エンゼルスが所属するア・リーグ西地区 最強アストロズほかライバルチームを紹介

菊田康彦

打線の威力は十分なレンジャーズ

昨季41本塁打のジョーイ・ガロ(右)を中心に強打者がそろうレンジャーズ、課題は投手陣か 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 マリナーズと並んで同率3位のレンジャーズは、昨年の途中までダルビッシュ有(現カブス)が在籍していたチームとしてご存じの方も多いだろう。15、16年は地区連覇を飾っており、昨年は球団史上初の3連覇がかかっていたが、序盤のつまづきが響いた。7月末にはワイルドカードでのポストシーズン出場も厳しい状況となり、契約最終年だったダルビッシュの放出を決断。8月には巻き返したものの、時すでに遅かった。

 バッター有利の球場を本拠地にしているレンジャーズの売りは、昨年は41本のジョーイ・ガロを筆頭に、20本塁打以上6人の強力打線。もっとも三振もリーグ2位という「一発か三振か」の典型であり、チーム本塁打はアストロズとほぼ同数ながら、得点はリーグ5位と必ずしも効率は良くなかっただけに、そのあたりをどう改善していくかがポイントになる。

 そして、課題はなんといってもチーム防御率リーグ11位の投手陣。今年はトレードで2ケタ勝利3回のマット・ムーア、FAで同5回のダグ・フィスターを獲得し、現役最多のメジャー通算240勝を誇る44歳のバートロ・コローンとはマイナー契約を結んだが、これらの新戦力がどう機能するか。救援陣ではトニー・バーネット(元東京ヤクルト)の復調と、新加入のクリス・マーティン(昨季まで北海道日本ハム)の働きにも注目したい。

アスレチックスは若手の躍進に期待

2年連続40本塁打以上を放ったクリス・デービス(左)を擁するアスレチックス、若手の台頭に期待がかかる 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 この地区でここ3年連続最下位に沈んでいるのが、かつては映画にもなった「マネー・ボール」で球界を席捲したアスレチックス。12〜14年には2度の地区優勝を含め3年連続でポストシーズンに進出したが、今ではその面影はない。それでも昨年はシーズン途中で主力を放出した結果、後半戦は若手が台頭。9月以降は17勝12敗と勝ち越したのは光明となった。

 打線の中心は、本拠地を現在のオークランドに移して以降では、球団初の2年連続40本塁打以上を記録したクリス・デービス。彼を含めたレギュラー選手は大半がまだ20代で、予想される先発ローテーションも軒並み20代と、今季はチーム全体でさらに若返った印象がある。

 それだけに昨シーズン経験を積んだ若手が一気に成長すれば、ダークホース的存在になる可能性も十分にある。昨年はチームで唯一の2ケタ勝利を挙げたショーン・マナイア、一昨年は10勝したケンドール・グレーブマンに次ぐ先発投手がどれだけ育つか、そのあたりがカギを握ってきそうだ。

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著者プロフィール

静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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