【新日本プロレス】関節技マスター・ザックがNJC準決勝へ SANADAが3人まとめてパラダイスロック

高木裕美

サブミッションマスター・ザックが飯伏を捉えレフェリーストップで勝利。NJC準決勝へ勝ち上がった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 15日の新日本プロレス「NEW JAPAN CUP 2018」東京・後楽園ホール大会では、春のナンバーワン決定トーナメント、NEW JAPAN CUP(NJC)2回戦2試合などが行われ、札止めとなる1718人を動員した。

「NEW JAPAN CUP」2回戦では、ザック・セイバーJr.、SANADAの2選手が勝ち抜き、18日の静岡・アクトシティ浜松大会の準決勝での対戦が決定した。

大穴から優勝本命となったザック

ザックの関節技に苦悶の表情を見せる飯伏 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントでは飯伏幸太vs.ザック・セイバーJr.の対戦。1回戦では内藤哲也を撃破したザックが、またしても大物食いを果たし、「サブミッションマスター」の異名をとどろかせた。

 ザックはイギリス出身の30歳。過去にはプロレスリング・ノアにレギュラー参戦しており、小川良成とのコンビでGHCジュニアタッグ王座も2度戴冠。その後、昨年3.6大田区で新日本マットに初参戦を果たすと、柴田勝頼の保持するRPWブリティッシュ・ヘビー級王座を奪取し、鈴木軍入りを果たした。

 多彩なサブミッションを使いこなすテクニックは以前から注目されていたが、その存在感が一気に高まったのは、今年の「旗揚げ記念日」3.6大田区総合体育館大会だった。この日、ザック本人は試合に出場しておらず、内藤は鈴木軍のタイチとの一騎打ちに勝利。その試合後、鈴木軍のTAKAみちのくが現れ、「NJC1回戦、内藤哲也、ならびにロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのファンの皆さまには残念な結果になると思います」と、内藤の敗戦、すなわちザックの勝利を予告。観客からの大ブーイングの中、「ザックの前に立つ奴は皆ジャスト・タップ・アウト! ギブアップあるのみ」とまで言い切り、「いつ何時、どんな態勢でも関節技、サブミッションホールドを決められる、無限のサブミッションホールドを持つサブミッションマスター」のNJC優勝を断言してみせた。このマイクアピールひとつで、1回戦への期待値が俄然高まった上、実際にフタを開けてみたら、“制御不能男”であるはずの内藤をザックが完全にコントロールしてみせた上で、新技のオリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デスでギブアップ勝ち。このTAKAの「予言」的中により、ザックは一躍、大穴から本命候補にまで上り詰めた。

飯伏が関節技で捕獲されレフェリーストップ

TAKA(右)がマイクを握り「次は準決勝、SANADA、次はおまえだ。ジャスト・タップ・アウト」と予告した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 飯伏とザックは昨年の「G1 CLIMAX」公式戦となる7.21後楽園でも対戦。ザックが優位に攻めるも、飯伏がシットダウン式ラストライドで勝利を収めていた。

 この日もTAKAみちのくのマイクで迎えられたザックは、圧倒的な「飯伏」コールが支配する空間を、得意のサブミッションで制圧。序盤から徹底した左腕攻めを仕掛けると、飯伏もサッカーボールキック、飛びつき式フランケンシュタイナー、キックのコンビネーションからその場飛び式ムーンサルトプレスを繰り出すも、ザックはひるまず、冷静にコブラツイストで捕獲しながら同時に腕もロック。飯伏にハーフネルソンスープレックスで投げられた直後にジャパニーズレッグクラッチホールドで丸め込み、さらに変形STFからクロスアーム式に腕をロック。15分過ぎ、飯伏がパワースラムからムーンサルトプレスを狙うが、ザックはヒザ剣山でブロックし、そのままダブル三角絞めで捕獲。互いの腕をつかんだ状態での攻防から、飯伏がクロスアーム式スープレックスを繰り出すも、ザックはカミゴェを阻止し、変形のオクトパスホールドからパロスペシャルのように両腕を固める変形のアームバーでガッチリと捕獲。場内からは祈るような「飯伏」コールが起こるも、飯伏は身じろぎもできず、レフェリーが試合をストップした。

 試合後もTAKAはマイクを握り、「次は準決勝、浜松。SANADA、次はおまえだ。ジャスト・タップ・アウト」とゆるぎない優勝宣言。「アイツの本当の実力が開花する。アイツは次のベルトを狙っている」と、新日本の至宝となるベルトを巻いた、さらなるビッグネーム食いへ舌なめずりをした。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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