広島・会澤、すべては勝利のために「投手の活躍が一番の目標」

週刊ベースボールONLINE

「痛みに強くないと務まらない」

体の強さには定評のある会澤。体を張ってホームを死守した 【写真:BBM】

――打撃では、後半戦だけで7つの死球を浴びました。マークが厳しくなったと感じましたか?

 よう受けましたね(笑)。次のバッターがピッチャーなので、僕にフォアボールを与えるくらいなら、厳しく攻めて打たせたい、ということじゃないでしょうか。打席に立っていて「結構多いな」とは感じていました。後半戦はインコースが増えていましたね。

――それでも、打席で腰が引けている様子はまったくありませんでした。

 まあ、顔に当たらなければいいですから。一度当たっていますからね。当たりどころが悪ければ骨折しますし、もちろん痛いんですけど、少々の痛みならプレーできるので(笑)。痛みに強くないとキャッチャーは務まらないですから。

――打率2割7分5厘、6本塁打、35打点、得点圏打率2割9分2厘。キャッチャー目線として、この打者が8番にいると相当に嫌なのでは?

 それは相手のことだから分からないですけど。僕はキャッチャーとして、相手のキャッチャーに打たれるとすごく嫌なんですよ。なぜかというと、打撃でいい結果が出るとリードも乗ってくるから。守備にも相乗効果があることは感じます。だから対キャッチャーの配球は意識しますね。もちろん下位にいる場合は、打順の流れも良くなってきます。いかに下位打線を抑えるかは、どこのチームでもキーになってくる。反対に、こちらが攻める側だと、点を取れるところはしっかり取っていかないといけません。

連覇を引き寄せた阪神との3連戦

捕手ながら強力打線の中で存在感を発揮。首位攻防でのサヨナラ打など、勝負強さを発揮した 【写真:BBM】

――17年は2本のサヨナラ打を放ちました。2本目となった9月6日は2位・阪神との天王山。同点の11回1死から、四球を選んだ上本崇司選手が二盗に成功。さらに会澤選手がライトの頭上を越える適時打を放ち、ワンチャンスをモノにしました。

 崇司がしびれる場面で盗塁を決めて、外野が前に出てくれたことで僕としてはラクになりました。次に回す気持ちで、だいぶおっつけにいきましたね。あの試合のヒーローは崇司です。

――前日の同カードでは安部友裕選手が9回裏にサヨナラ2ランを放ち、2試合連続のサヨナラ勝利。リーグ連覇を引き寄せた試合でした。

 翌日にも勝って3連勝。今振り返れば、あの3試合が大きかったですね。そこでまたガッと行くことができました。

――同日は胃がん手術からの復帰を目指す赤松真人選手の誕生日でした。ウイニングボールは……?

 赤松さんに渡すことができました。9月半ばに、マツダスタジアムで優勝の可能性があったときに、赤松さんが球場に来ていたので。「ありがとう」と言ってもらって……良かったですね(笑)。

――意外性と言っては失礼かもしれませんが、このほかにもいい場面で打点を挙げていた印象があります。

 僕は、打率はそこまで気にしていないんです。それよりもここぞというところで点を挙げられるバッターになりたい。それが内野ゴロでもいいと思っています。三振をしちゃいけない場面で三振をしてしまうのが一番良くない。相手バッテリーが一番したいことをさせない、ということは意識しています。相手が僕にさせたいことは何かな、と考えることは心がけていますね。

新選手会長として果たすべき役割

――18年からは選手会長に就任しました。前任者の小窪哲也選手を、16年のリーグ優勝の際に「陰のMVP」と言う選手も多かったですが、その理由は何だと思いますか?

 いろいろな人に話を聞いていましたね。ピッチャーだろうが、若手だろうが。そして「何とかしよう」という姿勢がとても伝わってきました。僕は副会長でよく見させてもらっていましたが、チームを変えたいという気持ちを感じました。

――新たに取り組みたいことなどはありますか?

 そこまで変えるつもりはないですね。いろいろな方から「気負うなよ。あまり頑張り過ぎるなよ」という言葉をいただいています。副会長をやらせてもらいチームのことは分かっていますし、去年、小窪さんが1軍にいられなかったときには、副会長としてやらなければいけないことも分かっていました。新井(貴浩)さん、石原さんにもだいぶ助けてもらいました。これからタナキクマル(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩)の世代が同じ立場になったとき、新井さんや石原さんのように、野球以外のところでの姿勢を、僕が見せられたらいいですね。

――プレーの面での目標は?

 それはピッチャーが勝つことですよ。先発に白星がついて、救援が抑えて、チームが勝つ。自分がどうこうではなく、まずはピッチャーがいい活躍をしてくれることが一番。そこが目標です。

――個人的なものは?

 個人的には……もう決めているものはありますけど、それは僕が頑張ればいい話なので。また内緒にしておきます(笑)。

(取材・構成=吉見淳司)

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