パキスタンスターが香港QE2Cを制す 紆余曲折を乗り越えつかんだ重賞初勝利

JRA-VAN

5番人気のパキスタンスターがクイーンエリザベス2世カップを制した 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 4月29日、香港のシャティン競馬場で3つのG1レースが組まれた香港チャンピオンズデーが行われた。メインレースのG1クイーンエリザベス2世カップ(以下QE2C)には昨年のネオリアリズムに続く勝利を目指して、日本からアルアインとダンビュライトの4歳馬コンビが出走したが、結果はアルアインが5着、ダンビュライトは7着に敗れた。優勝したのは、日本のオッズで5番人気だったパキスタンスター。昨年のQE2Cで2着に入るなど香港でもその実力を認められながら、気性の難しさからここまで重賞タイトルに手が届いていなかった馬が、大人の走りを披露して勝利を収めた。

強さ際立ったパキスタンスター

 レースは昨年12月のG1香港カップを逃げ切ったタイムワープがここでも主導権を握り、楽には行かせまいとダンビュライトが差のない2番手からプレッシャーを掛ける。後方からレースをすることが多かったパキスタンスターが好スタートから3番手につけ、アルアインはスタートでやや出遅れたが、すぐに4番手のポジションをキープ。今年の香港ダービー馬ピンハイスターは後方に構えた。

パキスタンスターは最後の直線で一気に抜け出し、後続に3馬身差をつけてゴールした 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 最終コーナー手前でアルアインが動いてダンビュライトの外へ進出して最後の直線を迎え、残り300mでタイムワープとダンビュライトの間を割ってパキスタンスターが抜け出して後続に3馬身差をつける完勝。優勝タイムの2分00秒21は2000mで行われている1997年以降では、1999年のジムアンドトニックに次ぐ速いタイムだった。

 800mの通過タイムは50秒47(400mごとのラップは25秒74-24秒73)。超スローペースの昨年(54秒80)と比べれば速いものの、平均的な前半の入り。その後の400mごとのラップタイムは、23秒71、23秒18、22秒85と刻まれて、上り800mのタイムは45秒75。400mごとの後半3つのラップすべてで24秒を切り、なおかつ加速していったのは1997年以降で初めて。好位グループにつけた日本の2頭にとっては道中で息の入りにくい厳しい流れになったが、対照的に3番手でレース進めて優勝したパキスタンスターにとっては、その強さが際立ったレースになった。

不完全燃焼に終わった日本馬

日本馬のアルアインは途中まで好位置につけたが、5着に終わった 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 5着に終わったアルアインのC.デムーロ騎手はレース後、「先行馬の後ろにつける完璧なレースはできましたが、前を捕まえにいくところで馬の気難しさが出てしまいました。ブリンカーを付けた方が良いかもしれません」とコメント。また、管理する池江泰寿調教師は、「道中はタイムワープを先に行かせて3、4番手でという作戦で、これは作戦通りでした。ただ、結果的にペースが速くて先行馬が総崩れしていますので、オプションとして速ければ中団でもということを持っておけば良かったなと思います」と話した。

 7着ダンビュライトのT.ベリー騎手は、「道中は良い感じでレースができていました。しかし、残り800mあたりでスピードには乗っていけたものの、ぺースが一定になってしまい、彼の末脚を出すことができませんでした。残念です」と語った。

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