日本パラアイスホッケー、平昌への道半ば 前哨戦惨敗から身につけたい「共通認識」
主将が語る、ミスを少なくする重要性
「小さなミスが確実に点数につながっている」とキャプテンの須藤は語った 【写真は共同】
「今大会の失点の多くはみんながパックに集まってしまい、空いたスペース(の守り)をおろそかにしたことが原因です」
パックの動きを見ながら、自陣へ走り込む相手選手をケアするのは難しいだろう。それでも、ピンチを未然に防ぎ攻撃に転じさせることがディフェンダーの大事な役割だ。
ディフェンス陣の要・須藤悟キャプテン(北海道ベアーズ)は、大会を通じてミスを少なくすることの重要さを痛感したという。
「こちらの小さなミスが確実に点数につながっている。ミスからパックを拾われて、確実にシュートまで持ち込まれることが多い。上位国のスピード、パスワークに翻弄(ほんろう)されたところはあります。特に僕のカバーリングが遅くなって失点する場面が多かったです」
強豪と呼ばれるチームはわずかなほころびを突いて得点につなげてくる。それだけ個々の技術と、チームとしての戦術が成熟している様を体感したのだろう。実際に自陣でのパスミスを拾われ、そのままゴールまで持っていかれたシーンが複数見られた。
また、フォーメーションを整えるまでの隙を突かれて失点する場面もあった。パラアイスホッケーはボディーコンタクトが認められる競技で、“氷上の格闘技”と呼ばれる。選手の体力消耗が激しく、ベンチの選手と何度入れ替えても良い。選手の状態を見極め、入れ替えのタイミングが重要になる中で、ベンチワークのまずさから失点するのは避けたいところだ。
技術強化はもちろん、選手同士の連携とベンチワーク。このあたりに磨きをかけることが失点を防ぐ鍵になる。
イタリア遠征で屈指の強豪・米国と対戦へ
チームを率いる中北監督(中央)は「ポジショニングの強化」を本番までの課題に挙げた 【写真は共同】
中北監督は「本番までにポジショニングの強化を図りたい。ポジションをうまく取れないことには、攻撃も守備もうまくできないことが今大会で証明された。あと2カ月、修正して本番を迎えたいと思います」と強化方針を語った。
須藤も「訳の分からない点の取られ方ではなく、しっかり課題を認識できていますので、みんなでそれをシェアしながら本番に臨みたい」と前を見据える。
CS終了後には平昌への内定選手17名が発表された。明確になった課題をチーム全体の「共通認識」とすべく、本番までの残り2カ月を有効に使わなければならない。
(取材・文:加賀一輝/スポーツナビ)