【新日本プロレス】高橋ヒロムが悲願のBOSJ初優勝 大阪でオスプレイが持つIWGP挑戦へ

高木裕美

オカダは不在のケニーを挑発

6.9大阪で戦うオメガの必殺技であるVトリガーを繰り出すオカダ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカとIWGPジュニアヘビー級王者のウィル・オスプレイによるチャンピオンコンビが、飯伏幸太&チェーズ・オーエンズ組に快勝。6.9大阪ではケニー・オメガとのV13戦を控えるオカダが、オメガのパートナー・飯伏との戦いを通じて、挑戦者に痛烈なメッセージを送った。

 いつもは、キラキラとまばゆいガウンに負けない輝きを放つIWGPヘビー級ベルトを腰に巻き、ファンに存分に見せつけていたオカダ。しかし、今日はその腰にベルトはなかった。オメガのことを知り尽くした“仮想ケニー”ともいえる飯伏に対し、オカダはフラップジャックを繰り出すと、オーエンズにDDT、リバースネックブリーカードロップ、ダイビングエルボードロップからレインメーカーを狙うが、飯伏がミサイルキックでカット。オカダはオーエンズのパッケージドライバーを阻止すると、ドロップキックからオメガの得意技であるVトリガーを炸裂させ、自身の必殺技レインメーカーで勝利を飾った。

 試合後、マイクを握ったオカダは「おい、ケニー! いないのは知ってるよ。いないから、オレはあえてベルトを置いてきたんだ。大阪城ホール、時間無制限3本勝負。勝って、しっかりベルトを巻いて、帰ってきます」と勝利宣言。史上初の試みとなる試合形式を制し、王者として聖地に凱旋し、改めてベルトをお披露目すると誓った。

内藤はジェリコのビデオメッセージにうんざり

内藤はジェリコからのビデオメッセージにうんざりの様子 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 6.9大阪で内藤哲也のIWGPインターコンチネンタル王座に挑むクリス・ジェリコが、5.22後楽園大会に続き、またしてもビデオメッセージでチャンピオンを挑発。これに対し、内藤も「長いよ」とかみ付いた。

 ジェリコは今年の1.4東京ドームのダブルメインイベントでケニー・オメガのIWGP USヘビー級王座に挑むも敗北。その翌日、1.5後楽園大会で内藤を奇襲すると、5.4福岡大会でも試合後、LIJファンにふんして花道で襲撃。その後、5.22後楽園大会でビデオメッセージを送り、「バカな日本人にはもったいない。ベルトの価値を高めてやるぜ」とIC王座への挑戦をアピール。これに対し、内藤も「トランキーロ、あっせんなよ」と余裕を漂わせつつも、「彼が欲しいっていうんだから、賭けようよ」とタイトルマッチを受諾していた。

 この日、内藤はEVIL&SANADA&BUSHIと組んで、KUSHIDA&田口隆祐&ドラゴン・リー&ACH組と対戦。だが、普段なら大「内藤」コールで最高に盛り上がるはずの入場シーンが、この日は「ACH」コールに乗っ取られる異常事態が発生。内藤のテーマ曲「STARDUST」に合わせノリノリでダンスを踊るACHと、観客をあおる田口監督に苦笑いの内藤は、ACHを背後から蹴り上げて憂さ晴らし。その後も調子に乗る田口監督は、LIJに連続でヒップアタックを見舞うと、EVILに対しKUSHIDAのマサヒロタナカ&田口のヒサシヤマダの合体攻撃。だが、LIJもACHをトリプルドロップキックで吹っ飛ばしたところへ、SANADAがSkull Endで締め上げ、ギブアップ勝ちを収めた。

 試合後、LIJの4人が拳を合わせて勝利を祝福していると、前回同様、場内が暗転し、スクリーンからメッセージが流された。ジェリコは、自分が内藤を狙った理由について「それはオマエが新日本の主役だからだ」と述べた上で、IWGP王座を取り損ねた内藤に「オレが助けてやる。クリス・ジェリコがオマエをスターにしてやる。オレと戦えば、誰もが有名人になれる。たとえ結果がどうなろうと、オマエの名は確実に世界に知れわたる。リングにひれ伏しているおまえの前でインターコンチのベルトを巻いてやる」と上から目線で恩を着せまくった挙げ句、最後は「F××K FACE」と挑発した。

 リングに寝そべってビデオメッセージを鑑賞した内藤は「長いよ。もっと短く簡単にまとめてくれよ」と開口一番、ダメ出しをすると、「ジェリコは世界的なスーパースターで、つまり忙しいんでしょ。なのに、こんな自撮りのビデオメッセージを2回も送ってくるなんて、本当はヒマ人なんじゃないの」とこき下ろした上で、「6.9大阪で、うるさいクリス・ジェリコを黙らせてやるから、覚悟しとけよ」と、2度の襲撃とビデオメッセージの分の借りを大阪で返すと宣言した。

ライガーが大阪で豪華トリオ結成を宣言

ライガーは棚橋を助け、大阪での出撃を宣言した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 6.9大阪で、棚橋弘至&獣神サンダー・ライガー&レイ・ミステリオJr.という超豪華トリオが誕生。マーティー・スカル組との対戦が決定した。

 棚橋は5.4福岡でオカダのIWGPヘビー級王座に挑んで敗れて以来、実に1カ月ぶりの新日本マット登場。ROHのイギリス遠征でエネルギーを再チャージした棚橋は、ヘナーレと組んで、BULLET CLUBの高橋裕二郎&スカル組と対戦した。

 惜しくもあと一歩届かずBOSJ決勝進出を逃したスカルは、放送席に座るライガーを再三にわたって挑発。ライガーの代名詞でもあるロメロスペシャルを狙うなど、リング上の対戦相手よりも意識しまくり。棚橋もスカルのお株を奪う鶴のポーズからドラゴンスクリュー、テキサスクローバーホールドを繰り出すと、10分過ぎにはスカルにスリングブレイド、裕二郎にツイストアンドシャウトを炸裂。だが、パートナーのヘナーレが裕二郎のピンプジュースに敗れ、白星は逃した。

 試合後もスカルは棚橋に襲い掛かると、自前のカサで殴打し、チキンウィングフェースロックで捕獲。古傷の右腕を痛め、もん絶する棚橋の姿に、たまらずライガーがリングに駆けつけ救出。「このBOSJ、試合がなくてイライラしてたんだよ」というライガーは、「レイ・ミステリオJr.を連れて来い? 連れてきてやろうじゃねえか。何なら棚橋、オレ、ミステリオ。3人。おまえも誰でも連れてこいや」と、6人タッグ戦での決着を要求した。早くも戦闘モードに突入したライガーは、着ていたシャツを脱ぎ、スカルめがけて投げつけると、棚橋と共に鍛え上げられた筋肉美をアピールした。

大阪前哨戦でCHAOSvs.鈴木軍が火花

タイチが後藤のNEVER王座を奪い殴打 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPジュニアタッグ王座返り咲きを狙うROPPONGI 3KのSHO&YOHが王者組の金丸義信&エル・デスペラード組に快勝。6.9大阪でのタイトル戦を決定的にした。

 BOSJ公式戦ではSHOがデスペラード、YOHが金丸に勝利。この日は後藤洋央紀&SHO&YOH組vs.タイチ&金丸&デスペラード組による6人タッグ戦での激突となった。

 開始早々、SHOが場外へのトペを狙うも、金丸はセコンドを身代わりにする頭脳プレー。10分過ぎには金丸が酒のミスト噴射からYOHにディープインパクトを狙うも、YOHはこれをかわしてファイブスタークラッチで大逆転。リーグ戦のシングルマッチに続き、6人タッグ戦でも直接勝利を奪ったことで、タイトル戦は避けられなくなった。

 一方、6.9大阪でNEVER無差別級選手権試合3WAYマッチを争う後藤とタイチ(もう一人はマイケル・エルガン)も前哨戦からヒートアップ。場外戦でタイチのディーヴァ・阿部美歩さんが後藤に張り手を見舞えば、後藤もタイチの天翔十字鳳をかわして牛殺し。試合後はタイチが後藤のベルトを奪って顔面を殴打した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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