スキースロープスタイルの新星・山本泰成 男子初の五輪代表は世界も注目する16歳

Bravoski(ブラボースキー)

スキースロープスタイルは世界中で人気上昇中

日本男子として五輪のスキースロープスタイル種目に初出場する山本泰成 【写真は共同】

 2001年生まれの16歳。平昌五輪のフリースタイルスキー・スキースロープスタイル種目で日本男子として五輪に初出場する山本泰成(尾瀬スノースポーツクラブ)は、その高いポテンシャルによって、世界中から注目を集めている選手だ。

 スロープスタイルは、コース中に設けられた複数のジブ(レール状のアイテム)セクションと、いくつかのキッカーをつないで滑る競技。各セクションでのトリックの完成度とともに、1本のランの流れ全体がトータルで評価され、選手の個性と創造性が見どころの、フリースタイルスキーの花形種目だ。

 採点基準は「総合評価と完成度」「難易度」「エアの高さ」「トリックのバリエーション」「進化性」の5項目。予選は抽選順に2本滑り、決勝は予選上位12名の下位から順に3本滑る。予選のスコアは反映されず、決勝のスコアで決勝進出者の順位を決する。

 スキーのスロープスタイルやハーフパイプはワールドカップ(W杯)や世界選手権などFIS(国際スキー連盟)が管轄する大会と、AFP(Association of Freeskiing Professionals)と呼ばれるフリースキープロフェッショナル協会が公認する大会(X Gamesがその代表格)の2種類のシステムが存在している。選手達はそのどちらにも出場しており、五輪種目になったことによって、より多くの目に触れられることから、世界中で人気が上昇中だ。

有力選手がひしめくW杯で8位入賞

 スロープスタイルが五輪種目になったのは前回のソチ五輪からとなる。五輪を見据えた国単位の強化が各国で図られる中、米国やカナダといった北米勢に負けるとも劣らない勢いで、スイスやノルウェーといったヨーロッパ勢が台頭してきている。

 直近に行われたX Gamesのスロープスタイルで優勝したヘンリック・ハーロウ(スウェーデン)、難易度の高いトリプルコークをいとも簡単に成功させるアンドリ・ラゲットリ(スイス)、いまもっとも勢いのあるヨーロッパを代表するオーステン・ブラーテン(ノルウェー)、正確無比なライディングでスコアを伸ばすニック・ゲッパー(米国)など多くのトップスキーヤーが名を連ね、誰もがメダル候補だ。

 山本が8位入賞した1月の米国スノーマスでのW杯は、まさに前述した選手たちの多くが参戦していた大会だ。さらに、層の厚すぎる米国チームは、五輪出場枠4名の切符を北米で行われた2つのW杯(スノーマスとマンモス)の結果で決めるとあって、実力者がこぞって参戦。この2戦に限っては世界最高峰と言われるX Gamesにも勝るとも劣らない選手層とささやかれた。そうしたレベルの大会で、山本は予選を突破して8位に入った。

 結果を残した要因のひとつとして、昨年末に習得したジブセクションでのトリックがちょうど1つ目のレールと相性が良かったことが挙げられる。そのため、全体的に良い流れを引き寄せることができたのだ。また、他セクションでもどのトリックをするかの選択に時間をとられなくなり、今まで以上に公式トレーニングの時間を効率的に使えるようになった。迷いなく本番を迎えたことが好結果につながったのだ。

1/2ページ

著者プロフィール

今年で創刊37周年を迎えた双葉社発刊のスキー専門誌。90年代中盤からフリースタイルスキーに着目し、98年長野五輪・モーグル種目で里谷多英、上村愛子らが活躍してモーグルが一大ブームとなる。現在ではフリースタイルスキー(パウダー、パーク、モーグル)の専門誌として年間3冊発刊

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント