平野歩夢の銀メダルは妥当だったのか? 絶対王者の“演技”見抜けず誤審も……

構成:スポーツナビ

“絶対王者”ショーン・ホワイト(右)が金、平野が銀に終わったスノーボード男子ハーフパイプ。しかし、その結果に異議が…… 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 平昌五輪スノーボード男子ハーフパイプでは、平野歩夢(木下グループ)が日本に2つ目の銀メダルをもたらした。平野は2回目のランで「ダブルコーク1440」の連続技を含めたルーティーンを完璧に成功させ、95.25点の高得点をたたき出し、金メダルに大きく近付いた。

 しかしそれを最後に上回ったのが“絶対王者”ショーン・ホワイト(米国)だった。3回目の最終滑走で平野と同じく1440(4回転)の連続技を成功させ、97.75点をマーク。2006年トリノ五輪、10年バンクーバー五輪に続く、3つ目の金メダルを獲得した。多くの星条旗が揺れた観客席は沸きに沸き、「USA」コールに包まれた。

 今回の決勝の戦いをスノーボード専門誌『BACKSIDE』編集長の野上大介氏に解説してもらった。すると、野上氏は「スローで見れば誰でも分かりますが、誤審でした。本当に悔しいですね」と、“絶対王者”の金メダルに異議を唱えている。

平野はもっと高得点がでて良かった

平野は完璧な演技を2回目で見せた。しかし得点は思ったより伸びなかった 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――平野選手が95.25点をマークした2本目の滑りはいかがでしたか?

 とても高い完成度でした。ですから点数が低すぎると思いますね。その理由は2本目だったからでしょう。後ろの滑走順にスコッティ・ジェームス(オーストラリア)とショーンがいて、さらに3本目も残っていました。またショーンは1本目で1440の連続技を出していなかったので、(審判が)100点満点に対する余剰を残したジャッジでした。

 平野選手の演技をスローで冷静に見るとグラブもすごいです。4回転、4回転、3回転半、3回転半と、全部でつかんでいる時間が長いんですよ。グラブには見栄えプラス、回転を安定させる意味があります。かつ回転の完成度が高くないと長く同じ体勢を維持できないので、よりグラブが長い方が技の完成度が高いと言えます。

 ですので、平野選手の2本目は完成度がかなり高いです。「あれで(得点が)出ないのならしょうがない」という一言では片づけたくありません。あれを3本目に決めていたら逆の話になっていたでしょう。人間は機械ではないので仕方がないのですが、本来98点台が出ていても不思議ではない滑りでした。

――3回目のランはより高得点を狙いにいった滑りになりました。

 2本目で完璧だったと思うので、1個1個のクオリティーをさらに上げにいった結果、もしくは技の数を1つ増やして6つにしようとした結果、さらにオーバースピードで突っ込むことになり、結局、キャパオーバーになってしまったように感じます。

 6回飛ぶことも、やる気になればできると思います。ただ、エアから入って1440−1440−1260−1260と高難度の技ばかりなので、平野選手の技術を持ってしても(コースの)距離を使ってしまう。最後まで高難度技で締めた方がキレイだという見方もできます。

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