【DDT】強くて目が離せないユニットDAMNATION プロデュース興行で諏訪魔を墨汁まみれ
人気の“ヒール軍団” 団体NO.1ユニット
ベルトを失った佐々木大介。しかしメンバーから信頼は厚かった 【写真:前島康人】
DAMNATIONは「地獄に落ちる」や「天罰」などを意味する言葉で、結成は2016年。メンバーは“カリスマ”佐々木大輔をリーダーに、石川修司、マッド・ポーリー、遠藤哲哉の4人で、「群れない、媚びない、結婚しない」を信条としている。
佐々木は15年当時は、飯伏幸太、宮武俊とゴールデン☆ストームライダーズというユニットを結成していた。同年4月に静岡・伊豆ぐらんぱる公園で開催された路上プロレスでは、飯伏がゴーカートでパートナーの佐々木を轢く「事故」を起こしながらも、“良好”な関係を築き、佐々木&飯伏でKO−Dタッグ王座も獲得。だが、飯伏の体調不良により王座を返上し、また“ペット”の宮武も負傷欠場となるなど、ユニットが活動不能状態に。そこで、佐々木が16年1.31後楽園大会に「ペット」として新たに連れてきたのが、「エイドリアン」こと、巨大すぎる犬のぬいぐるみを着た石川であった。新ユニット「DAMNATION」を結成した佐々木&石川組は、すぐさまKO−Dタッグ王座を獲得すると、さらに佐々木はKO−D無差別級王座まで戴冠し、2冠王に君臨。また、4月にはエイドリアンの兄ことポーリーもユニットに加わると、7月には遠藤も加入。同年の「DDTドラマティック総選挙2016」でユニット部門第1位に輝いた。
今年も勢いは止まらず、佐々木が3.20さいたまでDDT EXTREME級王座を獲得し、これまで8度にわたって防衛に成功。また、遠藤もKO−D無差別級王者の竹下幸之介に2度にわたって挑戦を果たし、王座奪取こそならなかったものの、4.29後楽園では初の60分時間切れ引き分け、8.20両国ではメインイベントを経験した。石川はDDTから一旦離れ、全日本プロレスにレギュラー参戦し、一躍メジャーのトップ選手の仲間入りに。この個々の活躍も認められ、今年の総選挙でも、ユニット部門で1位を獲得し、堂々の2連覇を達成した。
現在、プロレス業界のトップをひた走る新日本プロレスでも、“制御不能ユニット”ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンや、外国人ヒール軍団バレットクラブが人気を博しているように、ヒールユニットには観客を惹きつける魅力がある。新日本においては、nWo JAPANやTEAM2000、平成維震軍などの反体制ユニットがブームを起こしたのに対し、本隊ではJJ JACKSやG−EGGS、スイングローズなどといった“黒歴史”も乱発。その一方で、ユニット抗争がもっとも盛んなDRAGON GATEでは、ヴェルセルクやMAD BLANKEY、マッスル・アウトローズなどといったヒール軍団が必ず存在しているが、あくまで「ブーイングを浴びせられる立場」であり、ベビーフェイスに人気が集中する傾向が強い。
DDTにおいての価値基準は、「強いか弱いか」「良いか悪いか」よりも「面白いか面白くないか」「興味を引かれるか関心が湧かないか」が重視される部分があり、その意味でDAMNATIONは、強くて、かつ、目が離せない存在である。
佐々木大介がEXTREME級王座陥落
宮本が猛攻をかけて3本目を奪取。EXTREAM級王座がとうとう移動となった 【写真:前島康人】
反則なしのハードコアルール、60分三本勝負形式で行われたこの一戦。序盤に佐々木がトペスイシーダを狙ったところ、宮本がイスで迎撃すると、さらにラダーへ投げつける。佐々木もトラッシュ缶をかぶせてイスで殴打すると、10分過ぎにはイスへのパワーボムも発射。すかさずミスティカ式クロスフェースでとらえ、宮本をタップさせる。
2本目。佐々木は宮本をラダーに寝かせ、ダイビングエルボーを狙うも、かわされて自爆。すかさず宮本がラダー上へのサンダーファイヤーパワーボムからラ・マヒストラル、雁之介クラッチ、豹魔殺し、逆さ押さえ込みとたたみかけて3カウントを奪取。勝負は3本目に持ち込まれる。
3本目。かつて佐々木の元祖・ペットであった宮武が加勢するも、ギターショットの誤爆ですぐさま退場。佐々木は宮本の金的蹴りを食らいながらもドロップキックで場外へ落としトペスイシーダを放つと、さらに場外へのハードコアエルボーダイブ。しかし、宮本も佐々木の頭にテーブルを振り下ろし、イスで何度もブン殴ると、テーブルへのファイヤーサンダー。佐々木もイス山へのペディグリー、クロスフェースで反撃に出るが、宮本は旋回式ツームストン、ハンドスプリングキック、サンダーファイヤー、ムーンサルトプレスとたたみかけ、ついに3カウント。王座移動となった。
爆破王と合わせ、2冠となった宮本は「大ちゃん、楽しかったよ。でも、本当のEXTREMEはこのオレだ。まだまだEXTREMEな人間がDDTにはいっぱいいると思うから、大ちゃん、またやろう」と、佐々木以上に破天荒な自身の半生と照らし合わせながら、新王者像の確立を予告。佐々木も「宮本さん、あんた、最高にイカれてました」と、元特攻隊隊長ならではのキレっぷりに舌を巻いた。
ベルトもすべて失い、立ち上がる気力もない佐々木に対し、遠藤が「カリスマ、いや、佐々木大輔。インディージュニアもEXTREMEも失って、テメエはもう用無しだ」と追放宣言……すると思いきや、「なーんて言うと思いますか? カリスマ、あなたはベルトが無くなったって、借金があったって、オレたちのカリスマですよ」と呼びかけると、石川も「ここからまた、みんなで這い上がって、ファンのみんなと一緒に頑張っていきましょう」とエール。この温かい言葉に、佐々木も「おまえたちがまだついてきて、一緒にやっていこうって言うなら、オレはまだカリスマでいるよ。2018年もDDTのリング、プロレス界をグチャグチャにしてやる」と来年も好き放題暴れまわることを宣言した。
遠藤が竹下からピンフォール 年明けリーグ戦に弾み
遠藤は竹下からピンフォール。年明けのリーグ戦に向けてはずみをつけた 【写真:前島康人】
かつてはタッグパートナーであった竹下と遠藤。だが、遠藤は竹下の背中を追う立場から脱却すべく、タッグを解消し、DAMNATION入りという道を選んだ。
今年は2度、竹下のタイトルに挑むも、いずれも奪取失敗。その悔しさをぶつけるかのように、場外への華麗なブエロデアギラを決めると、10分過ぎ、竹下に対しハンドスプリンギキックを発射。さらに遠藤は、自分よりも先輩であり、かつ、現在大日本プロレスのBJWデスマッチヘビー級王者である竹田に対し、よつんばいになるよう命令すると、竹田を踏み台にしてムーンサルトプレスを狙うが、これは迎撃されてしまう。だが、遠藤はひるむことなく、すかさず哲哉インザスカイを敢行。さらにトーチャーラックボム、シューティングスタープレスとたたみかけて3カウントを奪い、不敵な笑みを浮かべた。
諏訪魔がバラモン兄弟の洗礼も最後は豪快に粉砕
全日本の諏訪魔が墨汁攻撃。バラモン兄弟の洗礼を受けた 【写真:前島康人】
石川は今年の全日本プロレスにレギュラー参戦し、4月の「チャンピオン・カーニバル」で初優勝を果たすと、その勢いで三冠ヘビー級王座を獲得。秋の「王道トーナメント」では準優勝となったが、年末恒例の「世界最強タッグ決定リーグ戦」では諏訪魔とのタッグで優勝を果たすなど、フリー選手でありながら、創立45周年を迎えた老舗団体の中心人物として大活躍した。
開始早々、バケツの水をぶちまけ合う阿鼻叫喚の地獄絵図となると、さらにケイがお告ゲルを吐き出すが、石川が張り手で吹っ飛ばす。諏訪魔はケイを拷問式の逆エビ固めで締め上げ、石川がブレーンバスター。諏訪魔がケイにラストライドを狙おうとしたところ、なんと、第2試合でアイアンマン王者になったディック東郷を狙う選手たちが次々とリングに乱入し、諏訪魔の股の下をくぐって乱闘を繰り広げた挙句、コルト・カバナが王座を奪取。突然の出来事にあっけに取られる諏訪魔に、すかさずバラモン兄弟が墨汁ミストを噴射し、合体の押さえ込み技・五体不満足で勝負を賭けるも、カウントは2。怒り狂った諏訪魔が2人に交互にダブルチョップを見舞い、合体のサンドイッチラリアットを発射。さらに諏訪魔は、自ら墨汁を口に含んで、ケイの顔面にお返しの墨汁ミストをお見舞いすると、豪快すぎるラストライドで粉砕してみせた。
試合後、暴走大巨人コンビは、バラモン兄弟2人まとめてボウリング攻撃を見舞うと、観客と「ストライク!」の大合唱。開口一番「ごめんなさい」と謝罪した石川に対し、諏訪魔は「こんな目にあうと思わなかった。墨汁、すごいまずいな。でも、今日はありがとう」と、戸惑いながらも感謝。これに胸をなでおろした石川は「これで絆も深まったと思います。3日、世界タッグに挑戦します。よろしくお願いします」と、来年1.3全日本・後楽園ホール大会で挑む、秋山準&大森隆男組との世界タッグ王座戦に向け、王座奪取を宣言した。
赤井沙希が大家健のタンクトップ&ジーパン姿で登場
赤井沙希は大家健のタンクトップで男性ファンを魅了 【写真:前島康人】
第1試合で行われた「コスチュームチェンジバトル」では、出場選手たちが、別の選手のコスチュームにチェンジしてバトルロイヤルで激突。赤井沙希が大家健のタンクトップ&ジーパン姿で登場すると、その無防備なチラリズムに男性ファンは大興奮。一方、赤井のコスチュームを装着した大日本プロレスの植木嵩行は、そこから漂う芳香に欲情し、元警察官とは思えぬ放送禁止寸前の振る舞いに出るが、そこは元HERO!であるHARASHIMAが、ハイキックからの蒼魔刀で“成敗”。だが、伊橋剛太のゆるゆるパンツをヘソ上までたくし上げた格好のため、さすがに女性ファンからの黄色い声援も起こらず。選手の人気におけるコスチュームの重要性について、まじまじと考えさせられた一戦であった。
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