現役Bリーガーが3x3に続々参加 「GERA OSAKA.EXE」が目指すビジョン

カワサキマサシ

Bリーガーが立ち上げた3人制チーム

大阪エヴェッサ今野翔太(中央)が共同オーナーの1人となって「GERA OSAKA.EXE」立ち上げた 【写真:カワサキマサシ】

「僕らはバスケットボールをプレーするのが仕事。でも、それだけをしていたらいいというわけではないと思うんです」

 今野翔太は曇りのない真っ直ぐな目で、そうはっきりと言った。

 彼は今、Bリーグの大阪エヴェッサに所属しながら共同オーナーの1人となって3人制バスケットボールのチーム「GERA OSAKA.EXE」を立ち上げ、プロリーグである「3x3.EXE PREMIER」に参戦している。

 3人対3人で行われるバスケットボールは、かつての3on3から3x3(スリー・バイ・スリー)へと名称を変え、昨年6月の国際オリンピック委員会理事会において2020年の東京五輪で正式種目に採用されることが決定。14年に7チームで始まった「3x3.EXE PREMIER」は今季36チームにまで拡大し、現役Bリーガーも多く参戦するなど、3x3はにわかに注目度を高めている。

 そんな3x3にオーナーとして飛び込んだ今野は、冒頭の言葉の意味をこう話す。

「サッカーや野球の選手もセカンドキャリアに不安はあると思いますが、バスケはそれがもっと大きい。今はもう、そのスポーツだけやっていればいいという時代ではないと思う。スポーツ選手も、世の中の流れに適応していかないといけない。引退してから浅い考えで事業に手を出して失敗したり、それだけならまだしも、酒に溺れてメチャクチャになったり、最悪の場合は事件を起こしてしまうこともありますよね。そういうことにならないように、現役中にしっかり学んで、行動を起こしていかないと、時代の流れについていけないんじゃないかと思います」

モデルは岡田優介の活動

岡田優介は公認会計士で飲食店も経営する傍ら、3x3のTOKYO DIMEのオーナーを務める 【(C)B.LEAGUE】

 3x3に参戦するにあたって、彼がモデルとしたのは自分と同い年の岡田優介(京都ハンナリーズ)。岡田は公認会計士で飲食店を経営する傍ら、3x3のTOKYO DIMEのオーナーも務めている。

「岡田はバスケットボール選手のセカンドキャリアに、1つのモデルを示しています。チームを立ち上げるにあたっては彼に何度も相談しましたし、不安はありませんでした。引退後に指導者の道に進む人もいるでしょうけれど、僕はこっちの方向でバスケ界を盛り上げていきたい。今回も3x3にBリーグの選手が参戦したらバスケ界に貢献ができて、全体の底上げができると思ったんです。実際に今季はBリーグの選手も目をつけて、どんどん参戦しています。僕の目のつけ所も、悪くなかったんじゃないかな(笑)」

 現状の日本バスケ界はセカンドキャリアへの不安から、ある時点で競技から離れていってしまう選手がいることは事実。今野は、その現実を変える力にもなりたいと考えている。

「バスケは引退後が不安だからやめておこうとなるのではなくて、引退してからもいろいろなことができることを示せれば人気も高まると思う。そうなれば選手の親も『バスケにチャレンジしてみなよ』と、子どもの背中が押せるようになる。岡田はすごく良い見本ですし、僕もそうなっていきたい。僕らが成功して、Bリーグでプレーしている選手が後に続いてくれるとうれしいし、どんどんそうなっていってほしい。今後は3x3とは違うモデルが出てくるかもしれないし、他の大きなことをするバスケットボール選手も出てくるかもしれない。そうして日本のスポーツ界が、野球やサッカーの選手を目指すだけじゃなくなるといいなと思っています」

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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