【ノア】47歳・杉浦貴が新記録の4度目の戴冠 丸藤が9月に20周年記念興行を開催

高木裕美

原田がジュニア王座V4 RATEL’Sの結束強める

RATEL’S同門対決を制した原田。試合後はより結束が強まった 【写真:前島康人】

 GHCジュニアヘビー級選手権試合では、王者・原田大輔がHAYATAとの「RATEL’S」同門対決を制し、4度目の防衛に成功した。

 HAYATAは2.2後楽園で行われた熊野準との次期挑戦者決定戦を制し、挑戦権を獲得。その意気込みを示すかのように、入場してきた原田に奇襲攻撃を仕掛けていく。原田もHAYATAを場外へ投げ落とし、5分過ぎには花道からステージに連れ出すも、HAYATAが逆にファルコンアロー、ランニング式のドロップキックで場外へ蹴り落とすと、原田はカウント19で辛くもリングイン。原田は雪崩式フロントスープレックスなどの大技で流れを変えようとするも、HAYATAのヒザ蹴り、顔面蹴りからのウラカンラナで、首がマットにめり込むと、場内からは大「原田」コール。なおもHAYATAは丸め込みであわやという場面を作り出すが、原田が抱え込み式のパワーボム、ロープの反動を利用したジャーマンスープレックス、ニーアッパー2連発から、ついに片山ジャーマンを決めるも、まさかのカウント2。しかし、原田はすぐさま2発目を繰り出し、ついに3カウントを奪った。

 試合後、RATEL’Sのメンバーがリングに上がり、4人で手を合わせて結束をアピール。原田は「強かった。片山ジャーマンを返されるとは思わなかった」と、仲間の進化に惜しみない拍手を送った上で、「次の相手は誰でもいい。かかってこい」と次なる挑戦者を渇望した。

小川&稔のベテランタッグがジュニアタッグ戴冠

稔(左)&小川(右)のベテランタッグがジュニアタッグ戴冠。ノアジュニアの停滞感打破を掲げる 【写真:前島康人】

 GHCジュニアタッグ選手権試合では、小川良成&田中稔のベテランコンビが、石森太二&Hi69の「XX」を破り、王座初戴冠を果たした。

 51歳の小川はキャリア32年。ノア旗揚げメンバーでもあり、全日本プロレスでは世界ジュニア王座を3度獲得。GHCジュニアタッグ王座もザック・セイバーJr.とのコンビで2度戴冠している。

 一方、45歳の稔はキャリア24年。藤原組、バトラーツ、新日本プロレス、全日本、WRESTLE−1とわたり歩き、新日本では覆面レスラー「ヒート」として、IWGPジュニア王座の歴代最多記録となるV11を達成。また、IWGPジュニアタッグ王座も5度戴冠した。全日本でも世界ジュニア王座を戴冠するなど、屈指の「ベルトコレクター」である。

 絆で勝るXXは息の合った連係を見せるが、小川と稔も早いタッチワークで応戦。10分過ぎ、小川が石森を鉄柱に打ちつけてからバックドロップ、腕固めを仕掛けると、稔もHi69にドロップキック。XXも小川への合体攻撃で反撃に出るが、ことごとく稔がカット。さらに石森の450°スプラッシュは小川にヒザ剣山でブロックされ、直後に丸め込まれるなど、まったくペースを握れない。小川が石森にバックドロップを繰り出し、キャメルクラッチ式アームロックで捕獲すると、すかさず稔もHi69を腕ひしぎ逆十字固めでロック。この絶望的な状況に、石森がたまらずタップし、王座移動となった。

 またしても新たなベルトを獲得した稔は「キャリア24年のオレでも、小川さんと組んでると勉強になる」と、先輩に敬意を表しつつ、「平和ボケしたノアジュニアに違和感を与えたい」と、“外敵”として、同世代同士、仲良しこよしムードの漂っていたノアジュニアに刺激を与え続けることをアピールした。

清宮はパートナー・潮崎に玉砕も健闘

清宮(左)がタッグパートナーとなる潮崎に玉砕 【写真:前島康人】

「GLOBAL TAG LEAGUE 2018」ではタッグを結成する潮崎豪と清宮海斗が一騎打ち。清宮が奮闘するも元GHCヘビー級王者の壁に玉砕した。

 清宮は高校卒業後、15年12月にノアマットでデビュー。16年には鈴木みのるとの一騎打ちを実現させるなど、将来を期待されており、昨年7月にカナダ遠征に出発。同年12.22後楽園で突如帰国し、翌年の1.6後楽園では拳王のGHCヘビー級王座へ挑戦するも、あと一歩及ばず敗れた。

 この日も、清宮は潮崎に対しミサイルキックやエルボーで食らいつくと、潮崎の逆水平チョップ、マシンガンチョップで胸板を真っ赤に腫らしながらも、なおもドロップキックを炸裂。しかし、潮崎は袈裟斬りチョップ、ゴーフラッシャー、レフトハンドラリアットとたたみかけると、狙いすましたショートレンジ豪腕ラリアットで3カウントを奪った。

「沸き上がる熱いパワーを感じたかった」と自ら一騎打ちを熱望した潮崎は、この戦いを通じて手応えを感じ、タッグリーグでのさらなる成長に期待した。

丸藤、全日本CCにも意欲「結果を出す」

20周年を迎える丸藤が20周年興行開催を発表した 【写真:前島康人】

“方舟の天才”丸藤正道が、9月1日に東京・両国国技館でデビュー20周年記念興行「飛翔」を開催することを発表した。

 丸藤はこの日、「GLOBAL TAG LEAGUE 2018」でもタッグを結成する小峠篤司と組んで、齋藤彰俊&越中詩郎の「平成維震軍」コンビと対戦。越中の奇襲攻撃にあい、ヒップアタックに苦戦しながらも、鋭いキックやチョップを繰り出し、試合の流れを作ると、小峠が齋藤にムーンサルトプレスで勝利した。

 試合後、丸藤は「ちょっと報告があるんで、モニターを見てください」と観客に訴えると、20周年記念大会を発表。客席から大きな拍手が起こる中、「オレも何とか20年やってこれた。9月1日、まだ半年あるけど、全員の9月1日という一日をオレにくれ! 無理を承知で、いろんなところにオファーをかけてみる。みんなで最高の空間を作ろう。ありがとう」と訴えかけた。

 1998年8月に全日本プロレスでデビューした丸藤は、00年にノア移籍後、団体・階級の枠を超えて活躍。ノアマットではGHC4大タイトル(シングル、タッグ、ジュニア、ジュニアタッグ)をすべて獲得したほか、さらには史上初となるメジャー3団体のジュニア王座戴冠(新日本・IWGPジュニア、全日本・世界ジュニア、ノア・GHCジュニア)を達成。16年7.18札幌では、新日本の「G1 CLIMAX」公式戦で、IWGPヘビー級王者であった“レインメーカー”オカダ・カズチカに完勝し、その年のプロレス大賞ベストバウトも獲得した。昨年はDDTプロレスリングのHARASHIMAとKO−Dタッグ王座も戴冠し、路上マッチも初体験。4月からは古巣・全日本の「チャンピオン・カーニバル」(4.7仙台開幕)に初出場するなど、ますます意欲的に活動している。

 メジャー、インディー問わずさまざまな団体に出場し、全日本時代は故・ジャイアント馬場さんの頭の上を飛び越えるといった大胆なファイトも披露。さらには天龍源一郎、藤波辰爾、初代タイガーマスク、武藤敬司といったレジェンドレスラーにも絡んでいる丸藤の20周年となれば、豪華かつ意外性のあるマッチメークが期待される。

 20周年大会についての意気込みを聞かれた丸藤は「夢かと思われるような人にもオファーを出していきたい」と、ノアの枠を超えた顔ぶれを予告。まずは目前に迫った全日本の「チャンピオン・カーニバル」についても「結果を出す」と、初出場での栄冠獲りを宣言した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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