大谷との対戦が楽しみな同地区のスター 剛腕に期待の若手、意外な経歴の選手も

菊田康彦

17年途中にアストロズに加入すると、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献したバーランダー 【Getty Images】

 オープン戦では投打ともに苦戦の続く大谷翔平だが、レギュラーシーズンでメジャーリーグ(MLB)の舞台に立てば、対戦が多くなるのは同じア・リーグ西地区のチーム。今回はそのライバル球団の注目選手を紹介しよう。

アストロズにそろうサイ・ヤング賞投手2人

 昨季のワールドチャンピオン、アストロズのエース。それは今季の開幕投手を務めることが決まっているジャスティン・バーランダー(35歳)だ。昨季途中までは一貫してタイガースで投げ、2011年にはア・リーグMVPとサイ・ヤング賞をダブル受賞したが、昨年8月末のトレードでアストロズに電撃移籍。ポストシーズンではマイナー時代も経験のなかったリリーフを含む6試合の登板で4勝を挙げるなど、レギュラーシーズンの先まで見据えてバーランダーを獲得したアストロズのもくろみに、応えてみせた。

 アストロズにはもう1人、サイ・ヤング賞投手がいる。15年に初の20勝で同賞に輝いた、左腕のダラス・カイケル(30歳)だ。パワーピッチャーのバーランダーとは対照的に、こちらはシンカーやスライダーを低めに集めてゴロを打たせる、いわゆる「グラウンドボーラー」。近年はア・リーグのサイ・ヤング賞投手が受賞翌年に不調に陥ることが多く、このカイケルも16年は精彩を欠いたが、昨年は見事に復調した。

昨季のワールドシリーズでダルビッシュから一発を放ったスプリンガー 【Getty Images】

 最近のMLBでは1、2番に長距離砲を置く球団が多くなっているが、アストロズの1番、ジョージ・スプリンガー(28歳)も、昨年はチーム最多の34本塁打を放ったホームランバッターである。ワールドシリーズでは、優勝を決めた第7戦でダルビッシュ有(当時ドジャース)に一発をお見舞いするなど、シリーズタイ記録の5本塁打でMVPを獲得。14年にスポーツ雑誌『スポーツ・イラストレイテッド』が表紙でアストロズを「2017年のワールド・チャンピオン」と“予言”していたことは前回のコラムで紹介したが、その時に表紙を飾ったのは、当時はまだルーキーのスプリンガーだった。
 昨季のアストロズで実に貴重な戦力となったのが、ベネズエラ出身のスイッチヒッター、マーウィン・ゴンザレス(29歳)。なにしろバッテリーと中堅を除く6ポジションを守りながら、自己ベストの打率3割0分3厘(リーグ9位)、23本塁打をマーク。昨年4月末から5月頭にかけては、4試合続けて異なるポジションでの先発出場でホームランを打つという珍記録も作った。今年は、かつて横浜DeNAでもプレーしたユリエスキ・グリエルの故障もあって、正一塁手として開幕を迎えることになりそうだ。

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著者プロフィール

静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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