祐一ついに叶えた福永家の夢ダービーV 「洋一の息子として誇れる仕事ができた」

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ワグネリアン復活の裏には何があった?

ワグネリアンは秋に備えてこのまま休養に入る 【スポーツナビ】

 そして、ダービーの主役は福永だけではない。もう一方の主役に触れないわけにはいかないだろう。

「今まで乗ってきたGIを勝つような馬とはまた違うんですよね。あのサイズの馬ができる競馬じゃないんです。ダービーでも正攻法でねじ伏せましたし、すごいですよね」

 ワグネリアンの強さを問われ、福永はこう答えたのだが、実はこの言葉を出すまでにしばし“長考”している。熟達の騎手すら掴みきれない強さ、奥深さとなると、それはもう可能性の塊と言っていい。

 そんな荒削りな素質馬を一生に一度のレースに合わせて磨き上げた友道厩舎の力も、福永が勝因に挙げた1つだ。一敗地にまみれた皐月賞から1カ月半、ワグネリアン復活の裏には何があったのか? 友道調教師が明かす。

「皐月賞に向けての調整は、その当時はこれがベストと思っていたんですが、どうしても馬のテンションを気にしてしまって、今思えば負荷が軽かったと思います。ですからダービーは、悔いのないようにしっかりと強い負荷をかけたんです。その調教に馬が応えてくれましたし、デビューしたときからダービーだけを見ていたのでスタッフのみんながよくやってくれました」

 20年来の付き合いという福永に対し「彼の思いも知っていますから、なんとかウチの厩舎の力でダービーを勝たせてあげたかった」とも胸のうちを語ったトレーナー。まさに、騎手、競走馬、厩舎による三位一体の総合力で勝ち取ったダービーだとも言えるだろう。

 ワグネリアンはこの後、栗東に帰らずそのままノーザンファーム天栄に放牧に出され、秋に備えて休養に入る。ステイヤーというタイプでもなさそうなだけに、二冠を目指して菊花賞に行くのか、それとも古馬を相手に天皇賞・秋の中距離路線に向かうのか、その選択が注目されるところだ。今後、どのようなタイプのダービー馬へと成長し、福永と友道調教師がどのようなエッセンスを加えて完成させていくのか――ワグネリアンの可能性にあふれた未来が楽しみでならない。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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