広島・会澤、すべては勝利のために「投手の活躍が一番の目標」

週刊ベースボールONLINE

広島の新選手会長に就任し、リーグ3連覇を目指す会澤 【写真:BBM】

 37年ぶりのリーグ連覇を果たした広島で扇の要を担った会澤翼。新選手会長に就任し、さらに責任が増す新シーズン、チームとしても個人としても昨年を超える1年とするつもりだ。

ベストナインは結果としてついてきたもの

――ベストナイン受賞おめでとうございます。会澤選手にとって初の個人タイトルとなりました。

 なかなか取れないものですし、ベストナインは2017年に目標としていた賞なのでうれしいですね。僕一人の力だけで取れたわけではなく、監督やコーチ、チームメート、裏方さんに感謝したいです。

――昨年7月にインタビューした際、「口にはしないけど、数字的に自分の中で秘めた目標がある」と話していました。インタビュー時点で62試合に出場。それを聞いたときに100試合出場のことなのかと感じたのですが。
 そうですね。100試合以上の出場は目標にしていました。これまでのベストが15年の93試合。それを超えたい思いは強かったですね。最後の最後までチームのために必死にやって、ベストナインはその結果としてついてきたもの。タイトルは取りたかったですけど、あまり意識はしていませんでした。

――守備面では15年は93試合で捕逸8でしたが、17年は106試合で2と大きく数を減らしました。

 そこは練習するしかない部分。必死に練習した結果だと思いますが、もっともっと減らしていかないといけません。

――その練習というのは?

 試合前にブルペンに入ったとき、ボールを手前でワンバウンドさせてもらい、それを止める動きを繰り返しました。それを1年、必ずやるようにしていました。どちらかというと気持ちの問題なのだと思うのですが、「1年間やる」と決めて、それを続けることができました。

――リード面では、カープOBの横山竜士さんが、「カウントに余裕があるときに、高めのつり球を使えるようになった」と評していました。

 それはピッチャーにもよりますね。あまりコントロールが良くないピッチャーにボール球を要求しても、カウントを悪くしていくだけ。そういう場合には2ストライクからどんどん勝負していくイメージでいます。コントロールがいいピッチャーなら余裕を持てますけど。ピッチャーがどういう心理状態なのかを考えながらできるようにはなってきたのかもしれません。相手バッターのことも含めて、いろいろ考えながらプレーするのがキャッチャーだと思っているので。

――昨年に1軍デビューを飾り、5勝を挙げた中村祐太投手とのバッテリーでは、特にジェスチャーを大きくするなど、工夫をしていたように感じました。

 やっぱり緊張はすると思いますし、ピッチャーは孤立してしまうポジションですから。なるべく一人にさせないように、後ろには野手がいるし、「いろいろな人がお前のことを助けてくれるよ」と伝えるつもりではいました。若いピッチャーはできるだけ一人にさせないように心がけています。

「キャッチャーは試合に出てナンボ」

高卒11年目のシーズンで自己最多出場を果たし、初のベストナインにも輝いた会澤(左) 【写真:BBM】

――横山さんは「高卒入団で、ファームでは『これをやってはいけない』と教えられる中で、これまでは無難に無難に、という部分があったのでは」と分析していましたが、試合出場を重ねる中で、リード面で変化はありましたか。

 うーん。それはありますね。キャッチャーは試合に出てナンボ。いくら2軍でいい成績を残しても、1軍でやるのはまったく違うと思うんですよ。まずは球場の雰囲気が違いますし、相手バッターの技術の高さも違う。ピッチャーの質も違う。1軍のプレーは、2軍ではまったく経験できないものですから。2軍でやってきたものが、1軍では通用しないということは多々あります。2軍は基本的な、技術的な面を反復練習で鍛える場所ではありますし、当然ですが2軍で結果を出さないと1軍には行けない。それは難しい部分ですけどね。試合に出ないと分からないところはたくさんあります。

――リードも変わってきた?

 あまり変えたところはないんですけど、やることをしっかりやっていかないといけないですし、感性も大事になってくる。それに記憶力も。忘れないために、しっかりノートを取ることなどが大事になります。

――例えば昨年は、野村祐輔投手や九里亜蓮投手ら、シュート系のボールを得意とする右投手と組むことも多く、右打者の胸元を突くボールが目立ちました。

 どうしたらバッターに踏み込まれないか、ということを考えないといけません。コントロールが得意な投手なら特に、ですね。岡田(明丈)のように力でどんどん押していくタイプではないので、いかにタイミングをずらしていくか。先発なら約30試合には投げるわけなので、たとえ打たれても、嫌な印象を残したい。先を見据えた配球も必要になってくると思います。

――バッテリーを組んだ薮田和樹投手は昨年、15勝を挙げて勝率第1位のタイトルを獲得しました。

 ヤブは1軍で多く投げるのは昨年が初めてだったので、今年は頑張らないといけないですし、相手バッターも対応してくる。そこでもう一つ上に行けるか。本人もそう考えていると思います。配球面はキャッチャーが頑張ればいいところなので、とりあえずは昨年と変えることなく、ボールの質など、ピッチャーが頑張らないといけない部分をしっかりやってほしいですね。

――配球面で、いかに昨年と違う部分を見せられるか。

 そこらへんは難しいところですね。裏をかこうとして、ピッチャーの持ち味を生かせないのも良くない。ヤブの場合は真っすぐと、ツーシーム、カットボール。その中でのカーブという具合です。いいところを消すのではなく、さらに伸ばしていかないといけないと思っています。

――主力であるジョンソン投手は、石原慶幸捕手がほぼ専属キャッチャーとなっていますが、昨年9月30日の横浜DeNA戦ではシーズンで初めてバッテリーを組みました。5回1失点で勝ち負けつかずという内容でしたが、呼吸はいかがでしたか。

 呼吸は悪くなかったと思いますよ。僕もボーッとベンチに座っているわけではなく、「こういう配球をしているんだな」と見ていますので。もちろんマスクは被りたい。ジョンソンと組んでいかないと、今以上の試合数は見えてきませんから。

――ドラフト1位では、広陵高から中村奨成捕手が入団しました。自身の経験を踏まえてアドバイスを送るとしたら。

 プロ野球選手に年齢は関係ないと思っていますし、若くても1軍に行く選手はいる。必死になってプレーすればいいんじゃないでしょうか。ピッチャーのボールの質は高校とは違いますし、一人ひとりサインも違う。覚えることは多いですが、できるだけ多くブルペンで受けることが大事になってくると思います。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント