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苦戦する大谷翔平、現地ファンの見方は？　「野球を優先した彼の活躍が楽しみ」

ＮＨＫ「ワールドスポーツＭＬＢ」 2018年3月22日 17:00

２０年以上連続でキャンプ地を訪問

アイダホ州からはるばる１５００キロを運転してキャンプ地に到着したキャンピングカー【NHK ワールドスポーツMLB】

　その男性はエンジェルスを応援するために、巨大なキャンピングカーを約１５００キロ運転し、メジャーリーグのキャンプ地アリゾナを訪れていた。

「２４年間、毎年応援に来ています。僕がナンバーワン。友人のマイクが２２年連続でナンバーツー、２１年連続のクリスがナンバースリーです」

　こう語るのはポール・ミードさん５０歳。エンジェルスの本拠地カリフォルニア州アナハイム近郊の出身で、今は米国北西部のアイダホ州で暮らしている。好きな選手はトラウトだが、大谷翔平の加入にはワクワクしていると語った。

ポール・ミードさん（左から２人目）は仲間たちとキャンピングカー生活を楽しんでいる【NHK ワールドスポーツMLB】

　話を聞いたのは３月１９日（現地時間）。その時点での大谷は打者として２４打数２安打（打率０割８分３厘）と大苦戦。投手としても３日前、７失点と打ち込まれていた。「開幕はマイナーでは」という記事が、日本でも米国でも目立ち始めていた。

「待つしかないよ」とミードさんたちは笑った。

「メジャーの野球は日本と違うから、慣れるまでに少し時間がかかるんだ。だけど僕は成長を期待してる」

　なぜ、そんな風に思うのか、聞いてみた。

「大谷はベースボールに敬意を払い、全力でプレーしている。そこがいいんだ。金銭のことを考えれば、日本に残り、数年後にメジャーで大型契約を結んだ方が得だった。でも彼はお金ではなく、野球を優先した。僕たちはそんな彼の活躍が楽しみなんだ」

キャンプ地アリゾナには４日間滞在。その後また長い時間を掛けて自宅へ戻る【NHK ワールドスポーツMLB】

　ミードさんは４日間アリゾナに滞在し、再びアイダホに帰るという。球場の駐車場に止めたキャンピングカーの脇では、筋金入りのエンジェルスファンたちが今シーズンの展望を熱く語っていた。

筋金入り女性ファンも

大谷のユニホームを手に、大谷について語ってくれたルース・フリーマンさん（右）【NHK ワールドスポーツMLB】

　女性ファンはどう見ているのだろう。

「ＯＨＴＡＮＩ」の名前が入った背番号１７のユニホームを持っていた女性に、ここまでの成績をどう思うか聞いた。

「苦戦しているわね。でもすべて勉強よ。彼は若くてハンサムだし、とっても可愛いわ。球場の年間チケットも買ったし、大谷には早くメジャーの舞台でプレーして欲しい」

ルース・フリーマンさんも毎年アリゾナを訪れるファンの一人【NHK ワールドスポーツMLB】

　大谷が４試合ぶりにヒットを打った２０日の試合の後、球場で彼女の姿を見つけたので声をかけると、満面の笑顔がかえってきた。

「ヒットを打ったわよ。一緒に見たかったわね」

　そのルース・フリーマンさんはファン暦３０年。日本流に言えば「エンジェルス女子」というべきか。毎年アリゾナを訪れるのだという。

「選手たちは憧れの存在だけど、ここに来ると普通の人間として接することができるの。選手の背の高さにびっくりできることも嬉しい。大谷は私よりずっと大きいのよ」

現地で観戦する「ワールドスポーツＭＬＢ」の平原沖恵キャスター【NHK ワールドスポーツMLB】

　今回取材したのはエンジェルスのファンが中心だったので、これが現地の受け止め方だというのは乱暴だとわかっている。だが「期待外れだった」と語る人は一人もいなかった。壁は高いけれど、乗り越えて欲しい。「普通の人間」として大谷選手に接したファンの人たちのこの空気に変わりはないことを、今、敢えて記しておきたい。