連載:未来に輝け! ニッポンのアスリートたち
“空手界のカリスマ”に連勝中の男 父は元世界王者、福岡出身の22歳・西村拳
離れて感じる、故郷・福岡の“居心地”
出身地の福岡は「住みやすいところ」。故郷の居心地の良さを、今は実感している 【スポーツナビ】
ひとたび道着を脱げば、22歳の若者の素顔をのぞかせる。
「買い物や、遊びに行くのが好きですね。オフの日はしっかりリフレッシュしています」
故郷の話をすると、博多弁の抑揚になる。
「中学まで住んでいました。もちろんずっと好きなところでしたが、それまで他県で生活をしたことがなかったので、福岡がどれだけ居心地がいいか分からなかった。屋台のラーメンが有名ですが、どこで何を食べてもおいしい。博多弁はかわいいし、大阪や東京ほど人も多くない。住みやすいところだなと、離れてから思うようになりましたね」
7月から五輪の切符を懸けた争いが本格的に始まった。10月には東京武道館でプレミアリーグも開催される。
「相手を倒せばいいという競技ではありません。組手競技では、正確なコントロールが求められます。とても繊細です。空手というとどうしても“瓦割り”など無骨なイメージがあるかもしれないけど、蹴り技や回転蹴り、荒々しい投げ技などアクロバティックな技もあります。武道でありながら、スポーツとして楽しんでいただけると思います」
強くとも人に優しく、決しておごることがない。空手界のニュースターから、東京五輪の主役へ――。
金メダルの最有力候補は、爪を研ぎ、牙を磨きながら、その時が来るのを静かに待っている。