優勝争いを再燃させたアトレティコ 週末のバルサ戦は今季最高の対戦カード

対照的なプレースタイルの対戦

バルセロナといえども、アトレティコ相手には1つのミスが命取りとなりかねない 【Getty Images】

 中盤にはハードワーカーであり、かつタレントにも恵まれたサウール・ニゲスやコケ、柔軟性を併せ持つトーマス・パーティらがいる。チェルシーから帰ってきたコスタがグリーズマンと恐るべきコンビを組んだことで、前線の破壊力は飛躍的に増した。

 実際、ビトロやアンヘル・コレア、ケビン・ガメイロといった重要な選手がベンチで出番を待たなければならないほど攻撃陣の層は厚い。彼らの背後にはフェルナンド・トーレスも控えている。

 シーズンの終盤にバルセロナがリードを保っているからといって、全てが決まったわけではない。ホームのカンプノウで直接対決を戦えることでさえ、クレ(バルセロナファン)たちの勝利を保証することはない。不屈の魂を持つアトレティコに対し、この手の大一番で良いプレーができるチームがほとんどいないことは、もはや周知の事実である。

グリーズマンは直前のレガネス戦で4ゴールを挙げた 【Getty Images】

 両者のプレースタイルは対照的だ。ボールポゼッションをベースとし、中盤の並びに複数のバリエーションを持つバルセロナに対し、アトレティコは90分間肉弾戦を強い続けるはずだ。バルセロナの優れた攻撃陣は、リーガ1の堅守をこじ開けなければならない。一方でバルセロナの守備陣はビルドアップ時にミスを犯さぬよう、最新の注意を払う必要がある。アトレティコ相手には1つのミスが命取りとなりかねないからだ。

 こうした背景も含め、トップレベルの選手たちがチームの大半を閉めるバルセロナとアトレティコの首位決戦は、間違いなく今季のラ・リーガにおける最高の対戦カードだと言える。

 スタジアムに足を運ぶにせよ、テレビの前で見るにせよ、2つの異なるスタイルのぶつかり合いは、この上なく白熱した一戦となるはずだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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