心に残る、アンリの日本代表への拍手 多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦
日本対ベルギーは間違いなく名勝負だった
全てのゴールが記憶に残り、多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦だった 【写真:ロイター/アフロ】
タイムアップの笛が鳴り、負けて打ちひしがれた日本代表の選手たちは、重い足取りでゴール裏のサポーターの方へ挨拶(あいさつ)に行った。ベルギー代表のコーチを務めるアンリは自軍のベンチから出てハーフウェーライン手前まで来て日本代表のことを見守り、やがて長い拍手を惜しみなく日本代表に向けて送り出した。
とぼとぼと50メートル以上の距離を、頭を下げながら更衣室へ引き上げる日本代表の選手たちは、アンリの姿にほとんど気付いていないようだった。しかし、吉田麻也と川島永嗣は、アンリの元へ歩み寄り、お互いに健闘をたたえ合っていた。
原口元気、乾貴士のゴールに私は震え、ヤン・べルトンゲン、マルアヌ・フェライニ、シャドリのゴールにベルギーの底力を思い知った。ゴールを決めて仲間から祝福された後、ポジションに戻る乾に香川真司が軽く蹴りを入れた姿に、2人の絆の強さを感じた。ルカクとの空中戦に負けて、ヘディングシュートを許した後のクロスに対して、「地上戦では絶対に負けない」という強い意志をタックルで表した吉田の守備もすごかった。
全てのゴールが記憶に残り、多くの名場面が生まれた日本対ベルギー戦。中でも、アンリの日本代表へのリスペクトがたっぷり詰まった拍手が、私にとってのベストシーンとして心に刻まれている。