新たな環境で再スタートを切った福島千里「東京五輪が一番達成感を味わえるように」

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目標タイムは「どれだけでも」

設定タイムをおかず「どれだけでも」ベストを更新していきたいと話す福島 【写真:アフロ】

――目標として、自己ベストの更新ということを挙げていましたが、このタイムで走りたいという数値はありますか?

「このタイム」というのはありません。どれだけでもです(笑)。

 もちろん、限界はあると思いますが、とりあえず「ここまで」というのは、考えていないです。「どれぐらいのタイムで走れるのだろう?」という楽しみを持って、それを思ってやりたいです。毎日タイムは計ってもらっていて練習での設定タイムはありますが、ベストに関しては、「ここまで走れたらいい」と決めてしまうのは少しもったいないなと思っています。ある程度はありますが、そこを追わずに「どれだけでもいってしまえ」という感じです。

――タイムで考えるよりも、理想の走りをすることで自己ベストを伸ばしたいということですね。

 良い走りができて悪いタイムになってしまうことは、感覚がずれていたらありえる話ですが、感覚が良くて調子が良く、良い走りができれば、きっと良いタイムが出ると思います。練習を積み重ねて試合を迎え、やりたいことを一つ一つ丁寧にレースの中で組み立てていければ、おそらくタイムはついてきてくれるかなと思います。

“10秒台”に確実に近づいていく

2018年は再び日本のトップを奪い、アジアの頂点へ。そして2020年に最高の五輪を迎えたい 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――今後の具体的な目標については?

 今年はアジア大会(8月、インドネシア・ジャカルタ)があります。アジア大会については2大会連続で出場させてもらっていますが、前々回(10年の中国・広州大会)は金メダル(100メートル、200メートルで二冠)を取ることができました。「アジアで勝たなければ、世界とはまだまだ(差が)広い」と思っていたので、まずはしっかりアジアで勝つことができ、ある意味、きっかけとなった大会でした。

 次のアジア大会(14年の韓国・仁川大会)では100メートルで2位、200メートルで3位でしたが、この年はずっと不調で、アジア大会では走れないんじゃないかと思っていました。ですが、メダルを獲得することができて、ある程度の手応えをつかめるレースができ、いいシーズンの締めくくりを迎えました。それから次の世界陸上北京大会、リオ五輪へと良いきっかけをもらえた大会になりました。

 日本を制して、アジアを制した先にきっと世界があるのだから、今シーズンはしっかりアジアで金メダルを取りたいなと思います。それがきっと、来年、再来年に生きてきます。アジア大会は私の中で、良いきっかけになった大会なので、今回も良いきっかけにしたいです。新たな環境になって1年目ですし、良いスタートを切りたいなという思いも含めて、今年のアジア大会は大事になると思います。

――福島選手にとって最終的な目標はどんなことになりますか?

 1番なのか2番なのかは分かりませんが……、2020年東京五輪は目標にしていて、そこまでしっかりやり切りたいです。達成感を味わえる、一番良い五輪になるように、やり切りたいと思います。

 それとすごく難しく、大きな目標かも知れませんが、100メートルの10秒台は目指したいなと思っています。競技を続ける中で、近づいて近づいて、越えられるかどうかは分からないですけど、確実に1日1日と近づいていきたいです。そこを目指すことでおのずと11秒1台だったり、11秒0台も必要となるので、少し大き過ぎるかもしれないですけど、しっかりそこに向けて一生懸命やっていきたいです。

――2020年東京五輪や10秒台を目指すことが福島選手のモチベーションになっているのですね。それに向けて今回新たなサポートを受けることになったのは大きいですか?

 今の環境では支えて下さっている全員が、同じ高い目標を共有できる仲間だと思っているので力強いです。また達成感というのは1人、2人よりも、たくさんの人たちで分かち合えることで、大きな感動を得られるので、それを味わえたらいいなと思います。

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)

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