エンゼルスが所属するア・リーグ西地区 最強アストロズほかライバルチームを紹介
昨季のワールドチャンピオン、アストロズがア・リーグ西地区では頭一つ抜けている 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
17年ワールドチャンピオンのアストロズ
MLBの場合、生え抜きの選手であっても在籍6年(メジャー登録1032日)でフリーエージェント(FA)になるし、FAで獲得した選手も契約が切れれば再びFAになる。だから、個々の選手との契約の状況によっては、シーズンが替わるとメンバーがガラッと変わることも少なくない。過去20年でワールドシリーズを連覇したのはヤンキースだけ(1998〜2000年)と、現代のMLBで“王朝”を築きづらくなっているのは、そんなところにも理由がある。
ところがこのアストロズの場合、MLB王者になった昨年のレギュラークラスは、ほとんどが契約期間を残している選手と、まだ球団に保有権がある若手。だからこのオフも、野手では大ベテランのカルロス・ベルトランが引退したぐらいで、両リーグトップの896得点(1試合平均5.5点)を叩き出した打線は基本的に変わらない。
投手陣では、昨季はチーム最多の28試合に先発したマイク・ファイアーズ(現タイガース)がFAで去ったものの、代わりにパイレーツで12勝したゲリット・コールをトレードで獲得。昨夏の加入後、5戦全勝だったジャスティン・バーランダーが開幕から投げられることを考えれば、先発陣は昨年よりもグレードアップしていると考えていい。救援陣には不安が残るものの、今季も地区優勝の最有力候補なのは間違いない。
昨年、この地区で最終的に勝率5割を超えたのはアストロズだけで、借金2で2位のエンゼルスに続いたのが、ともに78勝84敗のマリナーズとレンジャーズ。マリナーズは、6、7月と勝ち越して2位に進出し、一時は貯金も作ったが、最後は同率3位がやっとだった。
レジェンドが復帰したマリナーズ
6年ぶりにイチローが復帰したマリナーズ、レジェンドの加入で上位進出を目指す 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
マリナーズの日本人選手にはもう1人、岩隈久志もいるのだが、昨年は右肩痛のため5月に離脱。そのままメジャーのマウンドに戻ってくることなく、9月には右肩の内視鏡手術を受けた。今季は、昨シーズン規定投球回(162回)に到達していれば自動的に更新されるオプション契約になっていたが、故障のためにこれをクリアすることができず、改めてマイナー契約で今シーズンに臨んでいる。
岩隈の復帰は早くても5月頃とみられているが、12年のメジャー移籍以来、2ケタ勝利を3度挙げ、15年には日本人では2人目のノーヒットノーランも達成するなど、これまでの実績は十分。09年のワールド・ベースボール・クラシック、あるいは岩隈がメジャーデビューした12年シーズンのように、外野を守るイチローを背にしてマウンドに上がる姿を、楽しみにしているファンも多いのではないか。
マリナーズはイチローが入団し、佐々木主浩が守護神として君臨していた01年にMLBタイ記録のシーズン116勝で地区優勝したのを最後に、ポストシーズンからは遠ざかったまま。ここ最近は偶数年にはワイルドカード進出争いに絡んできただけに、今年は17年ぶりのポストシーズン進出を狙いたいところだ。