前代未聞の混乱状態が続くアルゼンチン メッシはサポートを得られず落ち込む

多くの問題を抱えながら、ナイジェリアとの第3戦へ

これ以上の醜態を晒すことだけは避けなければならない 【写真:ロイター/アフロ】

 悪いことは続くもので、バルセロナの合宿中にはウェストハム所属のマヌエル・ランシーニもけがで代表を離れている。彼はサンパオリがアイスランド戦の先発メンバーに考えていたアタッカーだったが、代わりに追加招集されたのはボランチのエンソ・ペレスだった。さらに驚かされたのは、既にバケーションに入っていた彼はチームに合流して日が浅いにもかかわらず、クロアチアとの第2戦で先発起用されたことだ。

 対照的に、ここまでの2試合ではW杯予選や数少ないテストマッチでプレーしてきたジオバニ・ロ・チェルソ、フェデリコ・ファシオらが起用されていない。大会前までほとんど構想外だったパウロ・ディバラも、結局、クロアチア戦の終盤に起用されただけだ。

 リオネル・メッシは周囲のサポートを得られておらず、孤立した状態でのプレーを強いられる中で精神的に落ち込んでしまっている。

 クロアチア戦後には、選手たちの信頼を失ったサンパオリが解任される可能性まで報じられた。さらにはアシスタントコーチのセバスティアン・ベカケセも一部選手との間に問題を抱えている。

 これだけ多くの問題を抱えながら、アルゼンチンは26日、グループリーグ突破を懸けてナイジェリアとの第3戦に臨むことになる。その結果がどうなるにせよ、これ以上の醜態を晒すことだけは避けなければならない。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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