大野奨太、中日移籍で新発見の毎日「知らないって、もったいない」

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速さ以上に強い岩瀬さんに驚き

初めて組む投手ばかりだが、新たな発見は喜びでもある。日々、情報を収集し、新たなシーズンへと臨む 【写真=井田新輔】

 まったく違う環境に身を置いたからこそ見えてくるものがある。中日投手陣が秘める高い可能性。勝利のため、それを最大限に引き出すつもりだ。

──中日の投手陣についても聞かせてください。交流戦などで研究することもあったと思いますが。

 そうはいっても、交流戦は年に数試合ですからね。今の投手だと雄大と田島くらいしかしっかり記憶になくて、笠原(?太郎)はどんな投手か知らなかったし、又吉(克樹)は中継ぎでしたし。(小笠原)慎之介も多く投げるようになったのは昨季からですからね。

──先ほど木下雄投手の名前が挙がりましたが、ほかに「いいボールを投げるな」という投手はいますか?

 笠原のチェンジアップですね。久々にめちゃくちゃいいチェンジアップを見た、という感じです。

──パ・リーグではオリックスの金子千尋投手もチェンジアップの名手です。

 う〜ん。金子さんを受けたことがないですからね。打席で見るのと受けるのでは、軌道などの印象がまったく違うんですよ。ましてや右打者にはフォークのほうが多いですから、金子さんと比べることはできないんですけど。

──笠原投手のチェンジアップの特徴は?

 浮いてこない。浮きかけてから落ちるんですけど、落ちる中でボールがこないという感じです。すべてを兼ね備えたチェンジアップですね。緩急をつけられるし、空振りも取れる。でも、ほかのボールもいいので、チェンジアップばかりに頼らなくてもいいのかな、という印象です。

──ほかの投手はどうでしょうか。

 やっぱり岩瀬(仁紀)さんは「すげえな」と感じましたね。球の軌道もそうだし、表現が難しいですけど、受けた感じで「すげえな」と。18.44メートルの空間の中で、本当に「すごい」と感じました。マウンドまでの距離が近く感じるし、球が強いんですよね。速さ以上に強さがある。それは驚きましたね。

──新助っ人の実力も気になるところです。

 いまのところ(2月14日時点)、ジーは受けさせてもらいましたけど、とてもいい感じだと思います。コントロールが良いから、よっぽどのことがない限り、フォアボールはそんなに出さないだろうな、というくらいに制球力があります。ガルシアはまだ受けていないので、そこはこれから。

──セ・リーグとパ・リーグの投手の違いは感じますか。

 中日はピッチングが丁寧ですね。みんなが丁寧に、丁寧に、低めやコーナーを突いてくる。日本ハムがそうだったのかもしれませんけど、パ・リーグは「おりゃあ!」というタイプが多かったので。

──大野選手のリードが変わってくるところもあります。

 もちろん。投げ切れる投手が多いと思いますし、カウントの取り方も変わってきます。

──球種やサインなど、捕手はチームが変わると新たに覚えないといけないことが多く、作業量としてはほかのポジションよりも多いと思いますが……。

 まあ、それは知れていますよ。どの投手もそんなに変わらないですから。

──ただ、新しい環境の苦労はあると思います。挑戦のモチベーションとなっているものは何でしょうか。

 僕は何でも、新しいからこそモチベーションが高まります。もっと知りたいんです。野球界って本当に狭い世界で、その中で知らないことが多いのは嫌……というか、もったいない。せっかく一度きりの野球人生なのに、どうして知らないことがあるんだろう、と思ってしまうのがものすごくもったいなくて。それだったら知ったほうが自分のためになる、という考えです。

──先ほど言っていた中日のいいシステムや、笠原投手のチェンジアップのように新しい気付きがある。

 これからもっとたくさんあると思いますよ。「こんな野球があったんだって」。パ・リーグだけ、セ・リーグだけだと引き出しが少ないですよね。考えればできる人もいるんでしょうけど、僕は体験しないと嫌な人間なので。両方のリーグを経験している指導者の方は、次の展開を読むのが早いように感じるんです。選手を交代させるときも、どこに当てはめればうまく回っていくかと、発想力がすごい。それは両リーグを経験しているからだと思いますね。

──18年、低迷脱出のために大野選手にかかる期待は大きいです。

 僕は「いて良かったな」と思ってもらえるくらいでいいです。小さいことをやっていって、チームのためになって、それが全体に浸透してくれれば。個人の目標は立てますが、それは自分の胸に秘めておきます。

「ファンの方は変わらずに応援していただけることが一番ですが、チームとしては何かを変えていきたいと思っています。勝つこと以外にもみなさんに喜んでもらえることをやっていきたい。それも楽しみにして試合に来てほしいです」と強く誓う大野。ナゴヤドームをドラゴンズブルーに染めるために、全身全霊をかけている。

(取材・構成=吉見淳司)

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