西野監督「大きなアドバンテージを得た」 W杯ロシア大会、コロンビア戦後の会見
コロンビア戦終了後、会見に臨んだ西野監督 【Getty Images】
日本は前半開始3分にカルロス・サンチェスのハンドからPKを得ると、6分に香川真司がきっちりと決めて先制。このプレーでサンチェスは退場となり、日本が数的優位に立つ。前半39分にはコロンビアにFKから同点ゴールを許すも、後半28分には本田圭佑のCKから大迫勇也が決めて再びリードを奪った。日本は数的優位を生かしながら時計の針をうまく進め、試合終了のホイッスルを迎えた。
試合後、西野朗監督は「ハーフタイムでの修正力、対応力でコロンビアを上回った」とポイントを挙げ、「初戦をこういう形で終えることができたのは、大きなアドバンテージを得たと考えます」と、勝利を喜んだ。
日本の次戦は24日、エカテリンブルクでセネガルと対戦する。
ハーフタイムでの修正力、対応力で上回った
ハーフタイムに選手たちには、前半以上に動く中で優位なポジショニング(を求めた結果)、ポゼッションも高まり、(ラダメル・)ファルカオはじめ相手の前線の選手のエネルギーを失わせた。自分たちでボールをコントロールできた後半だったと思います。中途半端に攻め込んでフィニッシュではなく、これは勝ち切るゲームであるし、そういう積極性を持っていかないといけない(と伝えた)。
(追加点は)リスタートになりましたが、(それ以外にも)決定機はいくつかありました。ハーフタイムでの修正力、対応力が運動量も含めて、コロンビアを上回ることができた。「やっぱりハメス(・ロドリゲス/後半14分から途中出場)が出てきたか」と思ったんですが、個人で対応するというよりは、うまく全体で、彼がいるポジションに合わせて選手が対応する。後半はある程度、自分たちの計画通りにできました。ボールもある程度、保持することができた。そういう面が、2点目に結びついたのではないかと思っています。選手がアグレッシブに、スタートからスムーズに入れたのは良かったと思います。
中盤でイニシアチブをとりたかった
(事前合宿から)すべて、初戦のコロンビアに対して(準備をする)と言ってきましたので、今までの準備はすべて今日のゲーム(のため)。自分の中で、固定した形、メンバーで今日を迎えるというのではなく、いろいろなテストをした上でメンバー、形、システムを決めたいと思っていました。
(12日の)パラグアイ戦まで、システムも選手もトライする中で、最後は中盤でのディフェンス・攻防で3試合とも優位に立てるかどうかというところ(を考えて)、今日はそういうキャスティング(にしました)。柴崎(岳)、香川、乾(貴士)。そういうボールをある程度うまく、自分でもグループでも扱える選手が必要であると(考えた)。
リアクションだけにならず、ディフェンス(中心)の中で試合を進めて、最後(に勝負を懸ける)ということなら別のキャスティング(を選ぶべき)だったと思いますが、中盤である程度のイニシアチブをとりたいという意図があっての中盤の構成でした。香川はかなり状態がよくなっていました。それは、パラグアイ戦を通して感じたところです。乾に関しても、日本(で行った合宿)では難しい状態でしたが(よくなった)、そういう選手たちが中盤で必要だと思って起用しました。
(この1勝は)最高の目標設定をした中での結果です。勝ち切る、全員が勝負に対して(こだわって)、後半に入れたというところ。初戦をこういう形で終えることができたのは、大きなアドバンテージを得たと考えますけれど、2戦目(セネガル)も3戦目(ポーランド)も非常に厳しい相手ですし、しっかり対応したいと思います。
その中で、自分たちのストロングをいかに出せるか、というところにフォーカスしながら対応していきたいと思います。常に相手のストロングに対応するだけだと、勝負ということになれば、おそらく確率的に低くなる。自分たちのストロングというものを、いかに出せるかということを追求しながら準備していきたいと思います。
運だけでなく、いい選手に恵まれている
今日、優勝したのであれば、サランスクのメーン通りを全員でパレードしたいのですが、(勝ち点)3ポイントを取っただけなので、次の会場、そしてモスクワの会場まで取っておきたいと思います。
──「ストロングを出していきたい」ということだが、相手が10人になったことで、相手のどんなところを突いていこうと思ったのか?
最初に話しましたが、数的優位というのは決してゲームの中では優位ではないということ。ポジショニングをいかに取っていくか(が大事になる)。1人余っているので、自然と前線から入っていける状況にありますし、それを実践していました。あとはサイド。攻撃面では、ボールをしっかり出し入れしながら、(相手の)前線の選手のスタミナを失わせるような、それぐらいの余裕をもってボールを動かさなければならない。そしてサイドに起点を作った。後半は酒井宏樹と本田(圭佑)が右サイドで苦しいサッカーをしていましたけれど。
両サイドともボールを動かしていく中で、(ポジショニングの)優位性を作っていくということ。それが冷静にできていました。選手たちが非常にリアクションが高まって、ボールをテンポよく動かせるシーンがあった。戦術理解は、はっきりと選手たちで共有することができていました。(だから)中でボールが動かせたということだと思います。
──初戦でブラジルを破った1996年のアトランタ五輪を思い出した。「オレは持っている」と感じたか?(大住良之/フリーランス)
何とお答えしていいか分からないですね(苦笑)。いろいろな評価をいただいていますが、結果を出して示したいなと。それが運につながればいいし、運だけでなく、いい選手に恵まれているということだと思います。