日本のエース小平奈緒を阻むイ・サンファ 韓国記者「勝つ可能性は25%」と分析
韓国が誇る“氷上の女帝”
韓国が誇る“氷上の女帝”イ・サンファ。日本のエース小平奈緒最大のライバルだ 【写真:ロイター/アフロ】
五輪2連覇中のイ・サンファは、国内では絶大な支持を集めるスター選手。それだけに、今回の日韓対決には、韓国メディアやファンも並々ならぬ闘志を燃やしている。現地の報道を追っていても、2人の名を見ない日はないほどだ。
韓国のスポーツ紙『スポーツ・ソウル』でスケート競技を担当するキム・ヒョンギ記者も、国内の盛り上がりをひしひしと感じている。
「イ・サンファは、看板スターとして長らく注目を集めてきました。平昌五輪でも、もっとも期待されている選手です。小平との対決には国中が関心を寄せていますよ」
そもそもイ・サンファは、早い時期から500メートルでその才能を発揮してきた。
小学1年生のときに兄の影響でスケートを始め、フィギョン女子中学時代に韓国代表に選出されると、2005年の世界距離別選手権では中学3年生にして銅メダルを獲得。翌06年のトリノ五輪にも韓国代表として出場して5位に入り、07年にトリノで開かれた冬季ユニバーシアードでは優勝を飾っている。
バンクーバー、ソチと五輪2連覇中
ソチ五輪では500メートルの五輪記録を塗り替えて金メダルを獲得。史上3人目となる五輪2連覇を達成した 【写真:ロイター/アフロ】
この大会、当時の世界記録保持者であるドイツのジェニー・ウォルフを抑え、500メートルで金メダルを獲得。20歳にして、アジアの女子スピードスケート選手として史上初めて五輪の頂点に立った。
キム・ヒョンギ記者も、当時のイ・サンファの成長スピードには驚かされたという。
「イ・サンファに実力があることは知られていましたが、それでもバンクーバーではうまくいって銅メダルというのが大方の予想でしたから、本番での爆発力には驚きましたね。もともと才能のある選手でしたが、若い頃からスピードスケートに打ち込んできたからこそ、成長のスピードも早かったのでしょう。実際、あの頃のイ・サンファは、昨日と今日とでは別人のような滑りを見せていました」
イ・サンファの快進撃はバンクーバー五輪以降も止まらなかった。
同大会後の2シーズンを強化に当てると、13年1月のワールドカップ(W杯)カルガリー大会では36秒80をマークし、500メートルの世界新記録を樹立。同年11月のソルトレークW杯では36秒36をたたき出して自身が持つ世界記録を更新している。
さらに、翌14年のソチ五輪では、500メートルの五輪記録を塗り替えて金メダルを獲得し、女子スピードスケート史上3人目となる五輪2連覇を達成している。
そんな彼女の実力は、世界のトップ選手も認めざるを得なかった。同大会でイ・サンファに敗れ、銀メダルに終わったロシアのオルガ・ファトクーリナも、韓国が生んだ“氷上の女帝”には称賛を惜しまなかった(編注:後にロシアの組織的ドーピングが判明し、17年11月にメダルが剥奪された)。
「イ・サンファの技術は完璧でした。まるで陸上のウサイン・ボルトのように思えました。彼女こそ、女子500メートルのリーダーだ。本当にすごい滑りでした」