男、40歳。フルキチに迷いはない テイエムジンソクと挑む21年ぶりGI制覇
どん底も見た騎手人生、人とのつながりを大切に
どん底も見た騎手人生だったが、23年目の今年、2月4日のGIIIきさらぎ賞をサトノフェイバー(左)で勝利し早くも重賞2勝目を飾った 【写真:有田徹】
人にも恵まれた。長浜厩舎では馬乗りとしての基礎を学んだ。成績が上がらないときは、武田博師、山本正司師ら人情派のサポートがあった。関東の“大御所”藤沢和雄師からも声を掛けてもらい、美浦トレセンに出向いてもいる。
「実際問題、勝てていないジョッキーは乗せづらいでしょう。でも、見てくれる人はちゃんと見てくれていた。藤沢先生からは“暇だったらゴルフでもしに来い”って。いかにも藤沢先生らしい。でも、そのおかげで関東にも人脈が広がっていきました」
人とのつながりを大切にしてきたからこそ、40歳での再ブレイクがある 【写真:有田徹】
好調の裏には内助の功も
「これでさっきのは帳消しやな」と南井師に突っ込まれ「ええっ!? こっちが不利受けたんですよ」と驚く古川。「あんなところにいるからじゃないか」と理不尽な言葉をかぶされた古川は「ええ、まぁ、はい」としぶしぶ納得するふりをしていた。
きさらぎ賞後には同じく苦労人騎手だった南井師(左)との間で微笑ましいやり取りもあった 【提供:山本智行】
もちろん、好調の裏には内助の功も忘れてはいけない。10年に函館で挙式した妻・あゆみさん(30)の存在だ。「癒してもらい、励まされてます。料理も上手ですしね。競馬を知らないんですが、それがいいのかも」。おのろけはこのへんにして。草津、栗東、守山周辺での食べ歩きも楽しみのひとつとか。
間もなくフェブラリーSのゲートイン。「楽しみしかない」。男、40歳。フルキチに迷いはない。