自分に一番合う環境を整えてきたい 女子競歩・藤井菜々子インタビュー
冬場のケガを乗り越えU20日本記録保持者に
秋の国体では21分33秒44のU20日本新記録を樹立した 【写真は共同】
基本は走る練習です。朝練も全部みんなと一緒にやりますし、競歩の練習をするのは、インターハイシーズンの試合に向けての練習になったときだけでした。
――3年生になっても同じでしたか?
同じです。(冬場の練習も)走り込みをしていて、ただ競歩は冬にも試合があるので、そういう試合の前は歩く練習に切り替えてやってきました。
――高校3年の昨シーズンは、さらに飛躍を遂げました。インターハイ路線では安定して22分台をマークして、本番でも連覇を達成。秋の国体では21分33秒44のU20日本新記録を樹立しました。3年生のシーズンを振り返って、どうでしたか?
実は、1月に故障して、そこから3カ月くらい全然走れない、歩けない状態だったんです。全国都道府県対抗女子駅伝の区間を決めるレースの途中で、足が「バキッ」と音がして激痛が来て、ゴールはしたけれど、そこからもうちゃんと歩けない状態になってしまいました。
――どこを痛めたのですか?
左足の立方骨(※足の甲のやや外側に位置する骨)の疲労骨折です。立方骨なので着地のときに痛くて、走るどころか歩くのも痛くて……。
――3カ月かかったとなると、シーズンに間に合うか不安もあったのでは?
焦りました。競歩の強豪の選手たちが参加する全国合宿などもあったのですが、一緒の練習はほとんどこなせないし、別練習するから焦りも出てくるし、悔しさもありました。
――シーズンインに間に合って良かったです。
はい。ですので、充実した練習が積めていたかというとそうではないのですが、試合でまずまずのタイムが出せたので……。
――インターハイ路線の最初となる北部ブロック大会で、22分11秒03(高校歴代2位)の自己新をマークしたあたりで不安も解消されたのですね。17年シーズンで印象に残っているレースは?
やはりインターハイと国体ですね。(21分台は)出せなかったのですが、インターハイのときも22分を切りたいと思っていました。
――インターハイは暑さもあったとは思います。とはいえ、国体も秋とは思えない暑さのなか、完全なる“一人旅”でのレースでした。
確かに暑かったですね。国体では、終盤が想像以上にきつくなりましたが、絶対に高校記録は出すんだという気持ちで歩きました。
東京五輪を目指して競歩選手として実業団チームへ
エディオンは、20年東京五輪を視野に入れた枠で私を採用してくださっています。合宿やいろいろな練習環境についても理解してくださっていて、自分がやりやすいような形で進めていいということだったので決めました。
――今後は、どういう形で続けていくのですか?
広島にある寮に入ります。合宿したり、ダイヤモンドアスリートの研修でNTC(ナショナルトレーニングセンター)を使わせてもらったり、あとは陸連の先生方に見ていただいて練習したりと、いろいろ試して自分に一番合う環境を整えてきたいと思っています。遠隔での指導などの方法も利用したり、海外に行って技術を吸収したり、いろいろなやり方で取り組んでみたいですね。
――今シーズンの目標は?
高校は5000メートルでしたが、シニアになると種目が20キロになるので、まずはしっかりと体の基礎をつくり、20キロで戦えるような力をつけることです。
――具体的な課題はありますか?
フォームですね。上半身のフォームがまだまだなので、長い距離を歩いて疲れてくると、後半にフォームが崩れてしまうんです。それだとタイムが縮まらないので、そういう基礎の部分をしっかりしていきたいです。
――18年シーズンはU20世界選手権があります。この大会は1万メートルのレースとなりますが?
1万メートルは1回歩いています。どちらかというと長い距離のほうが好きなので大丈夫だと思いますが、この大会に向けての練習もしっかりやっていきたいですね。
――藤井選手は自分の長所をどんなところだと思っていますか?
長い距離になればなるほど、後半を諦めないところ。たぶん、しぶといんです(笑)。しつこいというか(笑)。絶対に負けたくないと思ったら、後ろにずっとついていけますし、そういう強い気持ちは、誰にも負けないと思います。
――それはアスリートとして、ものすごく大きな強みですね。今後、さまざまな大会で、そういうレースを見られることを楽しみにしています。