F1スペインGPで見えた勢力図 メルセデスが一歩リード、名門は迷走

田口浩次

ポテンシャルを発揮できるサーキット

スペインGPで優勝し、2連勝を果たしたハミルトン 【写真:ロイター/アフロ】

 F1スペインGPが終了した。スペインでは予選、決勝ともにメルセデスが他を一歩リードする形で今季初のワンツーフィニッシュ。ルイス・ハミルトンはチャンピオンシップを確実にリードし始めた。

 F1の世界ではスペインGPでシーズンの展望が見えたり、各チームの潜在的なポテンシャルがはっきり示されると言われる。レースが行われるバルセロナ・カタルーニャ・サーキットがテストでも使われる場所であり、どのチームもデータを豊富に持っていることから、ここではセッティングの方向性を大きく間違える事がない。つまり、現状持っているマシンポテンシャルをほぼ出し切る形で、予選を迎えることになる。

 シーズン前のテストでは、最終日の順位は1位フェラーリ、2位マクラーレン、3位ルノー。以下、4位レッドブル、5位ハース、6位メルセデス、7位トロロッソ、8位フォース・インディア、9位ザウバー、10位ウイリアムズと続いた。フェラーリ、メルセデス、レッドブルというトップ3チームは、最後まで手の内を明らかにしないため、テストでのタイムは参考値に過ぎないが、トップ3チーム以外にはそこまでの余裕はない。つまり、開幕前のマシンポテンシャルは、テスト順位ということになる。

 そしてシーズンが開幕し、順調に開発が進んだマシンは、ここスペインGPで最初の大幅なアップデートを加える。マクラーレンなどは、ここが本来の新車のポテンシャル発揮だと、開発スケジュールが追いついていなかったことを示すほど。つまり、このスペインGPの予選は、そのまま今シーズンのマシンポテンシャルが結果として現れた格好だ。

 ここでの予選結果は、1位2位をメルセデス、3位4位をフェラーリ、5位6位をレッドブルと上位6台はトップ3チームが占め、以下をハース、マクラーレン、ルノー、ハース、マクラーレン、トロロッソ、フォースインディア、ザウバー、フォースインディア、ルノー、ザウバー、ウイリアムズ、ウイリアムズと続いた。奇しくも、ほぼテスト最終日と同じ順位だ。つまり、どのチームも開発やアップデートが進んだものの、潜在的なポテンシャルは、ほぼ開幕前と同じということ。ここにレース毎の展開であったり、ドライバーの実力と運不運、さらにはマシン毎の特性によって得手不得手のサーキットがあり、そうした要素が加味されて今後のシーズンは進んで行くことになる。

ハミルトンは圧倒的に優位

 つまり、今回のスペインGPでハッキリした今シーズンの勢力図は、トップ3の中でも、メルセデスは明らかに一歩リードをしている。正直、スペインGPでここまで差があると、ドライバーズチャンピオンシップ争いは明らかにハミルトンが圧倒的優位な状態にあると言える。フェラーリとレッドブルは、それに続き、ほぼ2チームに差はなく、展開によって順位が入れ替わる状態だろう。

 続くセカンドグループがハース、マクラーレン、ルノーの3チーム。ハースはここまで不運に見舞われているが、マシンポテンシャルとしては、チャンピオンシップ4位のルノーより上にありそうだ。レース条件によっては、このセカンドグループとほぼ同じレベルにある二つ目のセカンドグループが、トロロッソとフォース・インディア。大きく見ればこの5チームでセカンドグループを形成している。最後に、少し遅れてザウバー、さらに遅れてウイリアムズというのが今シーズンの勢力図だ。最後尾評価のウイリアムズは、本来のチームポテンシャルでいえば、間違いなくセカンドグループにいる筈なのだが、今シーズンのマシンは完全に開発の方向性を失敗したのか、まるで結果が出ない。これが挽回されるには、マシンの設計を全て見直す必要があり、名門の迷走はまだ続きそうだ。

 さて、日本のファンにとってはトロロッソ・ホンダの状況がいちばん気になるところ。本来であれば、予選こそ僅差でセカンドグループ中盤ながら、状況によっては予選トップ10入りする実力があることは証明済み。ここスペインでも、予選と決勝で、全体的な展望を見たかったのだが、ご存知の通りスタート直後のアクシデントに巻き込まれる形でピエール・ガスリーがリタイア。ただ、チームメートのブレンドン・ハートレーが決勝結果こそ14台完走中12位ながら、決勝のファステストタイムは10番手のタイムを出しており、その実力は決して低くない。

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