「日本はデンジャラスでタフなチーム」 W杯 ポーランド代表ナバウカ監督会見

スポーツナビ

試合後の会見に臨んだナバウカ監督「なかなか苦しいW杯だった」と大会を振り返った 【Getty Images】

 サッカー日本代表は現地時間28日、ワールドカップ(W杯)ロシア大会のグループリーグ第3戦でポーランド代表と対戦し、0−1で敗れた。同時刻に行われたセネガルvs.コロンビアは1−0でコロンビアが勝利したため、日本はセネガルと勝ち点、得失点差、総得点で並んだが、警告数などフェアプレーポイントの差で2位になり、2大会ぶり3回目の決勝トーナメント進出を果たした。

 試合後、ポーランドのアダム・ナバウカ監督と、決勝ゴールを挙げマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたヤン・ベドナレクが会見に臨んだ。

 ポーランドは2連敗でグループリーグ敗退が決まっていたが、ナバウカ監督は「ポーランドは最後まで戦う、諦めないチームだ。そしてポーランドのファンにも、チームスタッフにも喜びを与えたかった」と勝利を喜んだ。日本については「デンジャラスでタフなチーム」と表現し、「われわれは準備の段階でセットプレーを練習して、それをベドナレクが生かしてくれた」と、ゴールは狙った形だったことを明かした。

日本戦は非常に重要な意味があった

──ベドナレク選手、ポーランドとしてはよい終わり方だったと思うか? そしてどんな気持ちで帰国するのか?

ベドナレク W杯には少し失望している。もちろん(ベスト)16に残りたかった。そうすればサポーターにも喜んでもらえた。それでも最後の試合は、誇りを持ってプレーしたかった。ファンに喜びを与えたかった。われわれにとっても良い教訓になった。もっとうまくならないといけない。二の舞はごめんだ。ポーランド代表は、国民に喜びを与えないといけない。哀しいことだが、ロシアで教訓をもらったと思う。

──ポーランド代表チームはどうなってしまったのか。ポーランドのファンは試合の最後で指笛を吹いていたが?

ナバウカ 試合の終盤だが、1−0で勝っていた。非常に困難な試合だった。日本はレベルが高く、すべての力を動員しなければならなかった。最初の2試合、セネガル戦(1−2)、コロンビア戦(0−3)は、チームとしてかなり批判を受けたということで、今回は感情的に非常に高まっていた。期待されていたにもかかわらず、2試合に負けてしまった。サポーターを失望させてしまったし、われわれもがっかりした。最初の2試合でもっといい成績を残したかったので、この3試合目は非常に重要な意味があった。

 ポーランドは最後まで戦う、諦めないチームだ。そしてポーランドのファンにも、チームスタッフにも喜びを与えたかった。別に苦い経験を甘くするつもりはないが、われわれは今回の試合の結果をもっと分析しないといけない。たくさんの経験を積んだ。若い選手は、このような経験からたくさん学ぶことができる。ポーランドのサッカーは、このところ欧州、あるいは世界でもいい成績を収めてきた。今大会はポーランドのサッカーにマイナスにはならない。計画も野心もあるので、さらに前進できると思う。

──今大会は23人の選手のうち21人がプレーした。そして21人のうち19人が先発したのは記録だと思う。チアゴ・チョネクは、最初はスタメンだったが、次の試合には出なかった。戦術的に交代が多すぎたのではないか? コロンビア戦は3バック、日本戦は4バックだった。今回は勝てたが、もしかしたら監督としての判断が間違っていたのではないか?(ポーランドのメディア)

ナバウカ システムをいろいろ試したことが問題だったとは思わない。3バックでも4バックでも負けることはある。その指摘は間違いだと思う。われわれは23人を最もいい形で使いたかった。ユーロ(欧州選手権)では11人がレギュラーでプレーしていた。欧州でずっとプレーしている選手でリズムもあった。しかし今日はまったく状況が違った。あなたが言っていることは上辺だけだと思う。戦術や交代が多すぎたというが、私は間違っていなかったと思う。

 それから選手は、トレーニングでも試合でも、決断しなければならない。試合のあとではいろいろなことがあるが、試合の前とハーフタイムで決断をしないといけない。あとからなら、いろいろ言える。私の交代が多すぎて、混乱に陥ったということはなかった。われわれは選手をうまく使いたかった。その決断は分析に基づいていた。さまざまなソリューションやシステムがある。セネガルやコロンビアには苦戦した。チームの調子も良くなかった。攻守においてそうだった。だから、さまざまな決断を下したし、若い選手も投入した。

 なかなか苦しいW杯だった。ユーロでも感じたことだが、選手を選ぶというのは難しいことだ。ベドナレクはユーロ(欧州選手権)でもプレーしたが、いい選択だったと思う。若い選手で、いいプレーをしている選手は少ないかもしれないが、非常に幅広い選手起用ができたし、将来につながると思う。みなさんにも幸運を祈る。そして大きな大会で、いろいろな結論を出していただきたい。積極的に専門家になって、選手やサポーターに自信を与えていただきたいと思う。

ナバウカ「パスカットを狙っていた」

決勝ゴールを挙げたベドナレクは、今大会で「ファンに喜びを与えたかった」と語った 【Getty Images】

──ベドナレク選手。カウンターでチャンスを作っていたが狙いどおりだったのか?

ベドナレク 私は一度だけ得点を挙げたが、攻守両方でチームを助けて試合に勝つことができた。試合のあとで笑顔になったが、実は別のプレーをしたかった。今回は私が決めたが、他の選手も決めてよかったと思う。

──前日会見で「日本の強みと弱み知っている」と言っていた。今日のプランは?

ナバウカ 根本的には勝つことが目的で、それを達成することができた。日本は非常にいいチームであり、個々の質も高かった。選手はよく訓練されていて、技術的に高く精神的にも強い。日本はデンジャラスでタフなチームだと思う。

 われわれの戦略だが、日本の質を失わせることにあった。最初からパスカットも狙っていた。日本がゴールから長いパスを出していたが、それをインターセプトしようとした。これはポーランドにとっても、大きな意味があった。これによって、いい結果を出せた。もっとチャンスを作りたかった。われわれは準備の段階でセットプレーを練習して、それをベドナレクが生かしてくれた。

──試合の最後は両方ともひどいプレーだった。チームはもちろん勝ちたいと思っていただろうが、満足しているか?

ナバウカ 1−0で十分だったと思っている。最初から勝ちたいと思っていたし、われわれとしては勝ち点3が欲しかった。そして日本も、それで満足していた。自陣でボールを受け取って、カウンターアタックをしようとしていた。最初から最後まで、一貫してプレーをする必要があった。日本は危険なチームであり、それはここまでの2試合で分かっていた。セネガル戦では2回も同点にした。サッカーは一貫性が必要で、ポゼッションを高めないといけない。時にカウンターアタックをするし、ボールをスローインすることで、相手の気を引くこともするわけだが、危険な状態もあった。前半に得点を挙げることもできたかもしれないが、最後は1−0(での勝利)を求めていた。

──この試合は2人の交代があったが、(今大会で)プレーしなかった選手がいた。予選の8試合では、カロル・リネティを使っていたのに、なぜ本大会では使わなかったのか。それから今後の去就について教えてほしい。(ポーランドのメディア)

ナバウカ 2つ目の質問だが、これはポーランドのサッカー協会の理事会の決断だ。まずは分析を行い、報告しないといけない。今はそれが重要なことだ。私が今ここで宣言することはしない。

 リネティに関しては、潜在的な可能性を持っているし、これからも成長してほしい選手だ。最初から彼を入れたかった。リネティはイタリアのクラブ(サンプドリア)で活躍しているが、代表チームでは全員が出られるわけではない。リネティは親善試合に出て、たくさんのチャンスがあって、いかにいい選手かを見せつけることもできたが、決定的な判断を下すのは私だ。そして私はチームのための決定を下した。

 リネティのポジションでは、第1戦も第2戦も違う選手がプレーをした。彼よりいい選手を選んだということだ。私はチームのために、できるベストのことをしたつもりだ。彼らは今後も頑張ってほしいし、成長すると思う。しかし時には、自分の力を証明しないといけない。あなたは「みんなにチャンスを与えるべき」と言ったが、先ほどの記者は「交代が多い」と言った。皆さんからの意見は尊重するが、話を聞いていると皆さんがナショナルチームの監督のようだ。監督はこの私だ。
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