どこもやっていない企画を一番に! 独自性溢れるC大阪のマーケティング戦略
第17節は「セレッソ映えデー」を企画
第17節の浦和レッズ戦で行われた「セレッソ映えデー」。「撮れる×会える×もらえる」をテーマに、さまざまなイベントを展開した 【(C)J.LEAGUE】
C大阪で事業・マーケティングの仕事に1997年から携わっている猪原尚登・事業部営業グループグループ長はこう説明する。
「観戦に来られる方に、サッカー以外の部分でも楽しんでもらえるような仕掛けを考えようということで、J1に再昇格した2017年からイベント展開により一層、力を入れるようになりました。特に集客を増やしたいビッグカードの時などに絞ってプロジェクトリーダーを決め、そのスタッフを中心にイベントを企画・運営してもらう形を取っています。
『今までどこもやっていないことにチャレンジする』というのがわれわれのモットー。今回の『セレッソ映えデー』も1人の担当者が考えたもの。まずまずの盛り上がりを見せたと思います」
「勝ち負けに左右されない集客」を目指した経緯
昇降格を繰り返す中で、「『勝ち負けに左右されない集客』を目指そうと考えた」と猪原尚登・事業部営業グループグループ長(中央) 【元川悦子】
猪原氏が示した05年以降のデータによれば、J1にいた05年は平均観客動員数1万7000人台、06年は1万3000人台を記録していたが、J2に降格した07年は6000人台に激減した。香川真司(ドルトムント/ドイツ)や乾貴士(ベティス/スペイン)らが活躍した時代も1万人超えが精いっぱいだった。
10年に3度目のJ1復帰を果たしてからは再び1万5000人前後の数字で推移したが、柿谷曜一朗、山口蛍、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)らのブレークにより「セレ女ブーム」が起きた13年は1万9000人近くまで急上昇。ディエゴ・フォルラン(傑志/香港)が加入した14年には2万1000人台に到達した。しかし、15年のJ2降格によって再び1万2000人台に減少。チームの成績によって浮き沈みのある状況を強いられてきた。
「だからこそ『勝ち負けに左右されない集客』を目指そうと考えたのは確かです。4度目のJ1昇格となった17年は、ヤンマーで3万人、キンチョウでは1万5000人以上の観客動員を目標に掲げました。
(17年シーズンの)ルヴァンカップと天皇杯の2冠獲得も追い風となって、観客数は再び2万人を超えるところまできましたが、セレ女ブームやフォルラン加入をきっかけに来てくれたお客さんが全て離れることなく、残ってくれたことも大きかった。実際、同じJ2だった09年と15年を比較しても、数字的には3000人以上は増えています。シーズンシートやファンクラブ会員を見ても、20〜30代の女性の比率が高いことがクラブの1つの特徴。セレッソの観客全体でも、Jリーグ平均よりも女性が若干多い傾向がある。その実情をイベント企画にも生かしています」と猪原氏は語る。