平昌五輪・新種目ビッグエアの楽しみ方 一発の大ジャンプが迫力満点
比較的分かりやすい種目
スノーボードの新種目・ビッグエアの平昌五輪のジャンプ台 【写真は共同】
主にスピントリックが繰り出され、腹を進行方向へ向ける回転がフロントサイドスピン、背を進行方向へ向ける回転がバックサイドスピン、通常のスタンスとは反対向きに滑るスイッチの場合は、腹を進行方向へ向ける回転がキャブスピン、背を進行方向へ向ける回転がスイッチバックサイドスピンとなる。
予選は1人2本滑った中からベストポイントが採用され、決勝では3本のジャンプを行い、この4方向のスピンから異なった回転方向の上位2トリックの合計点で争われる。スピントリックは最小単位にあたる半回転が180(ワン・エイティ)、1回転は360(スリー・シックスティ)となり、3回転半であれば1260(トゥエルブ・シックスティ)、4回転であれば1440(フォーティーン・フォーティ)となる。
回転には横方向、縦方向、斜め方向などがあり、それぞれでトリック名はもちろん、難易度が異なる。トリプルコーク1440とは縦方向と横方向へのスピンが融合した斜め回転のことを指し、縦方向に3回転しながら横方向への4回転を同時に行う技のこと。エアの高さ、難易度、完成度、多様性などの視点から採点され、回転方向や回転軸、グラブと呼ばれるボードをつかむ位置などで各選手は個性を放つ。
世界最高峰とされるX GAMESアスペン大会のビッグエアは安全面を最大限に考慮しているため、ジャンプ台は巨大なのだが、キックと呼ばれる飛び出し口とナックルと称されるテーブル部分の角(着地面の始まり)の高低差は大きくない。これは滞空時間を生み出せるエアの軌道を確保しながらも、落ちていくのではなく“受ける”ような形状にすることで、着地時の衝撃を緩和しているのだ。さらに、着地時の衝撃を逃がすために今年開催された同大会では、過去最大の40度の傾斜をランディングに用意した。こうして万全を期すことで、ライダーたちはクワッドコークといった高難度トリックを繰り出せるのだ。果たして平昌五輪ではどのようなジャンプ台が用意されるのだろうか。
決勝は異なる回転方向の2トリックの合算でジャッジ
予選は1人2本のランからベストポイントで争われるため、大技を1つ持っていれば勝ち上がることができるのだが、決勝では異なる回転方向の2トリックの合算で勝敗を決するため、フロントサイド、バックサイド、キャブ、スイッチバックサイドの中から選択することになる。
先行動作を大きくとれることと、通常のスタンスから踏み切る1080や1440などは同スタンスで着地でき、かつ、その際にランディングポイントに正対する回転になることから着地しやすいため、バックサイド方向への高回転スピンを放つライダーが多い。しかし、同じバックサイドスピンでも半回転加えることで背中側から着地点に落ちていくことになるため、難易度が一気に上がる。
また、フロントサイドスピンはバックサイドよりも先行動作の振り幅が小さく、同様に通常のスタンスで着地するにはランディングポイントに背中側から向かっていく格好になるため、バックサイドスピンよりも難しい。スイッチスタンス時も同様だが、着地を通常のスタンスにする900や1260などのスピンが主流となり、キャブはバックサイドスピンと同じ回転方向になり、スイッチ・バックサイドはフロントサイドスピンと同じ回転方向になることから、4方向ある回転ではスイッチ・バックサイドスピンが最も難しいとされている。
さらに、グラブの位置にも注目してほしい。バックサイドスピンの場合は背を進行方向へ向けるように回すため、前手でつま先側のボードの両足間をつかみ、回転方向へ後ろ手をリードすることで回しやすくなるためグラブが簡単だ。これを「ミュートグラブ」と呼ぶ。反対に、後ろ手でつま先側のボードの両足間をつかむ「インディグラブ」をすると流れに逆らったアクションになるため、回しづらい反面、スタイリッシュとされる。これはダブルコークやトリプルコークといった3Dスピンが加わっても同じことが言えるため、こうしたポイントに着目して見ることで、より楽しめるはずだ。