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中盤で起用され、葛藤する久保裕也
「器用貧乏が必要条件」という言葉の意図

オーステンデ戦で2試合ぶりに先発も惜敗

久保裕也はヘントでインサイドハーフとして起用されている
久保裕也はヘントでインサイドハーフとして起用されている【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 ヘントの久保裕也は現地時間3月3日のオーステンデ戦で2試合ぶりに先発し、70分間プレーした。チームは2−3で惜敗した。


 昨年10月、イベス・ファンデルハーゲが監督に就任してから4−3−3フォーメーションを貫くヘントだが、中盤についてはアンカーを1枚置くシステムに移行している。


 前節のベフェレン戦での久保は、0−1でリードを許していた58分から登場したため、攻撃に専念することができた。81分にはこぼれ球を拾って右45度から強烈なシュートを撃つなど、久保も頭の中ですべきプレーが整理されていた様子だった。結局、ヘントはアディショナルタイムにロマン・ヤレムチュクが劇的な逆転弾を決め、2−1で勝利。「プレーオフ1(上位6チームによるプレーオフ)」進出を決めた。


 オーステンデ戦の久保は、2試合ぶりの先発に思うところがあったのか、ペナルティーエリアの外から積極的にシュートを撃ち続けた。この日、久保が放ったシュートは5本。その全てがミドルシュートだったのだ(内、4本は前半)。


「ああいう姿勢は良かったと思います」(試合後の久保)


 しかし、ボックス内でのプレー機会は限られた。前半は、相手ペナルティーエリア内右側をえぐってクロスを試みたのが2回。後半は相手ゴール前でのポジション取りを増やしたが、なかなかボールが来なかった。


 また、ビルドアップでのイージーミスも反省材料だった。オーステンデの先制点は、久保のハンドによって与えたPKから。それよりも、ビルドアップ時に、久保が自陣でボールをロストしてしまったことのほうが痛かった。


「失点に絡んでしまったので、まだまだ中盤として改善できるかなと思います」

インサイドハーフで感じるやりづらさ

 久保のプレーゾーンを見てみると、今の久保はヘントの中盤のシステムに完全に組み込まれており、相手ゴールから遠いところでボールに触り続けているのが分かる。前任のハイン・ファンハーゼブルック監督(現アンデルレヒト)時代は主にシャドーストライカー、日本代表では右のアタッカー、そして今はインサイドハーフと、指揮官によって久保のポジションは変わってくる。


 とりわけ、インサイドハーフのポジションは、自陣ディフェンスラインの手前まで戻る献身性が求められ、プレーやスプリントの質が、これまでと違ってくる。果たして久保は、そこまでマルチなプレーヤーなのか。少し疑念に思うところもある。


「やりづらさはすごくあります。逆三角形の中盤の左側だったら、ちょっとやりやすさもありますが、右利きにとって右側は少しイメージがないとやりづらい。今まではもう少し前(のポジション)でやっていたので、中盤をやる時はイメージを持つのに少し時間がかかるかなというのはあります。でも、そういうことを言ってもしょうがない」

前へ行きたい思いと、結果を残したいという思い

クラブや代表で、久保はさまざまな役割を求められる
クラブや代表で、久保はさまざまな役割を求められる【写真:アフロ】

 久保はゲームメーカーではなく、ストライカーという自負があるからこそ、中盤の左側の方が右足でシュートを撃ちやすいというイメージを持っているのだろう。ならば、日本代表の右サイドでのプレーはどうなのだろう? 久保は明確な回答は避け、こう答えてくれた。


「代表は代表でまた、頭を切り替えないといけない。そこは、僕にとっては“器用貧乏”が必要な条件かなと思います」


 多くの選手が「器用貧乏にはなりたくない」と言う中、久保が「“器用貧乏”が必要な条件かなと思います」とコメントした意図は何だろうか? その答えは手短だった。


「ある程度、使われやすいタイプなので、どこでもこなせるということが求められると思います」


 そうなると、あまり「前へ、前へ」というわけにもいかないのか……。


「でも気持ちとしては前へ、前へ行きたい。そこが一番大事。結果を残さないと(いけない)という思いもある。そこの葛藤はあります」


 そして、久保は「前に行きたい、行きたいと思っていても、下がってやらないといけない。『どうしたらいいんだろう!?』という感覚は少しありました」とも言うのだ。


 ゴールへの強い思いと、MFとして求められるプレーをいかに折り合わせるか――。


 まだ久保の頭の中は整理しきれていないように思える。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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