3冠獲得に向け、視界良好のバルセロナ 移籍濃厚のイニエスタは有終の美なるか

バルセロナの誇るクラックは、今季終了後に中国へ移籍する可能性が高まっている 【Getty Images】

 シャビ・エルナンデスがバルセロナを退団してから3年が経とうとしている。個人としてもチームとしても素晴らしいキャリアを築いてきた彼は、バルセロナでのラストシーズン(2014−15)をラ・リーガ、チャンピオンズリーグ(CL)、国王杯の3冠獲得という最高の形で締めくくった。

 そして今、一時代を築いたもう1人の偉大なるクラック(名手)がバルセロナを去ろうとしている。今季終了後に中国リーグへ移籍する可能性が現実味を帯びてきたアンドレス・イニエスタである。

 シャビと同じく、イニエスタにもバルセロナのラストシーズンにキャプテンとして3つのトロフィーを掲げるチャンスが残されている。

今のバルサに対抗できるチームはいない!?

デンベレ(右)ら新戦力もチームになじみ、重要な存在になりつつある 【写真:ロイター/アフロ】

 3月18日(以下、現地時間)に行われたラ・リーガ第29節アスレティック・ビルバオ戦の前半に見せたパフォーマンスを繰り返すことができれば、今のバルセロナに対抗できるライバルはいない。それはラ・リーガのみならず、CLに勝ち残った他の7チーム、そして4月21日の国王杯決勝で対戦するセビージャについても言えることだ。

 あの試合を見た上で本コラムを読んでいる方は、大げさすぎる表現だと言いたくなるかもしれない。ビルバオが異なる姿勢で臨み、高い位置からプレスをかけてバルセロナを押し込んだ後半の内容を考慮すれば、確かにそうだろう。しかし、それでもビルバオ戦の前半には、あらゆるチームに脅威を与えるだけのインパクトがあった。

 今季のバルセロナは守備陣の安定が際立つ傍らで、攻撃面ではライバルを圧倒するようなパフォーマンスを常に発揮し続けてきたわけではない。だが、不意に生じたネイマールのパリ・サンジェルマン移籍を乗り越え、攻撃陣の再編に成功したことは確かだ。

 ウスマン・デンベレとフィリペ・コウチーニョの獲得は、ネイマールを失った反動で生じた衝動的な補強だった。しかも早急にビッグネームの獲得を必要としていたバルセロナの状況を逆手に取り、ドルトムントとリバプールが大幅に要求額を引き上げたことで、2人の移籍金は異常なほど高額になってしまった。それでも彼らは、シーズンの終盤に差し掛かるにつれてチームになじみ、着実に重要な存在となり始めている。

 コウチーニョはウイングとしても攻撃面で貢献しつつ、バルセロナを去る日が近づいてきたイニエスタの後継者として存在感を高めている。デンベレは加入早々のけがにより数カ月の出遅れを強いられることになったが、周囲と連動した動き方を理解するにつれて、動きがよくなってきている。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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