バーランダーが振り返る大谷との初対決 「失投があったら打たれていた」

思惑通りの第2打席

 第2打席は、先ほどやられたスライダーに大谷が牙をむく。

 痛烈な当たりはファウル。しかし、これもバーランダーの思惑通りだった。
――大谷がスライダーにうまく合わせたと思った?

「あのスライダーは、見逃せばストライク。速球狙いの左バッターが手を出しても、ファウルかファーストゴロにしかならない。狙ったとおりのボールが投げられたね」

 大谷を術中にはめたバーランダーは、第2打席を内野ゴロに打ち取った。

大谷との対戦で感じたこととは

バーランダー対大谷の第3打席。5球目までインコースを突いた 【画像提供 NHK】

 そして第3打席は投球術で襲いかかる。

 立て続けにインコースに投げ、大谷にインコースへの変化球を意識させる。

 カウントを2ボール2ストライクとしたバーランダーが勝負の6球目に投じたのは、アウトコースへのフォーシーム。大谷のバットは空を切った。

バーランダー対大谷、第3打席6球目

――外角高めへのフォーシームはあなたの判断?

「そうだよ。大谷にインコースを意識させておいて、最後はアウトコースで攻めた。相手をルーキーだと考えず、ベテランと対戦するときのような組み立てをしたんだ」

 9回にめぐってきた4回目の対決でも、バーランダーは大谷から三振を奪った。
――4打席、大谷と対戦して感じたことは?

「大谷はまだ若いのに打席で落ち着いていたし、選球眼や反応速度も良かった。状況に動じることなく、やるべきことを理解していた。もし失投があったら打たれていたと思うよ」

――大谷選手はあなたとの対戦について、「いくら払ってでも経験する価値がある」と話していましたよ。

「メジャーではベテランが若手に教えるのが当たり前だ。チームメイトである必要はない。ほかのチームの選手を参考にすることもできる。もちろん、それは私と大谷も同じ。学べる方法はたくさんあるってことさ」

後半戦はアストロズ3連戦で開始

 大谷は試合後の会見で、もうひとつ印象に残る言葉を残している。

「やっぱりここまで『品のある球』っていうのはなかなか経験したことがないので、逆にそこをクリアしていく楽しみというか技術も含めて、そこの方が今後の自分にとって大事なのかなと思います」

 バーランダーにこの言葉を聞かせると、にっこり笑ってこう語った。

「大谷はバッターだけでなく、ピッチャーの気持ちも理解できる希少な存在だ。彼ほどの選手が『品がある』と言ってくれたなら、うれしいよ」

 エンゼルスの後半戦はアストロズとの3連戦から始まる。バーランダーとの2回目の対決は見られるだろうか。今から待ち遠しい。

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NHK「ワールドスポーツMLB」

BS−1で放送しているメジャーリーグ専門番組。投球の軌道をCGで再現できるツール「ゼウス」を独自で開発するなど、データ分析に力を入れています。大谷翔平情報をたっぷりとお伝えします。

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