【全日本プロレス】「ノアの聖地」ラストを飾った全日本 ジェイクらが新ユニット結成へ

高木裕美

青木vs.鼓太郎の一騎打ちはジュニア王者が意地見せる

青木(右)と鼓太郎が一騎打ち 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、スペシャルシングルマッチとして、現世界ジュニアヘビー級王者の青木篤志が鈴木鼓太郎と一騎打ち。因縁の深い両者が、数々の歴史を築き上げてきた聖地で、技と技を通じて互いの思いをぶつけ合った。

 鼓太郎は01年12月にノアの生え抜き第1号としてデビュー。鼓太郎というリングネームは師匠である三沢に命名されたもので、ノアではGHCジュニアヘビー級王座やジュニアタッグ王座を獲得。12年末に秋山、潮崎豪、金丸義信、青木と共にノアを退団し、5人で「バーニング」を結成。13年1月より全日本マットに参戦したが、武藤一派の大量離脱により苦境に立たされた会社との契約内容に不満を抱き、15年12月に退団。その際、青木から奪った世界ジュニアのベルトも返上して去っていった。

 一方、青木は自衛隊から04年にノアに入門。秋山の付き人になると、ノア、全日本では鼓太郎とのタッグでさまざまなタイトルを獲得。潮崎と金丸がノアに戻り、鼓太郎がWRESTLE-1に行った後も団体に残り、さまざまな不満をマスクの下に封じ込めながらも、全日本ジュニアを守り続けてきた。

 5分過ぎ、鼓太郎がエルボースイシーダを繰り出すと、青木も即座にトペスイシーダでお返し。さらにラリアット、バックドロップ、雪崩式フランケンシュタイナー、雪崩式ブレーンバスターから腕ひしぎ逆十字固めを仕掛けると、鼓太郎が切り返してエンドレスワルツ、ブルーディスティニー。しかし、青木もフィッシャーマンズバスター、アサルトポイントを繰り出すと、鼓太郎は師匠から譲り受けたローリングエルボー、タイガードライバーで勝負をかけるが、カウントは2。青木は浴びせ蹴り、ラリアット、バックドロップ、パイルドライバーからのオブジェクトでフイニッシュ。7.1札幌で決定している中島洋平との世界ジュニア防衛戦を前に、チャンピオンとしての意地を見せつけた。

全日本&ノアを経験した4人によるタッグ戦

全日本、ノアの2団体を経験したベテラン4人によるタッグマッチ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

「ディファ有明全日本プロレス最終興行記念試合スペシャルタッグマッチ」では、秋山準&大森隆男組が、本田多聞&井上雅央組と対戦。全日本、ノアの2団体を経験した4人ならではの世界観で客席を盛り上げた。

 秋山と大森は共に92年秋にデビュー。第62代アジアタッグ王者として、95年1月から約3年間、実に12回の王座防衛に成功した。一方、本田&井上も99年10月に第68代王者組に君臨し、3度の防衛に成功。だが、全日本退団、ノア移籍に伴い、同王座を返上している。

 00年8月5日に同所で行われたノア旗揚げ戦では、大森は高山善廣、浅子覚との「ノーフィアー」で金髪&白コスチュームにイメチェンして登場。秋山はメインで小橋建太と組んで、田上明&三沢光晴組と対戦すると、開始わずか2分、三沢をフロントネックロックで締め落として1本目を先取。続く2本目でも田上をエクスプロイダーで粉砕すると、翌6日の旗揚げ第2戦でも、小橋とのシングルマッチにフロントネックロックで勝利。かつての四天王3人を破るという強烈なインパクトで、一躍、ノアのエースとなった。

 秋山は96年ごろから使用していたかつてのテーマ曲「SHADOW EXPLOSION」で入場。レスリングの大先輩である本田に対しヘッドバットを仕掛けるも、あまりの石頭に自分の方が大ダメージ。すかさず本田がヘッドバットでたたみかけ、井上もロープで顔面をこすり上げる。本田は大森に回転地獄五輪、井上もミリオンダラーバスター、首固めと自身の武器を最大限に発揮するが、秋山のランニングニーからのエクスプロイダー2連発にもろくも砕け散った。

 試合後、京平レフェリーが4人の手を挙げると、客席からは、温かく、大きな拍手が沸き起こった。

18年前のメインイベンター渕は元気な姿見せる

18年前の全日本ディファ初戦でメインイベンターを務めた渕(左)は還暦を過ぎても元気な姿を見せた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 18年前のこけら落としでメインイベンターを務めた渕正信は第2試合に登場。石切と組んで、西村修&丸山敦組と対戦した。

 旗揚げ間もない74年に全日本でデビューして以来、幾多の大量離脱にも揺るがず、「生涯全日本」を公言する渕は、00年の分裂時にも全日本に残留。馬場さんの存命時にはファミリー軍団vs.悪役商会の抗争の中でコミカルな一面を見せていたが、7.1こけら落とし興行では、バリバリのトップファイターであった川田との一騎打ちに文字通り体を張って臨んでみせた。その後も、新日本プロレスマットに乗り込むなど、全日本を守ることに全力を尽くしてきた。

 この日も渕は自ら先発を買って出ると、西村をヘッドロックで捕獲。丸山には反則ナックルから「パー」アピールでレフェリーの目をごまかすと、滞空式のボディースラムを連発。石切が丸山のバズソーキックに敗れ、勝利を飾ることはできなかったものの、還暦を過ぎてもなお元気な姿を見せつけた。

2/2ページ

著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

新着記事

編集部ピックアップ

「最低限のスコア」西郷真央が日本勢最高3…

ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント