【新日本プロレス】関節技マスター・ザックがNJC準決勝へ SANADAが3人まとめてパラダイスロック

高木裕美

SANADAが矢野を一蹴し準決勝へ

3人まとめてリング上でパラダイスロックを決めたSANADA 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルのSANADA対矢野通では、昨年の「G1 CLIMAX」公式戦を彷彿とさせる攻防が飛び出した。両者は昨年7.27長岡で対戦し、SANADAが場外でパラダイスロックで固めてリングアウト勝ちをさらっている。

 SANADAはこの日も、矢野が着ていたTシャツを頭にかぶせて視界を奪うと、すかさずローリングクレイドルで平衡感覚を奪い、ロープパラダイスを狙うも不発。さらに鉄柵攻撃から、前回同様、場外でのパラダイスロックを狙うも、逆に矢野がSANADAを鉄柵の外へ投げつけて先にリングイン。なんとか間に合ったSANADAだが、矢野は首にTシャツを巻きつけると、イス攻撃で顔面を強打させる。さらに矢野は裏霞、鬼殺しと勝負をかけるが、2発目の裏霞は、SANADAがレフェリーの腕をつかんでカウントを阻止。さらにSANADAは相手のお株を奪う急所蹴りからSkull Endでとらえると、矢野は一瞬のためらいもなく高速でタップ。SANADAが準決勝へと駒を進めた。

 勝利にも喜びを見せないSANADAは、試合後、矢野をパラダイスロックで固め、踏みつけてポーズを決めると、止めに入ったマーティー浅見レフェリー、さらには救出に駆けつけたヤングライオンの八木までも、次々とパラダイスロックのエジキに。リング上に3つの塊が並ぶ異様な光景の中、SANADAは無言で立ち去った。

棚橋とジュースが一触即発 オカダは火に油注ぐ!?

同じチームながらピリピリムードとなった棚橋(右)とジュース(左) 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 翌3.16後楽園でのNJC準決勝戦で対戦する棚橋弘至とジュース・ロビンソンがタッグを結成。チームは勝利を収めたものの、終始、不穏な空気が漂った。

 棚橋、ジュースはマイケル・エルガンとトリオを組み、オカダ・カズチカ&石井智宏&チャッキーT組と対戦。本隊vs.CHAOSという構図ではあるものの、棚橋とジュースの間には、すでにピリピリムードが充満。棚橋が一方的にジュースの背中にタッチして試合の権利を奪えば、ジュースも棚橋の伸ばした手を無視し、エルガンにタッチ。板ばさみとなったエルガンは、このモヤモヤを、6日前のNJC1回戦で熱戦を展開した好敵手・石井に真っ向からぶつけていく。棚橋はオカダにエルボースマッシュ、ドラゴンスクリュー、サンセットフリップ 。オカダもフラップジャック、DDT、ドロップキック、コブラクラッチを繰り出し、棚橋がコーナーに追い込まれたところで、ジュースが棚橋の背中をたたいてタッチを成立させてしまう。IWGPヘビー級王者の首を狙うジュースは、オカダにエアプレーンスピン、プリンスズスロウン、串刺しラリアットとたたみかけるが、オカダもリバースネックブリーカーで反撃。チームが分断される間に、ジュースがパルプフリクションでチャッキーTを下すも、試合後も祝福ムードは皆無。棚橋とジュースがリング上でにらみ合い、間に立ったエルガンがオロオロしていると、オカダがIWGPベルトを掲げて2人を挑発。すでに臨戦態勢に入っていたところへ、さらに目の前に獲物をぶら下げられたことで、両者の闘志はもはや爆発寸前となった。

みのると内藤の刺激的な激突に期待高まる

みのると内藤の刺激的なIC王座戦への期待が高まる 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 NJC1回戦敗退となった内藤哲也は、BUSHI&高橋ヒロムと組んで、鈴木みのる&金丸義信&エル・デスペラード組と対戦。すでに王座挑戦権を失った内藤に対し、IWGPインターコンチネンタル王者のみのるがエサをちらつかせた。

 内藤は先発を買って出ると、リング下に出るなどしてみのるを挑発。しかし、みのるも場外で内藤を鉄柵に打ちつけ、客席の鉄パイプを使ったヒザ攻めへ。内藤もデスペラードにドロップキックを突き刺すと、みのるの方を見ながら目玉を見開くポーズで余裕を見せつける。だが、みのるも舌を出して笑みを浮かべると、ランニングキックを狙うが、内藤がこれをかわしてツバを吐きかけたため、みのるが怒りのエルボー連打。しかし、内藤も延髄斬りでやり返す。みのるは内藤にキッチンシンクを見舞うと、BUSHIをスリーパーで捕獲し、ゴッチ式パイルドライバーでフィニッシュ。

 試合後、鈴木軍は3本のベルトを誇示するようにリング上を占拠し、ポーズを決めると、みのるは内藤に見せ付けながら、マットの上にIC王座を置いて無言のアピール。これに対し、内藤も「風になれ」のサビの大合唱と同時にリングイン……かと見せかけ、実際はリングには入らず。まだNJCトーナメントの真っ最中にもかかわらず、両者の刺激的な遭遇に客席の期待値が一気に高まった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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