心に残る、アンリの日本代表への拍手 多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦
ベルギー国民を興奮の坩堝に陥れた決勝ゴール
吉田麻也を抱きしめるベルギー代表コーチのティエリ・アンリ。試合後、長い拍手を日本代表に送っていた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
ロシアの時計では夜10時51分のことだった。クルトワのスロー、ケビン・デブライネがドリブルで前進してからのパス、トーマス・ムニエのクロス、ロメル・ルカクのスルー、ナセル・シャドリのシュート――。ベルギーが全ての集中力を結集して奪った3−2の決勝ゴールは、国民を興奮の坩堝(るつぼ)に陥れたのだ。
解説者のヤン・ムルダーは「このゴールは、ベルギーにとって最高の瞬間となっただけでなく、この大会全体にとっても最高の場面だった」と言う。
ファン・ニーウケルクはベルギーサッカー界にとって5つの名ゴールシーンを述べた。
・1986年6月15日:W杯メキシコ大会ラウンド16戦 ベルギー対ソ連(4−3)ステファン・デモルの3点目のゴール
・1982年6月13日:W杯スペイン大会開幕戦 ベルギー対アルゼンチン(1−0)エルウィン・ファンデンベルフのゴール
・1985年11月20日:W杯メキシコ大会予選プレーオフ第2戦 オランダ対ベルギー(2−1) オランダを沈めるジョルジュ・グルンのアウェーゴール
・1994年6月25日:W杯米国大会 ベルギー対オランダ(1−0) フィリップ・アルベルトのゴール
「たたき台として私は、これらのゴールを並べました。さあ、日本戦の決勝ゴールは、ベルギーのサッカー史上で何番目のものになるでしょうか?」とファン・ニーウケルクは尋ねた。そこで解説者、マルク・デフリースは「ふうぅ」と悩み混じりのため息をつき、「美しさで言えば、今回のゴールが1番だろう。クルトワから始まり、5人の選手が絡む、すごいカウンターだった」と言い切った。
パフォーマンスもマナーも称賛された日本
後半48分の本田のCKについては賛否両論も「全力を尽くし、果敢に戦った」 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
「だけど、(CKキッカーの)本田は最も経験を積んだ選手だが」(ファン・ニーウケルク)
「それでも彼らはゴールにこだわった。それが素晴らしい。その結果、カウンターを食らったわけだけれど」(ヤン・ムルダー)
「日本は2−0とリードし、その後10分間(編注:実際は17分)、ベルギーを疑心暗鬼に陥れた。それは、どの国もできることではない」(デニス・デ・ワイク)
「2−2の時点でも、本田が惜しいFKを蹴っていた」(デ・フリーハー)
既に世界中に紹介されているように、この番組でも試合後の日本の更衣室が「スパシーバ」というロシア語の感謝の言葉とともに奇麗に掃除され、観客席でもサポーターが清掃したことが話題になった。「これはとてもまねできることではない。素晴らしいこと」と彼らは、日本サッカーのパフォーマンス以外でのマナーについても心から称賛していた。