韓国は「歴代最高の準備」でW杯へ!? 不安定な守備が露見、世論は悲観ムードに
徹底的に対戦国のスカウティングを実施
対戦国のスカウティングに余念がない韓国。ドイツの親善試合にも視察を送っている 【写真:ロイター/アフロ】
“プランB”の模索と不安定な守備。解決の糸口すら見いだせない状況に、メディアやファンはいら立ちを募らせ、不安を増長させている。これが韓国を取り巻く決戦前の状況と言えるだろう。ただ、シン・テヨン監督は“番狂わせ”を決して諦めてはいない。グループFの厳しさを認めつつ、それでも勝機をうかがっている。
「確かに相手は手ごわいが、われわれもまた、歴代最高の準備を進めている。特別なサポートを受けた02年のW杯日韓大会を除けば、コーチングスタッフ、分析担当スタッフなど、これまでで最高の専門家たちが集まり、努力している。W杯では、情報が多いチームが有利だ」
実際、韓国は対戦国のスカウティングに余念がない。例えば3月には、戦略分析官としてガルシア・エルナンデス氏を招へいした。エルナンデス氏は、03年から16年まで、レアル・マドリーの戦略分析官として、ジョゼ・モウリーニョやカルロ・アンチェロッティ、ジネディーヌ・ジダンなどを補佐した。01−02シーズンにはコーチングスタッフを務め、チャンピオンズリーグ優勝も経験している。ちなみに彼の韓国入りを推薦したのは、元スペイン代表のアシスタントコーチで昨年11月から韓国の首席コーチを務めるトニー・グランデ氏だという。
そんな戦略分析官を新たに迎えた韓国は、W杯で対戦するドイツ、メキシコ、スウェーデンが3月にテストマッチを行った際も、スタッフを現地偵察に送っていた。徹底的に対戦国の情報を収集・分析することで、一筋の活路を見いだそうと必死だ。
指揮官は引きの強さで“番狂わせ”を起こせるか
自らを“ナンノム(持っている男)”と評す指揮官は、強豪ひしめくグループで結果を残せるか 【写真:ロイター/アフロ】
情報分析に新戦力の発掘など、本番までにできることはすべてやり尽くすというわけだ。シン・テヨン監督は韓国メディアにこう言っている。
「もしも韓国がスウェーデンに勝って、メキシコに勝って、ついでにドイツにも勝って3勝すれば“ヤバい”だろう? もちろんこれは想像の話だ。しかし、どれだけ幸せな想像だろうか。私は負けることを考えない。負けたらどうしようと悩むこともない。どうすれば勝てるか。そのために今、何をすべきか。それだけを考えている」
どこまでも強気なその姿勢は、W杯に悲観的な国内世論とは対照的ですらあるが、シン・テヨン監督は自らを“ナンノム(持っている男、引きが強い男という意味)”と自称する指揮官でもある。その引きの強さで番狂わせを起こすか、はたまた無残にも砕け散ってしまうのか。グループFの力関係では最下層にいる韓国だが、たとえ玉砕必至の“まな板の鯉”であろうとも、タダでは引き下がらない。監督にそんな覚悟があることだけは、間違いなさそうだ。