後半戦にブレイク期待の逸材は? セ・パの行方を左右する「+α」の選手たち

ベースボール・タイムズ

若獅子2人&鷹の緊急補強の助っ人

各方面から素材の良さを評価される西武・今井。初勝利後は苦しい登板が続いたが、巻き返しを期待したい 【写真は共同】

 続いてパ・リーグの投手陣では、まず高卒2年目の今井達也(西武)の名前を挙げたい。作新学院のエースとして夏の甲子園を制覇した後、ドラフト1位で入団したプロ1年目は、2軍で7試合に登板して1勝0敗、防御率2.35。2年目の今季は開幕前に未成年喫煙による処分で5月まで対外試合出場停止処分を受けたが、6月13日のヤクルト戦で1軍初登板初先発に臨むと、6回を5安打1失点に抑え、150キロ超の快速球を武器に6つの三振を奪ってプロ初勝利を挙げた。その後の3試合では失点を重ねて1勝2敗、防御率7.94で2軍落ちとなったが、素材は間違いなく一級品。壁を乗り越えて再び1軍舞台に舞い戻って来てくれるはずだ。

 10年ぶりのリーグ優勝を狙う首位チームにはもう一人、ルーキー右腕の伊藤翔(西武)も後半戦での飛躍が期待される。高校卒業後に独立リーグで結果を残してプロ入りした19歳右腕は、春季キャンプから高い評価を受けて開幕1軍入り。1軍では4月、5月で計8試合に中継ぎ登板して防御率3.00だったが、それ以降は2軍で主に先発として腕を磨き、ここまで10試合で3勝1敗、防御率3.51。6月28日のロッテ戦では7回無失点の好投を見せるなど、確実に進歩を遂げている。過去、優勝したチームには、後半戦になって若手投手が救世主的な働きを見せることが多々あった。その役割に立候補したいところだ。

 福岡に降り立つ予定の前マリナーズのキューバ左腕、ミランダ(ソフトバンク)も鍵を握る存在になりそう。昨季、メジャーで31試合に登板し8勝を挙げた実力者。150キロを超えるストレートを武器に先発、リリーフともにこなせるという触れ込み。ここまで苦しんでいる昨季日本一王者が、7月に入ってからの緊急補強で“首位猛追”を狙っている。

待たれる怪物の1軍舞台再挑戦

 最後にパ・リーグの野手陣。やはり期待は、清宮幸太郎(日本ハム)になる。春季キャンプ、オープン戦での出遅れも何のその、5月2日の1軍初昇格から7試合連続安打をマークし、同9日のオリックス戦ではプロ1号アーチも放った。その後は思うように打率が伸びずに三振ばかりが増え、打率1割7分9厘(69打数12安打)、1本塁打、2打点で5月28日に2軍降格となったが、ここから再び怪物の証を見せた。2軍でアーチを量産し、ここまでイースタン39試合出場で打率2割2分6厘(146打数33安打)ながら、リーグトップの15本塁打を放って36打点をマーク。フレッシュオールスターでも豪快なスイングからライトポール際への狙いすましたソロアーチを放って優秀選手賞を受賞。後半戦、清宮が再び1軍で快音を残せば、チームは必ず波に乗る。逆転優勝への起爆剤となるはずだ。

 その他では、清宮の高校時代からのライバルである安田尚憲(ロッテ)にも注目。2軍ではここまで72試合に出場して打率2割5分2厘、4本塁打、35打点。まずは2軍でしっかりと自分の形を作ることが大事になるだろう。さらにイースタンで8本塁打を放っている大卒1年目の岩見雅紀(楽天)にも期待。5月と6月に1軍昇格した際には計14打数無安打で8三振の“扇風機”だったが、東京六大学で高橋由伸・田淵幸一に次ぐ歴代3位の通算21本塁打を放った爆発力は他の打者にはないもの。清宮ばかりに話題をさらわれることがないよう、“清宮以外”の打者にも頑張ってもらいたい。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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