西野監督「3バックは修正をかけたい」 国際親善試合 ガーナ戦後の会見
ガーナ戦後、西野監督は3バックは引き出しの1つであることを強調しつつも「修正をかけたい」とコメントした 【写真:ロイター/アフロ】
ガーナ戦はワールドカップ(W杯)ロシア大会前の最後の国内マッチということで、西野朗監督は「勝つということが前提としてあった」「結果が出ず本当に残念」と悔しさをにじませた。試合の総括として「いろいろなトライができた」と振り返りつつも、「コンビネーションが結果、合わなかった」と敗因を挙げた。そして、3バックはあくまでも戦術の1つであることを強調しつつも、「修正をかけたい」とコメントした。
またW杯メンバー23人を選ぶ最後のテストの場ということもあり、「今日はすべてプラン通りに交代を考えていた」と西野監督。「今日の1試合をもって選手をリストにあげる、あげないという話では当然ない」としながらも、「香川(真司)、井手口(陽介)、岡崎(慎司)は、本当に何もリスト(の提出期限など)を考えなければ、彼らがプレーできたということをうれしく思います」と名指しで復調を喜んだ。
もう少しフィニッシュの形を作りたかった
少しずつ、時間とともにこだわれる感じはあります。スタートの部分が少しそろっていなかった中で、掛け違いというか、序盤、少しリアクションになりすぎていた中でのリスタート(からの失点)だったと思います。3バックを最終的に4に切り替えてオフェンシブに入りましたが、それぞれ(選手たちが)狙いを持ってトライしてくれた。そういう部分は評価したいと思います。
とにかく今日は「勝ってロシアに」という思いで、ここ数日、選手と準備をしてきたので、それが出ずに申し訳ないという気持ちと、逆にたくさんの課題も得られました。(次に)つなげないといけないと思います。
──狙いとしてできたこと、できなかったところを具体的に教えてほしい。
攻撃の部分では、外に長友(佑都)と原口(元気)、酒井高徳というポイントを置いています。ここ数日、言い続けているのは中盤でのアタック&ディフェンス。相手のゴール前を生かすためには、中盤で主導権を取れるかどうか(が重要)。時間とともにボールを引き出して、中央でポイントを作り、サイドでワイドな選手を使っていくサイド攻撃はある程度狙い通りにいきました。センターからの崩しが、ゴール前でもう少しコンビネーションが取れればなと思いましたけれど、まあトライはしていました。
ディフェンスの部分は、マークの受け渡しのタイミングや、3バックがスライドしていく上でギャップを突かれていた。ガーナの3トップのスピードを個人で抑えるのではなく、中盤や前線でボールに対して全員がリアクションしてポジションを取っていくことはできていた。ただ、一瞬の中で2点目のペナルティーのような、ルーズボールでのああいう対応。コンビネーションが結果、合わなかったというところだと思います。
(相手の)4バックに対するわれわれの3バックということで、お互いにギャップ同士、ポジション争いなわけです。そういう中で、つかみづらいガーナに対してポゼッションもかなり取れましたし、決定機がなかったわけではなく、最終的なフィニッシュの形も少なかったわけではない。最終的なフィニッシュはどうであれ、もう少しフィニッシュの形を作ることができれば良かったと思います。サイドアタックを中央から、というトライはいい形もできていたと思います。
──スパーリング相手としてのガーナをどう捉えているか? セネガルよりもフィジカルは強かったと思うが。(田村修一/フリーランス)
(ガーナが)おととい来たということを考えれば、本来の力はそう出ないんじゃないかという予測で、スタートからオフェンスにいけると想定していました。想像以上にガーナが縦に圧力をかけてきたし、いいスタートを切られた。そして局面でも強い。切り替えも、(W杯)予選のガーナは非常に遅くて間延びしている映像しかなかったんですけれど、今日は日本に対する対応、引くところはしっかりリトリートして、カウンターを狙ってきていた。
でも、今日はガーナの個々の力を気にせず、自分たちの3バックをトライしていくんだと。そういう中で、ガーナの対応力に思惑通りいかない部分、局面での強さというのは、セネガルよりも選手は感じたと思います。スピード、パワー、フィジカルだけではない、組織的な対応力を感じました。出足から10分の中で、非常に難しいゲーム。いろいろ変化させないと対応できないな、という感じもありました。
いろいろな局面、状況に対応していきたい
3バックに関しては何度も話していますが、これからこの形で、ということは考えていないです。対応をいろいろと考える中、3バックや5バックで押し込まれる中での対応をトライをしていなかったので。本大会で「これでいく」と伝えているわけではなく、まずこのトライをしていこうと。当然、ガーナのシステムと個々の選手の特徴を消すような戦術的なことを考えれば、3バックではなかったかもしれない。ただ代表として、これからいろいろな局面、状況に対応していきたいという中で、やっておきたいというところだったので。選手たちにも「これでいく」とは言っていないです。そういう中でのトライだったので、いい部分も悪い部分もこれからという中で、3バックに対しては修正をかけたいなと思います。
選手に関しては、今日の試合で全員を試せた(わけではない)。その中で、今日の1試合をもって選手をリストにあげる、あげないという話では当然ないので、確認したい部分もあります。はっきり言えば、香川(真司)、井手口(陽介)、岡崎(慎司)もしかりです。ゲームには入ってこられなかった。ここに合わせるというか、ベストのコンディションで入らなければいけない選手が、今日は(コンディションが)整って出られた。制限された時間で、それもすべてではないと思っています。やれている彼ら、プレーできている彼らに対して、これからの時間の中でどう変わっていけるかということも総合的に考えて(メンバーに)入れたいです。試合に出られた岡崎や香川、井手口は、本当に何もリスト(の提出期限など)を考えなければ、彼らがプレーできたということをうれしく思います。
──久しぶりに監督としてピッチに立ったが、ご自身をどう評価するか。それから明日以降のプランは、もう固めていくのか、さらに何か試すことを考えているのか?
ピッチに立った感想は、広くてスピーディーだなと。こういう流れでゲームに入っていたんだなというのは強く感じさせられました。代表は特にそういうものだと思いますが。選手たちが準備してきた、トライしていきたいことをしっかり捉えていました。間近で見る中で、改善していきたい、修正していきたいプレーを瞬間瞬間に感じることができましたし、自分の頭の中もスピードアップしていかないといけないと正直感じました。
これからのプランですが、スイス、パラグアイとトレーニングマッチができますが、すべてコロンビア戦に照準を合わせて2試合を捉えていきたい。選手の起用に関しても、システムなのか戦い方なのか、そういう戦略的なところもコロンビアにすべて合わせた中で、チームを持っていく必要があると思います。今日も1つトライができたので、それも含めて第1戦に備えた準備を考えたいと思っています。
──短い期間だったが、この試合に向けて準備をしてきた。これまでの選手たちの取り組む姿勢について、どれくらい満足しているか?(大住良之/フリーランス)
今日の試合の前もハーフタイムでもそうですが、これまで準備をしていく中で、一方的に自分の描いている3バックを「こういうポジショニングだから、こういうプレーだ」「全力でやっていくんだ」「1人1人はこういう役割があるんだ」という準備はしてきていません。選手たちと「こういう状況はどうだ」という、いろいろな疎通を持ちながら準備をしてきた。それが一番スピーディーだと思っています。こういう時間の中で、(選手の中に)入っていくことは大事。やれることを精度を上げてやりたいですし、そのマックスを要求していきたいです。
──長谷部誠を交代させたところで4バックに切り替えたが、長谷部を1つ上げて4バックに切り替えるトライをしてもよかったのではないか。あそこまで3バックを引っ張ったのは、3バックをそこまで試したかったのか?(後藤健生/フリーランス)
今日はすべてプラン通りに交代を考えていました。トライさせたい選手と時間を。ただ6人をそれぞれスイッチしていくと、試合が成立しない状況になるので、交代は3回で6人。短時間でも試合の中で確認したい選手、最後は井手口でした。当初は大島を(下げることを)考えていました。ボランチ2人を中盤にして。ただ、攻撃的なところで大島は、今日の展開力とプレーメークに関して外せないキープレーだった。長谷部を引っ張ることも当初は考えていましたが、それもトライする状況だったかもしれないですね。安定をさせるには長谷部だったと思いますが、攻撃しないといけなかったので、ああいうスイッチになりました。
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