スキースロープスタイルの新星・山本泰成 男子初の五輪代表は世界も注目する16歳
4歳からフリースキーを始め、10代半ばで頭角を現す
W杯で8位に入った山本は、得意のジブに加えジャンプも急成長中だ 【写真は共同】
彼は小学生の頃から腕を磨くため、群馬県にあるスノーパーク尾瀬戸倉の「白川塾」で、年上の先輩たちに揉まれて育った。スキーに熱心な親のおかげもあって、雪のないオフシーズンは室内スキー場の「スノーヴァ溝の口」や、樹脂製ブラシを敷き詰めたスロープを滑り、プールに飛び込むウォータージャンプ(S-air)を中心にトレーニングを積んできた。
国内のジュニアシーンではトップを走り続け、15歳になった16年の夏、ニュージーランドへ遠征。W杯の下位大会となるコンチネンタルカップで3位になり、W杯の出場権を獲得する。さらに、滞在中には日本人で初となるトリプルコーク1440を決めたチームメートの佐々木玄に触発され、トリプルコーク1620を成功させた。
17シーズンにはジュニア世界選手権で優勝。得意のジブに加えて、グラブをしっかり入れたダブルコークを決めるなど持ち味を発揮した堂々の勝利だった。
「メンタル面での安定感が出てきた」
「まず意識したことは泰成の感覚や考え方を共有することです。それから、泰成の考え方の癖をつかむことでした。その点では、昨シーズンのW杯初戦からジュニア世界選手権までマンツーマンで大会遠征をしてきたことが、非常に大きな収穫になっています。
特に昨シーズンのイタリア、カナダ、スイスの3戦ではメンタル、フィジカルともに相当ボロボロになりました。W杯初参戦ということで、うまくいかない時に感情的になる場面も多々……。でも、その時の経験から必要なものがハッキリ見えてきたので、今シーズンのW杯初戦(ニュージーランド)から、特にメンタル面での安定感が出てきました。
昨シーズン行われたイタリアでのW杯初参戦の時から、ジブセクションでのトリックを海外トップ選手と変わらない難易度でできていた点は、これまでの試合でも大きな武器になっています。さらに、ジャンプセクションでは海外選手もやらないトリックを習得しています。『こいつはなんかやってくるな』という期待感を、他国の選手やコーチ、ジャッジも感じているようで、そこも強みになっていると思います」
複雑な平昌のコースをどう攻略するか
特に前半のジブパートは地形を組み合わせた作りになっており、選手の特徴や狙いがパフォーマンスに表現されて面白いところ。後半のジャンプパートの中には、飛び出し口がねじれた形状のジャンプ台や、複数のジャンプ台が組み合わさった複雑な形をしており、前回のソチ五輪を大きく上回る創造性豊かなコースに仕上がっている。
山本はスタート前に、大きな声で「わっしょーい!」と気合を入れるのがお決まりのルーティーン。これが海外選手やコーチに大ウケしており、スタートエリアはとても良い雰囲気になるという。男子スキー・スロープスタイルは、18日に行われる。
「まずは決勝にいくことを目標に、自分の演技ができるように頑張ります」
そう意気込む山本のパフォーマンスに大いに注目したい。
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