モーグルはこれさえ分かれば大丈夫! 独特な採点方法とレース形式を解説

Bravoski(ブラボースキー)

選手が着用するビブスの番号にも注目

選手の着用するビブスはランキング順になっている。中央は日本の堀島行真 【写真:ロイター/アフロ】

 レース形式は、通常のW杯と五輪では少し異なる。五輪はいささか形式が複雑なので、事前に頭に入れておこう。

 まず開会式当日の9日には、男女の予選第1ラウンドが行われる。この日は、抽選で決められた順番で全選手が1本ずつ滑り、10位タイまでの選手の決勝進出が決まる。

 なお、W杯総合ランキングで上位にいる選手は、ミスをしなければまず間違いなく決勝に出られるので、この段階ではリスクを避けて高難度のエアを出さなかったり、ターンを抑え目にしたりと、力をセーブする場合がある。

 逆にランキング下位の選手は、全力を出さないと決勝進出が望めないため、最初からフルアタックをかけてくる。ここで玉砕する選手もいるが、うまくハマって自己ベストの点数を出せる選手もいる。

 選手が着用するビブス(ゼッケン)の番号は、そのままランキング順になっているので、数が少ない選手ほど上位の選手だということを念頭に置きたい。たとえば、日本の遠藤はランキング5位なので5番、6位の堀島は6番を着けることになる。数字で選手たちのレースに向けた心理面の機微を推測することができるのも面白い。

予選は2段階、決勝は3段階で争われる

男子はキングスベリー(左)が大本命。日本勢はどこまで食らいつくことができるか 【写真:アフロ】

 女子は11日、男子は12日に決勝が行われる。といっても、男女ともまず行われるのは予選第2ラウンドだ。ここでは予選第1ラウンドで11位以下の選手が1本ずつ滑り、上位10名が追加で決勝に進出する。なお、第1ラウンドでの得点は第2ラウンドに反映されない。

 メダルを狙えるレベルの選手でも第1ラウンドで失敗する場合があるのだが、第2ラウンドで再チャンスが得られる。2段階の予選により、実力のある選手は高い確率で決勝に残ることができる仕組みだ。

 続く決勝1には、予選第1ラウンドを通過した10名と第2ラウンドの10名の計20名が出場する。第2ラウンドで下位の選手から順番に滑走し、上位12名が決勝2への進出が決まる。なお、ここでも予選の結果はスコアには反映されない(以下同様)。

 決勝2では12名がこれまで同様に1本ずつ滑り、その上位6名が、“スーパーファイナル”ともいわれる決勝3に進む。

 スーパーファイナルはいよいよメダリストを決める最終ステージ。極めて高いレベルの争いとなるので、たとえば短いボトムセクションでのターンの正確さ、コンマ数秒のタイム差など、細かい部分が明暗を分けるパターンが多い。絞り込まれた6名がすべてを懸けて戦うのである。

 モーグルが五輪の正式種目となった1992年のアルベールビル大会以降、里谷多英が優勝した長野大会を除くと、男女ともこれまでの金メダリストはほとんど本命視されていた選手である。特に上位選手が何度も滑る現行のレース形式が採用されてからは、大きな番狂わせは起きにくくなっている。下位の選手がたまたま予選で桁違いにいいパフォーマンスができたとしても、それを2回、3回と続けるのは難しいからだ。

 男子は6年連続W杯総合優勝者であるミカエル・キングスベリーが大本命だが、女子は圧倒的な存在がいない。金メダルを獲ってもおかしくない選手6〜7名がほぼ横一線にならんでいる状況だ。女子のメダルの行方は予想が極めて困難であり、それだけエキサイティングなレースとなることは間違いないだろう。

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【Bravoski】

 今年で創刊37周年を迎えた双葉社発刊のスキー専門誌。90年代中盤からフリースタイルスキーに着目し、98年長野五輪・モーグル種目で里谷多英、上村愛子らが活躍してモーグルが一大ブームとなる。現在ではフリースタイルスキー(パウダー、パーク、モーグル)の専門誌として年間3冊発刊。

 最新号の『2018 Bravoski vol.3』では平昌五輪を大フィーチャー。タイムライン式で追いかけた観戦ガイドになっている。

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著者プロフィール

今年で創刊37周年を迎えた双葉社発刊のスキー専門誌。90年代中盤からフリースタイルスキーに着目し、98年長野五輪・モーグル種目で里谷多英、上村愛子らが活躍してモーグルが一大ブームとなる。現在ではフリースタイルスキー(パウダー、パーク、モーグル)の専門誌として年間3冊発刊

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