PPAPに恋ダンス…コミカル演技が人気  鹿実・男子新体操部の長野から始まる挑戦

椎名桂子
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 2018年1月6日から8日、長野県長野市の真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)で「テレビ信州杯 第22回長野県新体操クラブカップ選手権大会」(以下、テレビ信州杯)が行われた。男女、チャイルドからシニアまでの競技が行われ、全国から多くの出場者が集まる国内最大規模の大会だ。

 今年も1200名を超える選手たちによる熱戦が繰り広げられたが、その大会に華を添え、大きな話題となっているのが、流行を取り入れたコミカルな演技で有名な鹿児島実業高の男子新体操部だ。
 ただ面白いだけではなく、高校総体にも出場できるほどの力を持っていたからこそ、彼らの演技は話題になり、人気を獲得してきた。しかし昨年、九州に与えられた4枠を競う戦いに敗れ、6年間続いてきた高校総体団体への出場が途絶えた。それだけ九州のレベルが高く、他校も力をつけてきたゆえの敗退だった。

17年バージョンの演技の行方

曲に合わせ17年バージョンを披露する鹿児島実業高・男子新体操部 【写真:清水綾子】

 高校総体での同新体操部の演技は、「夏の風物詩」となっていただけに、これには落胆したファンも多かったが、残念では済まなかったのが当事者たちだ。同新体操部の近年の演技には、「旬のネタ」が多く含まれている。17年の夏に披露する予定の新作もすでに準備をしていたはずだが、高校総体出場がなくなったからといって翌年に回すわけにはいかないのだ。

 例年、高校総体でその年の演技を初披露し、秋の新人戦や翌春の高校選抜、高校総体予選までは同じ演技をする。だんだん「旬」とは言えなくなってはくるが、そこまでがワンシーズンとしてここ数年はやってきた。

 本来なら「鹿児島実業2017」と呼ばれるはずだった作品は、このままお蔵入りしてしまうのか。または時期外れになるのは覚悟のうえで、18年に持ち越すのか。男子新体操ファンならずとも気になっていたのではないかと思う。しかし、エンターテイナー気質の樋口靖久監督の頭には、お蔵入りも持ち越しもなかった。演技会への出演なども多い同新体操部だけに、18年の高校総体出場を勝ち取るまではその演技で戦う。そう決めていた。しかし、問題はいつ、どこで「鹿児島実業2017」を披露するかであった。

 できればきちんとマットのある会場で、なるべく全国の多くの人に見てもらえる大会で披露したい。もちろん、秋から冬の時期の学校行事や大会などとの兼ね合いもあるが、そんな中で、樋口監督の頭に浮かんだのが「テレビ信州杯」だった。会場も大会規模も申し分ない。おまけにこの大会は、同新体操部にとっては特別な意味をもつ大会だったのだ。

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著者プロフィール

1961年、熊本県生まれ。駒澤大学文学部卒業。出産後、主に育児雑誌・女性誌を中心にフリーライターとして活動。1998年より新体操の魅力に引き込まれ、日本のチャイルドからトップまでを見つめ続ける。2002年には新体操応援サイトを開設、2007年には100万アクセスを記録。2004年よりスポーツナビで新体操関係のニュース、コラムを執筆。 新体操の魅力を伝えるチャンスを常に求め続けている。

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