鹿島・昌子源インタビュー<後編> 「あれがもう二度と起こらないように」

原田大輔

「自分はこのW杯に懸けていた」

8強を懸けたベルギー戦の終了間際、「あと50センチ」が届かなかった 【Getty Images】

――試合終了のホイッスルが鳴り、ピッチをたたくように悔しがったときに思ったことは?

 自分へのいらつき……悔しさを通り越して、いらついたというか……自分がふがいなさすぎて。その心情は、今まで味わったことのないものでした。試合が終わって、シャワーを浴びて、ミックスゾーンに行かなければならなかったんですが、そのときに「なんで、こんな悔しい思いをしてまで、サッカーをやらなければいけないんやろう」とすら思いました。「人生において、こんな悔しい思いをするなら、サッカーなんてやらなければいいんやないか」って。それだけ自分はこのW杯に懸けていたんだなって。だから、すぐに次の4年後のことなんて考えられませんでした。

――あらためて感じた世界との差とは?

 ナオ(植田直通)や(遠藤)航がヨーロッパに行ったことはすごくいいことだと思います。日本が世界の舞台で得点できることを証明した今、さらに強くするためには、センターバック(CB)が海外に行くのは良いことだというのも分かる。でも、海外に行けば何でも強くなれるかと言ったら、決してそうではない。海外に行っても試合に出られなければ、うまくなれる保証はないわけですから。

 でも、きっと試合に出られれば間違いなく成長する。実際、ナオは日本を強くするために海外へ行ったわけですから、自分もいろいろと考えますよね。その一方で、4年後に、絶対に自分が(W杯に)出られるかというのは全く別の話。そのときに一番良い選手が出るべきで、もちろん自分ももう一度出たいですけど、そこは紙一重。帰国してからも、いろいろな人に「4年後、期待しています」と言ってもらえてうれしかった。でも、今はまだ4年後は考えられないくらい悔しさが残っています。

鹿島で学んで培ってきたこと

Jリーグ最高峰のCBとして、鹿島でのさらなる飛躍が期待される 【(C)J.LEAGUE】

――一方で、Jリーグで培ってきたものが出せたところもあったのでは?

 実は、フェライニ選手にヘディングで決められたベルギー戦の2失点目。あの場面で、僕1人だけ、ラインを上げているんですよね。それは事前に、相手がちょっとしたバックパスや後ろ向きになったら、1メートルでもいいからラインを上げようという話をしていたからなんです。(吉田)麻也くんや、ハセさん(長谷部誠)ともそういう話をしていました。

 でもあの場面では、自分が一番前に出たので後ろは見えていないんですけれど、クロスが上がる前に誰もラインを上げていなかった。もし僕と同じラインにみんながいたら、フェライニ選手はオフサイドやったんですよ。彼とスタンディングで勝負したら、まずその高さには勝てない。だからこそ、僕らが勝負するのは、ラインの上げ下げだったり、そういうところなのではと思うんですよね。

 このことは誰とも話していないんですけれど、何が言いたいかというと、もしあの場面で、僕1人が残っていて、他の全員がラインを上げていたとしたら、僕は明日にでも海外に行っていると思います。実際、自分がフェライニ選手についていたわけではないので、マークしていたらどうだったか。これも結果論でしかないですけれど、あの場面で逆の状況だったら、CBとして国内と世界の差を痛感していたように思います。

――それだけJリーグでプレーしていても成長できるという証しですよね。

 僕は、Jリーグで、鹿島で学んで培ってきたことをそのままW杯のピッチで出しただけですからね。僕は日本でプレーして、日本で成長したからW杯でプレーできたところもあるのに、日本を、Jリーグを、そして鹿島を否定されるようなことがあれば、それは悲しい。今回、ヨーロッパのクラブからオファーをもらいました。でも、満さん(鈴木満強化部長)からは「お前の代わりはいない」「お金じゃないんだ」「それくらいお前は鹿島にとって大切な選手なんだ」と言われて、すごくうれしかったですし、いろいろなスタッフからもそう言ってもらいました。

 ヨーロッパでプレーしたい気持ちもあるけれど、CBというポジションの難しさや、クラブの事情も分かる。何より鹿島への愛着もあるし、鹿島の熱意と誠意も感じた。だから、僕は今、鹿島の選手であることに変わりはないですし、そうである以上、目の前の1試合、1試合を全力でプレーする。海外でプレーできないからと言って、モチベーションを下げるようなことはありません、と満さんには伝えました。

――J1も再開しました。最後にリーグ後半戦に向けての意気込みを聞かせてください。

 リーグ戦において、鹿島はここにいる順位のチームではないと思います。(準々決勝を控えた)ACL(AFCチャンピオンズリーグ)もありますし、今シーズン無冠というわけにはいかないので、その力になりたいと思っています。

 それと、リーグ全体を見れば、(アンドレス・)イニエスタ選手やフェルナンド・トーレス選手が加入したのはうれしいこと。ただ、Jリーグにしても彼らを連れてくることだけが目標ではないと思うし、そうした選手が苦戦するようなリーグにしていかなければならないとも思っています。だから、今いるJリーグの選手たちは遠慮せず、彼らにガンガン当たっていけばいいと思う。だって、イニエスタ選手にしても、トーレス選手にしても、レアル・マドリーのセルヒオ・ラモス選手に散々やられているわけですから(笑)。Jリーグにも手ごわい選手がたくさんいるんだということを示したいです。

【試合情報】鹿島アントラーズ

【(C)KASHIMA ANTLERS】

「肉 SHOCK!!2018」企画実施!

 8月開催のホームゲーム2試合(5日清水戦、24日磐田戦)において、スタジアムグルメ特別企画「肉 SHOCK!! 2018」を実施いたします!小笠原満男選手を監修に迎え、様々なスタジアムグルメ連動企画を開催いたします!

■対象試合
8月5日(日)J1第20節 清水戦(18時30分キックオフ)
8月24日(金)J1第24節 磐田戦(19時キックオフ)

■企画概要
(1)「肉SHOCK!!2018」スタジアムグルメ特別メニュー販売
各スタジアムグルメ売店による肉SHOCK特別メニューを販売!カシマスタジアムの誇る日本一のグルメをぜひお楽しみください!

(2)来場者向けプレゼント企画
来場者を対象に豪華な肉賞品をプレゼント!ANTLERS Wi-Fiポータル上の専用フォームから応募を受付いたします!

(3)目指せ! 肉SHOCKアンバサダー!
「#肉SHOCK2018」をつけてカシマスタジアムで食べた肉メニューを投稿(Twitter、もしくはInstagram)してください!投稿いただいた方の中から3名樣を肉SHOCKアンバサダーとして選定し、豪華なプレゼントをご提供いたします!
<肉SHOCKアンバサダープレゼント>
スタジアムクーポン5,000円分+スペシャル肉グッズ(3名様)
<投稿期間>
8月24日(金)23:59まで
※本期間外の投稿は当選対象外となりますので、ご注意ください

(4)肉SHOCK!!2018限定グッズ発売
8月24日(金)試合日限定で、肉SHOCK2018限定グッズを発売いたします!この日しか手に入らない「肉SHOCK限定Tシャツ」をはじめとする豪華な商品ラインアップを販売!

※いずれの情報も、詳細はデジタルマッチデープログラム「FREAKS+」にて後日発表。

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ、書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。ぴあ刊行の『FOOTBALL PEOPLE』シリーズやTAC出版刊行の『ワールドカップ観戦ガイド完全版』などを監修。Jリーグの取材も精力的に行っており、各クラブのオフィシャルメディアをはじめ、さまざまな媒体に記事を寄稿している。

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