ロシア勢の強さは徹底的なルール理解 小塚崇彦の選手解説<女子編>
メドベージェワはジャッジの求めも理解している
ザギトワは15歳とは思えない難度のプログラムを構成している 【写真:松尾/アフロスポーツ】
昨年の世界選手権で2位に入ったケイトリン・オズモンド選手(カナダ)は、ジャンプの流れや、そこからそのまま次の要素にいく全体的な流れ、最初から最後まで継ぎ目のないつなぎの部分がきれいだと感じています。それこそカロリーナ・コストナー選手(イタリア)と共通する良さです。ただ昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルのように、コストナー選手が先に演技してしまうと、同じ系統のスケーターなのでまだコストナーに敵わないという印象は受けました。
人の心を打つコストナー、急激に伸びる米国勢
コストナーの強みは人の心を打つ演技 【写真:松尾/アフロスポーツ】
米国はブラディ・テネル選手が全米選手権を制し、代表に選ばれました。急に来た感じがすごくありますが、それだけの技術をしっかりと積み重ねてきたのだと思います。米国は意外とそういう選手が多い。これまでも(98年の長野五輪で金メダルを獲得した)タラ・リピンスキーさんや、(02年ソルトレイクシティ五輪で金メダルを獲得した)サラ・ヒューズさんのように、急に伸びて勝っていく。とはいえ技術を積み重ねないことには勝つことができないので、テネル選手も本番でしっかりと自分の滑りができれば、チャンスは出てくると思います。
見事にカムバックした長洲にはバンクーバー以上の演技を期待したい 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
長洲選手はもともと天才肌だった。ただ、それだけでは戦っていけないということを身を持って感じたんだと思います。その気持ちが努力する方向にいき、しっかりと五輪の切符をつかんだ。前回のソチ五輪は出場できませんでしたが、その前のバンクーバー五輪で4位になったときのフリーの演技は記憶にも残っているので、ああいう演技を今回のショートとフリーでも見せてもらいたいと思います。
最後にメダル争いですが、やはりロシア勢は外せない。そこに宮原選手とオズモンド選手が割って入れるかだと思います。3位までにロシア勢が2人、あと1人が違う国の選手という結果になるとみています。
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)