複合・渡部暁斗を脅かすライバルたち フレンツェルら独勢、ノルウェー陣も難敵
シュミットは平昌入り後にジャンプが不調
ノルウェーのシュミットは平昌に入ってからジャンプが不調だが…… 【写真:ロイター/アフロ】
昨季は、競技フォーマットである“グンダーセン方式”(スキージャンプの得点をタイム差に換算し、クロスカントリーで成績トップから時間差でスタートする)を作ったグンダー・グンダーセン氏(※ノルウェー出身の元複合選手)を草葉の陰で嘆かせてしまうような低迷ぶりだったが、ジャンプのレベルアップを実現し、五輪に合わせて立て直してきたのはさすがだ。
渡部暁に次ぐ今季3勝を挙げてW杯ランク2位につけるシュミット、同3位でソチLH金メダリストのグラーバクは、クロカン王国の選手らしく走力があるだけに、ジャンプで好位置につけられると手ごわい。
ただ、34歳にして大化けしたシュミットは、平昌に入ってからジャンプが不調。NHではジャンプ31位で意気消沈してしまったのか、まさかの25位。今大会前に五輪について話を聞いた時には、「3、4回出ているが調子を合わせられたことがない。毎回、何かトラブルがあったり……。今回はピークを持っていけるように」と、トーンダウンしていたが、不安が的中してしまったか。
渡部暁はライバルたちを退け、LHで金メダルを獲得できるか 【写真:ロイター/アフロ】
「ジャンプ10:クロカン5」のジャンプ特化型の選手で、17歳でW杯デビューを果たすと、ケタ違いの飛距離でザワつかせた20歳。ジャンプ強豪国ノルウェーの国内選手権で、W杯優勝経験のあるジャンパーたちをなぎ倒して2位に入ったこともあるほどの才能の持ち主だ。W杯ではジャンプで2位以下に1分以上の差をつけたこともあり、前半で断トツ1位に立つことも多いが、走力がないため、後から追ってくるライバルたちに容赦なくつぶされてきた。だが、今季は少しジャンプがおとなしくなったせいか、クロカンの力がやや上がったような気も。
先日のNHでは、渡部暁より13秒先の2番手でスタートすると、やはりというべきか、折り返しまでもたずに追いつかれた。だが、渡部暁らに最後まで食らいつき、メダルまであと一歩の力走だった。W杯では、優勝待ったなしのレースでゴール目前にコースを間違えて失格したり、転倒して外れたスキー板を拾わずそのまま片板で走ってごぼう抜きを食らってみたりと、前代未聞の珍プレーを連発し、大物感も漂う逸材。ぶっ飛べば一気にダークホースになるかもしれない。
オーストリアのルーカス・クラプファーや、フィンランドの若手もクロカンが強い。NH銅メダルのクラプファーは、謎めいた走力開発で年明けから後半に順位を爆上げすることが続いた。とはいえ、「ジャンプ8:クロカン9」だが、渡部暁より4秒遅れでスタートしたNHでは、先頭集団で走るも、残り1キロを切ったところでギブアップ。渡部暁が走力で負けることはなさそうだ。
果たして、渡部暁は悲願の金メダルを手にすることはできるのか。LHは20日、午後7時にジャンプがスタートする。