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人に慕われ、縁に感謝する無良崇人
引退後もフィギュア界を支える存在に

「浅田真央サンクスツアー」に参加

無良はアスリートらしいダイナミックさと格好良さを併せ持つスケーターで、フォトグラファーから見ても絵になるシーンが多いと言われている
無良はアスリートらしいダイナミックさと格好良さを併せ持つスケーターで、フォトグラファーから見ても絵になるシーンが多いと言われている【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 フォトグラファーによると、無良は絵になるシーンが多いスケーターだという。アスリートらしいダイナミックさと、決めポーズの格好良さを併せ持っているというのだ。それは、無良が積んできた演技を磨く努力の表れでもある。もともと豪快なジャンプを持っていた無良は、近年表現力についても工夫を重ね、「魅せる」力をも身につけた。27歳の無良は、競技年数を重ねるにつれて滑りに味わいが増す、スケーターの理想的な進化を体現してきた存在でもある。


 その長いキャリアを二人三脚で支えてきたのが、コーチを務める父・無良隆志さんだ。「この年齢まで、嫌な顔もせずずっと付き添って続けてきてくれた親父には本当に感謝しかない」と無良は言う。引退会見の前日に「本当に今までありがとう」と伝えた。


 無良は自分のスケート人生を「最後の一歩、というところで悔しい思いをしたことは事実ですが、先輩や後輩に支えられてここまでやってこられた」と振り返る。


「みんながいたから、自分はこの年齢まで試合を続けてこられた」

同期の浅田真央さん(右)から花束を受け取る無良。第2の人生は、浅田さんのサンクスツアー参加で始める
同期の浅田真央さん(右)から花束を受け取る無良。第2の人生は、浅田さんのサンクスツアー参加で始める【写真は共同】

 無良と同期で、小学生の頃から同じ試合に出ていたのが浅田真央さんだ。無良が引退を表明したのは、16日に開かれた「浅田真央サンクスツアー開催発表記者会見」でのこと。昨季の全日本選手権が終わった後に、浅田さんから「サンクスツアー」の出演依頼があった。「自分の中で『何をしていこうか』と考えていた時に、すごくいいスタートを切れる、そういうイベントになる」と無良は語る。「サンクスツアー」の特色は、普段アイスショーが行われない地方のリンクを回ることだ。


「アイスショーが地方でやれていないというのは、ファンの方々にずっと言われ続けてきたこと。こういうショーをきっかけに、地方にもスケートリンク、スケートが身近にあるよということを伝えていくきっかけが作れれば僕らとしてはすごく有り難い。日本の選手がどんどん育っていくために何か貢献できることを考えた時に、やっぱり僕らは見せてあげること、実際に触れ合ってスケートを教えてあげることでしか返せない。自分のスケートに対しての恩返しも兼ねて、『協力させてほしい』とお願いして、実現した」


 たくさんのスケーターとつながりがあるのは、無良の人柄によるものだろう。

「大ちゃん(高橋大輔さん)をはじめ、崇ちゃん(小塚崇彦さん)にも織田(信成)くんにも本当にかわいがってもらって、やっとここまできた。何か自分も後輩に残してあげられたらいいとずっと考えて、現役を最後までやってきた」


 トリプルアクセルを跳べずに苦しんでいた宇野昌磨(トヨタ自動車)に、4回転の練習を勧めたのは無良だ。それをきっかけに4回転だけでなくトリプルアクセルも習得した宇野は一気に世界トップレベルのスケーターとなり、平昌五輪でも銀メダルを獲得した。また21日開幕の世界選手権(イタリア・ミラノ)の補欠選手でもあった無良は、羽生の欠場により得た出場資格を友野一希(同志社大)に譲っている。


「僕が織田くんや(町田)樹にチャンスを与えてもらって大きくなってきた部分があったので、やっぱり彼らにもチャンスを引き継げたらいいなと思って、そういう形をとりました」


「縁に感謝して、その気持ちをまた違う場面で、いろいろな人たちにつなげていけたらいい」という無良。プロスケーターとしての活動から第2の人生を歩み始める無良は、コーチングも学ぶという。


「コーチの部分に関しては、勉強もしていかなくてはいけないですし、アシスタントもしながら徐々にやっていけたらいいかなと。また今だからこそプロスケーターとして、試合とは違った形で、自分が滑ることを存分に楽しみながらショーができる。そこも自分の新しい挑戦。いろいろな曲やいろいろなジャンルに挑戦していきたい」


 黄金時代を迎えている日本男子の強さを支える流れを作ってきた無良崇人は、現役引退後も大きな役割を担い続ける。

沢田聡子

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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