地のメーカーに交渉し、自治体にも協力してもらうといった努力をして、このイベント実施にこぎつけました。まずは面白いと思ったことを行動に移すことが肝心。『これはちょっと無理やろ』といった先入観を一度取っ払って、トライ・アンド・エラーの精神を持って取り組むことで、オリジナリティーが生まれてくるんです。


 プロ野球・日本ハムから来た上司の成田竜太郎事業部長も『われわれのライバルは他のJクラブではなくて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)だ』と常日ごろから話しています。大阪にはエンターテインメント性の高い場所は数多くある。そういう中でセレッソを選んで、わざわざ足を運んでもらうためには、やはりわれわれらしい独特の面白さがないといけない。独自性と意外性を大事にしながら、これからもイベントを考えていきたいですね」と猪原氏は前向きに語る。

18年シーズンはプールに入って試合観戦!?

19年からの2年間はホームゲームが全てヤンマースタジアム長居での開催となる。新たな観客の取り込みを図っていかなければならない
19年からの2年間はホームゲームが全てヤンマースタジアム長居での開催となる。新たな観客の取り込みを図っていかなければならない【(C)J.LEAGUE】

 18年シーズンの夏以降もさまざまな企画が進められるという。さしあたって興味深いのは、昨年好評を博した「ウォーターフェスティバル〜セレフェス〜」の発展形。8月25日(第24節)のサンフレッチェ広島戦で実施予定で、水着での来場者無料というのはもちろん継続する。昨年はキンチョウスタジアムでの試合だったため、事前申し込み制を採ったが、今回はヤンマースタジアムで開催するため、当日参加OKとなっている。


 大きな目玉になりそうなのが、プールに入りながら試合観戦できる特別シートを設置することだ。


「『セキュリティー上、どうなのか』といった議論は社内でも出ましたが、運営スタッフらとも調整し、何とかゴーサインが出る見通しです。シート数は50〜100人程度になると思われますが、プールで涼しさを味わいながら熱い戦いを見るというのは滅多にできない体験でしょう。それが話題になれば、また興味を持ってくれるお客さんが増えてくれると思います。


『他がやっていないイベントを一番にやる』というモットーだと、失敗もしやすいとは思いますが、それでも恐れずにやる。それがセレッソのよさだと、20年以上クラブにいる自分は感じます」と猪原氏はうれしそうに言う。


 19年からの2年間はキンチョウスタジアムが改修工事に入るため、セレッソのホームゲームは全てヤンマースタジアム長居での開催となる。17年以降、ヤンマーでは3万人を目指してきたが、今季は序盤のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)との過密日程や悪天候などが災いし、そこまで達していない試合が多くを占める。それだけに、来季の集客的なハードルはより上がるだろう。厳しい2年間を視野に入れ、新たな観客の取り込みを図っていかなければならないのが、今のC大阪の現実なのだ。


 そのためにも、選手個々、そしてチーム全体がピッチ上でプレー面の魅力をより強く押し出すのはもちろんのこと、サッカー以外の楽しみをさらにアピールしていく必要がある。9月以降にはレディースデー開催なども計画しているというが、数多くの人々をアッと言わせるような斬新な仕掛けやアイデアを次々に披露するべく、彼らは努力を続けていくはずだ。


「21年に2万5000人収容の新たなキンチョウスタジアムが完成した時に備えて、クラブの経営基盤を強化しなければいけない。それを私たちも肝に銘じて、取り組んでいきます」(猪原氏)

元川悦子
元川悦子
1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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